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【長期保有で本当に大丈夫?】暗号資産はどう投資するべきか

以前の記事で暗号資産の市場の
ボラティリティ(激しい価格変動)
に勝つためには、

真正面から立ち向かって闘うよりは
価格変動のトレンドに乗っていくべきだ
とお伝えしました。

今回の記事では、
暗号資産への投資戦略として
長期保有は正しいのか?

暗号資産へ投資をするならば、
なぜ価格変動のトレンドに乗っていくべきなのか?

というお話しをしようと思います。

暗号資産は右肩上がりの資産なのでしょうか?

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億り人になれたらいいな。

特定の戦略を検討する前に、
暗号資産は長期的に値上がりし続ける、
つまり「右肩上がりの資産」なのかを
見る必要があります。

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ビットコインは確かに2017年末までは右肩上がりの資産だった・・・(Source: coinmarketcap.com)

まず、暗号資産の前に株式、債券、不動産は
どうでしょうか?

株式、債券、不動産は
長期的に右肩上がりする資産です。

株を単なる紙切れと
考える人もいるでしょうが、
株はある企業の所有持分を意味します。

資本主義社会では、企業が資本を蓄積し、
これをベースに
収益を徐々に増やしていきます。

それにしたがって、
バリュエーション(企業の価値)も増え、
株価も共に上がるわけです。

それだけでなく、
企業の営利活動で生み出した収入を
株主に配当という形で提供します。

実際に1900~2012年に渡って
グローバル株式市場は
年平均複利8~9%程度の収益を記録しました。

もちろん、
株を買った企業が途中で倒産したら、
元本が全部なくなることもあり得ますが、
株式市場の代表的な企業を含めた
株価指数ETFさえ買えば
長期的にはあの程度の収益が
期待できるはずです。

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2012年からの日経平均株価をみたら株式は全体的には右肩上がりの資産である (Source: macrotrends.net)


債券は国家、自治体、企業などに
金を貸すことを意味します。

債務者は、
債権者に利子と元金を
返済することを約束します。
債務者がお金を踏み倒さなければ、
債権買収者の資産は右肩上がりします。

Financial Timesを見れば、
債券を買って満期日まで保有していれば、
大体どれくらいの収益が期待できるのかが
すぐに分かります。

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緑色のグラフ(左)を見れば債券は右肩上がりの資産だというのがわかる(Source: https://www.nikkoam.com/fund-academy/rakuyomi/vol-1296))

不動産、特に需要の高い都市の不動産の場合、
土地が限られているため、
その土地の価値は必然的に上がります。

世界的な不動産価格は
長い間上がり続けており、
不動産価格が長い目で見れば、
上昇しつづけていることに
異論を持つ人は少ないでしょう。

また、不動産では賃貸収益が期待できます。

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マンション価格の推移(Source: https://sumamon.jp/mansion/social/kakaku-suii/))

このように株式や債券、
不動産のような資産は、
相場の変動による差益だけでなく、
配当、利子、賃貸収益など
キャッシュフローも期待できる資産です。

そのため、このような資産クラスは
長期にわたり右肩上がりすることが
期待できるでしょう。

しかし、暗号資産は違います。
暗号資産が長期的に
右肩上がりする資産なのか、
判断は現時点では非常に難しいのです。

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全くわからないビットコインの行方。個人的には上がってほしい。

暗号資産の長期上昇論を主張する人々は、
ビットコインなど暗号資産の数量が
有限であることを根拠としています。

これは本当にそうなんでしょうか?

ビットコインはハードフォークによって
新しい「親戚」を続々と作り上げています。

ビットコインキャッシュ、
ビットコインゴールド、
ビットコインダイヤモンド?

次は何でしょうか?
プラチナム?
ビットコインドラゴンボール?笑

さらに、聞いたこともないような
奇妙な暗号資産の数は増えており、
ほぼ毎日新しい暗号資産が誕生しています。

Coinmarketcapで探してみると、
2017年末には暗号資産の数が
900個くらいでしたが、
2018年の年明けには、それが1,374個に、
2年後の今はなんと、
2,394個まで増えています。 

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知らないコインがたくさん!(Source: coinmarketcap.com, 2020.2.5)

決定的なのは、暗号資産には
キャッシュフローがありません。

株式は配当があり
(または配当を留保する代わりに
利益を再投資して未来の利益を増やし)、
債券は利子を受け取って、
不動産は家賃を受けとることができます。

一方、暗号資産は
キャッシュフローが全くないのです・・・。

ビットコインのようにキャッシュフローを
提供していないが、
安定した需要がある資産が一つあります。

他ならぬ「金」です。

金の価格は長期的に
どれくらい動いたのでしょうか。

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聖書を見ると、
金1オンス(28.35グラム)で
パン350個を買えたそうです。

2,000年以上経った2015年に
誰かが計算してみたそうなんですが、
今も金1オンス=パン350個の公式が
有効なんだそうです。

すなわち、キャッシュフローのない金は
長期的に価値は維持されましたが、
それ以上の超過収益は提供しなかったのです。

ただこの話って、
パン一個いくらの計算なんでしょうね(笑)?

もちろん短期的には、
金もビットコインのように
価格が上がったり下がったりした期間が
確かにあったんですが、
長期的に右肩上がりする資産ではないです。

なのでキャッシュフローを提供しない
ビットコインも
右肩上がりの資産ではない可能性が
高いと思います。

ビットコインが本当に
「未来の金」になると仮定しても、
ビットコインの長期収益がものすごい
という保証はないのです。

もし「未来の金」になることに失敗したら? 
長期収益はむしろ低い可能性もあります。

右肩上がりの資産に注目する理由

右肩上がり資産であることが
なぜ重要なのかと言いますと、
 右肩上がり資産だと
「長期投資」が
かなり威力的な武器になるからです。

”平均的な”株式、債券、不動産を買って
保有(Buy & Hold)していれば、
長期的に利益を得ることができます。

株価指数ETFを長期保有して、
途中で下落しても
売らずにじっと我慢していれば、
年複利8~10%は利益を得られるでしょう。

マンションも同様です。
ただ買って保有するだけで値段が上がります。

このため、右肩上がり資産であるかどうか、
確信できない暗号資産は
長期投資対象ではないのです。

すなわち、暗号資産を一度買って、数十年間
ずっと保有する長期投資(Buy & Hold)戦略を
使ってはいけません。

確かに2017年末までは、
買ってそのまま保有する戦略が
非常に成功していました。

しかし、これからもそれが通じるという
経済的な根拠はないのです。

結局、特定の基準を決めて
それにしたがって短期間で売買を完結させる
「スイングトレード戦略」が必要です

暗号資産はチャートだけ死ぬほど分析すれば良い!

株という資産は様々な観点から分析できます。

企業価値を分析して、
アンダーバリューされた企業を買う
「バリュー株投資」ができますし、
チャートを研究して
買い付けの決定を下すこともできます。

また、経済トレンド、産業、
マクロ経済分析など
全体像を見て投資することもできます。

そしてチャートだけを見て、
最近大幅に値上がりした株を買ったり、
新高値を突破した時に
買い付けする投資家もいます。

有名な投資家の取引を見て、
それをマネする方法もあるでしょう。

このような様々な方法を適切に
ミックスして投資することも可能でしょう。

一言でいうと、株式投資はとても複雑です。

暗号資産市場は比較的に簡単です。

過去の価格だけを研究すれば良いのです。
 これ以外に分析すべき資料があまりないし、
そもそも実体がないため
バリュー投資も不可能です。

マクロ経済が暗号資産市場に及ぼす影響は?
さて、どうでしょうね。

ときどき政府の規制、ハードフォーク、
特定通貨の上場など
色んなニュースが出てきますが、
そのニュースが
価格にどのように反映されるかを
見て投資しても遅くありません。

それに私たちに届くニュースは
ニュースではなく、
ただの噂もしくは
ノイズである場合も多いでしょう。

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価格分析ってこんな感じ?!笑(Source: https://sakagami3.com/entry/2018/01/30/144643))

投資で利益が出せるようにするには

株式市場には価格パターンだけを見て
戦略を作った専門投資家が非常に多いです。

このブログでは
これから様々な戦略が紹介されますが、
基本的な戦略のポイントは次の通りです。

暗号資産を含め、すべての金融市場には
「トレンド」が存在するということです。

最近、高騰した資産は
しばらくその方向を維持し、
さらに上昇する傾向があります。

これを「トレンド追従」
または「モメンタム戦略」と呼びます。

数百年前から株式投資の賢人たちは

「トレンドはあなたの友人
(The trend is your friend)」
と語りました。

オランダ貿易商、
ヨゼフ・デラベガ(Joseph de la Vega)は
1688年に出版した
世界初の株式投資の説明書
「Confusion de Confusiones
(混乱の中の混乱)」という本で

「株価が急落したからといって
さらに下がる可能性がないわけでもないし、
株価が高騰したからといって
さらに上昇しないわけでもない。
株価が上がれば、人々はもっと上がるとみて、
もっと買い付けるべき」と説破しました。

株式市場でトレンドが一度形成されれば、
しばらく維持される属性を説明したのです。

18世紀日本には「相場の神様」と呼ばれる
本間宗久という投資家がいました。

彼は株ではなく、米先物の取引で
トレンド相場を読むテクニックを使い、
自分の投資哲学と技法をまとめた
「本間宗久翁秘録」という本も出しました。

「上げ相場で買い付け、下げ相場で売り付け」
するトレンド追従型取引は
このように数百年前から知られていた、
国と文化圏を超えた投資戦略です。

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彼の「酒田五法」では「三兵」として出てくるトレンド追従戦略 (Source: https://matome.naver.jp/odai/2145900305308441901))

比較優位論(Comparative Advantage)の
創始者として知られている
経済学者 デヴィッド・リカード
(David Ricardo)は
200年前にこのような名言を残しました。

損失は短く、利益は長く
(Cut short your losses and let your profits run on)

「買い付け後、
株価が下がれば直ちに損切りし、
株価が上がれば、
ピークに達してから下がり始めた後に売れ」
という意味です。

彼はこんな言葉も付け加えました。

「このゴールデンルールを
株式市場のほかに
他の資産クラスにも適用できそうだ。」

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昔から当代の賢人たちはトレンド追従に注目していたんですね。

この方、マジもんの天才ではないか
と思います。

モメンタム戦略が株式市場だけでなく、
債券、為替、コモディティ市場など
他の資産クラスでも通じるという論文が
発表されたのが21世紀の頭なんですが、
リカード氏は200年前に
この簡単なルールを適用して
大金持ちになったのです。

この戦略は誕生して間もない
暗号資産市場にも非常によく通じます。

暗号資産で投資で利益が出せるようにするには
トレンドをフォローする投資家になる
ということです。

トレンドという概念を理解することが
非常に重要ですが、
大半の人がその反対に行動してしまう理由を
後ほどもう一度深掘りしようと思います。

では、どうやってトレンドを読み取り
それに乗れるのかは次のエピソードから
ご説明しようと思います!

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