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暗号資産投資で判断ミスを招く心理①

こんにちは、HEYBITです。

今回は前回の記事に引き続き、
投資心理についてお話したいと思います。

投資の勉強というと
数字やグラフが
目まぐるしく変化する株価チャートを
分析するイメージがあるかもしれませんが、
投資心理を学ぶことも非常に重要です。

「相場がなぜそう動くか」
という事を突き詰めると、
そこには人の行動心理が働いている事は
明白ですし、
投資で判断ミスをしてしまう要因は
心理にあります。

前回は投資における最大の敵について
お話ししました。

今回は私たちの心理が
どのように投資の判断ミスを起こすのか
について説明します。

この記事を読めば、
投資で気を付けなければいけない
心理状態が分かります。

それでは本題です。

行動経済学の大家である
ダニエル・カーネマン
(Daniel Kahneman)
教授は、
直感システムが
どのようなバイアス(先入観)に弱いかを研究し、
人間が投資で失敗してしまう原因を
突き止めました。

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2002年ノーベル賞を受賞したダニエルさん

このブログに出てくる全ての戦略は、
人間のバイアスを
逆手にとって収益を生み出します。

バイアス(先入観)という判断ミスは、
どこでも横行しているため、
人間が金融商品を売買する、
すべての市場で例外なく存在します。

したがって、人間のバイアスを理解することは
非常に重要です。

みなさんは
バイアスをできる限り理解するとともに、
バイアスの穴にハマらないよう
心がけるべきです。

私たちは、心理的な落とし穴であるバイアスから
完全に脱するのは非常に難しいことです。

直感システムに支配されずに、
推論システムだけで動く人間は
この世に存在しないはずです。

代表的ないくつかのケースを見てみましょう。


一貫性のなさ

投資は一貫性(consistency)が非常に重要です。
はっきり言って、
投資の成功には高い知能は必要ありません。

このブログでこれから紹介する戦略のうち、
どの戦略を選択しても一貫性を持って
真似さえすれば、
多くの利益を得る可能性が非常に高いです。

しかし、残念ながら
一貫性を持って行動し続けることは
不可能に近いと思います。

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ダニエル・カーネマン教授は
ある統計結果を見て、
驚くべき事実を見つけました。

判事8人が仮釈放申請を検討して、
平均6分ほどで決定を下していました。

しかし食事直後には、
仮釈放の承認の割合が65%でしたが、
食事前の二時間の間では
承認の割合がだんだん落ちて、
食事の直前には0%まで落ちました。

疲れと空腹は一貫して行われるべき、
仮釈放の承認に大きな影響を及ぼしたのです。

投資にも気分、健康、空腹、疲れ、天気など
投資と全く関係のない要素が
売買の決定を左右する可能性が非常に高いです。

判断ミスは致命的な投資結果を生みます。

しかし、一貫性のある行動が
こんなに難しいのに、
一貫性のある投資行為は
どれほど難しいでしょうか。

オーバーコンフィデンス(自信過剰)のバイアス

私たちは他人より偉いと思う傾向があります。
学歴が良ければ良いほど、
このような傾向はもっと強くなります。

これを「
「自信過剰のバイアス(overconfidence bias)」
といいます。

人々に
「あなたの運転実力は
人に比べてどうだと思いますか?」
と質問すると80%以上の人が
「平均以上」と答えます。

現実的には、平均以上の実力がある運転者は
50%以上になることはありえないでしょう。

はるか昔の先史時代には、今日狩りに失敗しても
「それでも明日は鹿を捕まえられる」
という自信が生存するためには
必要だったはずです。

家族を養わなければならない世帯主が、
一日や二日ほど鹿を捕まえられなかった原因で
うつ病にかかり、家に閉じこもっていたら、
人類は恐らく滅びてしまったでしょう。

自信過剰は
時に必要になることもありますが、
投資時の自信過剰は非常に危険です。

特に価格変動が極めて激しい
暗号資産市場での自信過剰は、
投資家らの過度な取引(overtrade)を
引き起こします。

ベッティング額を
あまりにも大きくしてしまったり、
自分が買った暗号資産は
絶対価格が上がる
と確信してしまったりするからです。

「え?資産の5%を暗号資産に投資したって?!
俺は〇〇コインにオールインだぜ!
こりゃ間違いなく上がるぞ!」

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という感じで、
最初の1、2回は利益を得ることができても、
後の一発で貧乏になった人、
見たことありますよね。

自分がやれば
何となく上手くいく気がする。などどいった
「根拠のない自信」によって
「投資家」ではなく
一発で「凍死家」になる可能性がありますので、
要注意です。

後ほどリスク・マネージメントの部分で
詳しく説明しますが、
投資で成功するためには
投資の割合を低くして、
キャッシュの割合を高くすることが
非常に重要
です。

基準点のバイアス

ある実験で、
参加者の半分に数字「10」を見せて、
残りの半分には数字「65」を見せました。

それから、
「アフリカ諸国のうち
国連加盟国は何パーセントでしょうか?」
という参加者たちに
少し分かりにくい質問をしました。

10と65という数字は
答えと全く関係がないですが、
質問前に10を見た人たちの25%が10だと答え、
65を見た人たちの45%が65と答えました。

このように目の前の問題と
全く関係のない数字や事実をもとに
決定を下す現象を
基準点のバイアス(anchoring bias)」といいます。

暗号資産市場、
いや、すべての投資で最も重要な
「基準点」は何でしょうか?

それは「買い値」です。
その値段以下では
売りたくないのが人の心理です。

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結局「買い値」という基準点にこだわりすぎて、損してしまう(塩漬けしまう)というパターンは暗号資産投資あるあるです。

エドワード·ソープ(Edward Thorpe)という方を
ご存じでしょうか?

 彼ははIQが190で、一度聞いた内容を覚えるのはもちろん、
ブラックジャックゲームで勝つ必勝法を開発して
カジノで大金を儲けました。

当然ながら、彼が目の敵だったカジノ側は
彼に圧力をかけたり、
飲み物に麻薬(!?)を入れたことも
あったといいます。

命の危険を感じたソープ氏は、
大きなカジノ、
すなわち金融市場に進出することにしました。

その後、IQ 190の頭脳をフル稼動して
転換社債(Convertible Bond)と
オプションの価値を
測定する公式を生み出し、
これで多額のお金を手にしました。

ソープ氏は
世界初のクオンツ投資家だったのです。

後に、ブラック(Fisher Black)教授と
ショールズ(Myron Scholes)教授が
ソープ氏の公式をコピーして、
有名な「ブラック・ショールズ公式」を開発し、
ノーベル経済学賞を取りました。

「なぜ公式を論文に書いて
ノーベル賞を受賞しなかったのか」

という質問にソープ氏は
「ただ静かに公式を使って、
お金を稼ぐ道を選んだ」
と答えたそうです。

しかし、ソープ氏も最初は
優秀な投資家ではありませんでした。

カジノ荒らしを辞めて、
他の分野を覗いていたところ、
ある新聞記事の内容に惹かれて
自動車部品会社の株を買いましたが、
買ってすぐ半分になってしまったそうです。

 以後、数年間粘ったあげく、
やっと元値で売りましたが、
後に自叙伝で
「あぁ、私はあの頃、
基準点のバイアスの罠にハマってたんだ!」
と嘆きました。

人類初のクオンツ投資家であり、
IQも190でブラック・ショールズ公式を
開発したソープ氏のような天才も
元本損失をしない
(買い値に戻す)ことにこだわって、
基準点のバイアスの罠に
ハマってしまったのです。

 一旦、お金を投資すれば
IQの高いソープ氏みたいな天才でも
投資心理によって
判断ミスをしてしまいます。

皆さんは基準点のバイアスの罠に
ハマらない自信はありますか?

つづく

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