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プロレスの熱い風が糸満の寒さを吹き飛ばした!そんな1日の物語〜ウルトラソーキ凱旋試合・糸満プロレス祭り〜
(観戦記のため敬称を略させていただいております。ご了承ください)
「シャボン玉石けん くくる糸満」
2022年4月23日に開館した真新しい糸満市の観光文化交流拠点の名前だ。
館内は6つのエリアに分かれ、地域の歴史や伝統文化を学べる常設展示場や、子供たちも遊べる情報交流エリアがある大規模な施設だ。
その中にある大ホールが今回のプロレス会場となる。
最大582人収容できるホールの正面には見慣れたリングが設営されている。
私自身、体調が悪かったり、仕事が忙しかったりで3〜4ヶ月振りのプロレス観戦。
胸が高鳴る。
それに加えて今回は、プロレス初観戦となる知人も一緒だ。
楽しんでもらえることを祈りつつ席に着く。
試合開始時間が迫り、お客さんも増えてくる。
それもそのはず、今日の試合は糸満という土地にあっては特別な試合なのだから。
琉球ドラゴンプロレス(以降、琉ドラ)に所属する糸満出身のレスラー、ウルトラソーキの凱旋試合。
地元出身のレスラーの晴れ舞台を見ようと多くの人が集まっている。
その顔は皆、ワクワク感と期待、そして笑顔に満ちていた。
もうすぐ、試合が始まろうとしている。
いやがおうにも高まる期待感。
それは、僕だけではなく、会場全体が大きな期待感に包まれているからに違いない。
前説〜トニーTグッチリングアナウンサー&ウルトラソーキ
琉ドラの試合開始前と言えば、やはり前説だろう。
トニー氏の前説は僕の中で大評判だ。
語り口が穏やかながら、軽く毒が入ることもあり、人々をクスリと笑顔にしてしまう。
この前説があることで会場の空気があたたまると言っても過言ではない。
今回はウルトラソーキの地元凱旋とあって、会場である大ホールは熱気に包まれている。
そんな中で伝えられたのは2年半程前に実現するはずだった、ソーキの凱旋試合の話。
場所はここではなく、コロナ禍の影響を受け、今は無くなってしまった「サムジング・フォー西崎」。
沖縄県民なら誰もが知っている結婚式場だ。
そこでやるはずだったウルトラソーキ凱旋試合。
コロナ禍の煽りを受けて中止になったのは、残念なことだったし、ソーキ自身、悔しかったのではないかと思う。
そして今年、ついに実現したウルトラソーキ糸満凱旋試合。
それも自主興行という、大きなプレッシャーのかかる大会となった。
だからこそ、この大きな山を乗り越えることで、プロレスラーとしてさらに成長できるに違いない。
いつもと変わらないソーキとトニー氏の掛け合いの中に、どこか緊張感があったような気がする。
会場の熱気とソーキ自身の熱い思いを乗せて、糸満プロレス祭りが今、幕を上げる。
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トニーTグッチリングアナ
第1試合 シングルマッチ 15分1本勝負 首里ジョーvs GOSAMARU
突如、琉ドラ内でGOSAMARUを中心に、首里ジョー、まえだみさき、織部克己らで結成された謎の軍団(?)GOSAMARU軍団(仮)。
その団長であるGOSAMARUと団員である首里ジョーとの一戦。
琉ドラ代表であるグルクンマスクが、ヒールユニットであるマッド・ドッグ・クラブ(MDC)に入ったことにより、いわゆる正規軍では最年長となったGOSAMARU。
先日開催されたグローカル・タッグリーグでソーキとタッグを組み、準決勝まで勝ち上がった首里ジョー。
いつも団長の座をかけて戦いを繰り広げているはずの両者だが、果たして今回はどうなるのか。
試合開始直前、GOSAMARUがクリーンファイトを宣言するように握手を求める。
それにジョーが応じて握手を交わしたところでゴングが鳴り、試合開始。
ロックアップするとまずはGOSAMARUがジョーをロープに押し込んでいく。
GOSAMARUはクリーンブレイクしてリング中央へ戻る。
再度ロックアップすると今度はジョーがGOSAMARUをロープへ押し込む。
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GOSAMARUがクリーンブレイクしているだけに、ジョーもクリーンブレイクするのかと思いきや、強烈なチョップを打ち込んだ。
ここから、両者はリストの取り合いを見せていく。
両者離れると、GOSAMARUが首里ジョーを投げ飛ばしてグラウンドで腕を絞る展開に。
さらに、そこから腕にエルボーを落としていく。
GOSAMARUが時折見せる非情な攻めや狡猾なテクニックは、ヒールとしての経験からくるものだろう。
リング上ではコミカルな試合を見せることもあるが、厳しさも持ち合わせている。
団長の団長たる所以を、僕はそこに見ている気がする。
その後逆水平とエルボーの打ち合い、両者がボディスラムを決める展開に。
そこからGOSAMARUが押し込む展開が続く。
延髄斬りから肩車で担ぎ上げてからのコーナーへのホイップ。
セカンドロープからのダイビングヒップアタックを繰り出してカバーに入るもカウントは2。
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これに対してジョーも負けじとスピアを決めると、お返しとばかりにダイビングヘッドバッド。
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しかし、これもカウント2と決めきれない。
GOSAMARUはブレーンバスターで再びカウントを迫るも、これもカウント2。一進一退の攻防から再び逆水平とエルボーの打ち合い。
ところが、ここから様相は一変する。
プロレスでは禁じてであるパンチを両者が繰り出したのだ。
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パンチが決まるごとに会場からはどよめきと歓声がこだまする。
ジョーの戦いの面白さはここにある。
ゴツゴツとしたファイトが観客を乗せるのだ。
両者のパンチが交錯する中、打撃においては、ジョーの得意分野ということもあり軍配が上がる。
ジョーの強烈なパンチを受けてGOSAMARUが崩れ落ちる。
そこからジョーの怒涛の攻勢で、最後はノースバレーボムで勝利を収めた。
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GOSAMARU軍団(仮)の団長GOSAMARUをシングルで破ったジョー。
「俺が団長だ!」と怪気炎を上げているが、果たして団長の座を巡って何かが起きるのか?
首里ジョー軍団になってしまうのか?
そうなるとグッズのTシャツはどうなってしまうのか?
さまざまな疑問を投げかけながら、第1試合が終了。
同い年の団長には頑張ってもらいたい!と心から願う僕がそこにいた。
第2試合 3WAYマッチ 20分1本勝負 まえだみさきvs高瀬みゆきvs関口翔
虹色のアームウォーマーとレッグウォーマー、サロペットショートパンツに自身をモデルにした編みぐるみを入れたリュック姿。
一度見たらきっと忘れられない、琉ドラの2輪の花の内の1人。
それが、まえだみさきだ。
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笑顔満開、元気いっぱい、コミカルながらも感情あふれるファイトは子供にも大人にも大人気。
今日は2人の実力派レスラーに対し、どのような試合を見せてくれるのだろうか。
最初に入場してきたのは、関口翔(せきぐち かける)だ。
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かつては、アクトレスガールズに所属し現在はフリーとしてさまざまな団体のリングに上がっている。
OZアカデミーでは、OZアカデミー認定タッグ王座、アクトレスガールズではAWGタッグ王座、PTRE-Jではデイリースポーツ認定女子タッグ王座など、数々のベルトを獲得している実力者。
本大会には、ウルトラソーキたっての願いで参戦したと風の便りに聞いている。
続いて入場してきたのは、まえだみさき。
「I've Told Every Little Star」の調べに乗って、笑顔を振りまき、観客の心を掴んでいく。
僕も彼女の編みぐるみを振りながら全力で応援する。
堂々と胸を張って言おう、ファンです!はい!
最後に入場てきたのは、高瀬みゆき。
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堂々の入場を果たした高瀬みゆき
関口翔と同じくアクトレスガールズでデビューし、同団体のAWGシングル王座を獲得している。
また、プロレスリングWAVEのリングにも上がっており、2021年にはCatch the WAVE2021で見事に優勝を果たした。
その他にも、WAVEではWAVE認定タッグ王座を、ワールド女子プロレス・ディアナではW.W.W.D認定世界タッグ王座、SEAdLINNNGにおいてもBEYOND THE SEA TAG TEAM王座を獲得している実力者だ。
試合は、3人同時に握手してスタート。
そこから3人でロックアップ、3人で力比べと不思議な展開に。
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最初は高瀬優勢だったものの、関口とみさきが共闘して高瀬に連携攻撃を仕掛けていく。
しかし、高瀬がみさきに蹴りを入れたろころに関口が、みさきに対して、まさかの丸め込み。
これを返したみさきだったものの、コーナーに押し込まれると高瀬が串刺し攻撃。
ところが、ここでも関口が高瀬にまさかの丸め込み。
これに高瀬が困惑していると、関口は謝って一緒にみさきを倒そうと、高瀬をなだめる。
それに、渋々納得した高瀬は、再びみさきに串刺し攻撃。
すると関口は再び高瀬に丸め込み。
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この展開には観客からも笑いが漏れた。
プロレスは「怖いもの」という印象がある方には、ぜひとも見ていただきたい展開だ。
これを3度繰り返すと、さすがの高瀬も怒ってしまい、関口をロープに振ってショルダータックル。
しかし、関口もドロップキックを返し、ここからは高瀬対関口の攻防に。
関口のボディスラムを耐えた高瀬が逆にボディスラムを決めると、高瀬はボディシザーズの形から関口を旋回させてフォールを狙うも、これは関口がキックアウト。
関口が脇固めを決めると、今まで戦況を見守っていたみさきが参戦して、同時に脇固めを仕掛ける展開に。
脇固めを解いたみさきは、高瀬の顔面にまさかまさかのお尻を押し付けるという暴挙に。
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この思い切りの良さと度胸が、みさきの強みだ。
これで(精神的に)ダメージを受けた高瀬が戦線を離脱し、関口対みさきの展開に。
関口とみさきがエルボー合戦を繰り広げると、会場もその気迫に手拍子で応える。
エルボー合戦を制したみさきが、関口にスイングDDTを決め、関口にもお尻を押し付けようと試みるも、これはキックで回避。
関口はドロップキックからSTOへと繋いでカウントを迫るものの、カウントは2。
さらにミサイルキックからフォールにいったものの、これも返されてしまう。
しかし、ここから素早く脇固めに以降する関口。
関口のグラウンドのうまさに見惚れていたが、そこに高瀬がリングに散らばった飴を拾ってみさきに投げつける。
この飴、みさきがいつも仕込んでいるものなのだが、リング上に散らばることで有名。
みさきを排除した高瀬は関口とエルボー合戦に。
それを睨みつけながら、懐に飴をしまい込むみさき。
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飴をしまったみさきもエルボー合戦に加わり、3人で攻防が繰り広げられる展開になる。
ここからは、3人とも他の2人をまとめて攻撃していく展開。
このハラハラする展開に会場もリング上に集中する。
高瀬が2人をまとめてミサイルキック、ラリアットを繰り出せば、関口も2人まとめて丸め込む。
みさきも負けじとコーナーからミサイルキックで2人を吹き飛ばす。
ここで、みさきは高瀬に対してフィニッシュ宣言をして持ち上げたところを前方回転エビ固めで丸め込み。
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最後は高瀬が上手さを見せて勝利を掴んだ。
高瀬は関口をリング上で言葉を交わすと、みさきのもとに歩み寄り、飴を強奪するとそれを口に含んで退場していった。
3WAYは攻防が目まぐるしく変わるのが醍醐味。
しかし、この試合では目まぐるしく変わるのではなく、それぞれが個性をいかして観客を沸かせるものだった。
初めてプロレスを観たという人にとっては、なかなか面白い試合だったのではないだろうかと思う。
観客にプロレスの面白さが伝わる素敵な試合をしてくれた3選手には感謝感謝だ。
セミファイナル タッグマッチ 30分1本勝負 レッカ・織部克己vsグルクンマスク・ハイビスカスみぃ
ウルトラソーキが糸満凱旋ならば、レッカと織部克己は沖縄凱旋と言ってもいいだろう。
2人とも琉ドラのリングで活躍していた選手だ。
レッカは現在、フリーとしてさまざまな団体のリングに上がっている。
明るく元気で、ハンサムと3拍子揃ったナイスガイ。
それに加えてプロレスも強いときているのだから、人気者なのもうなずける。
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そして、琉ドラの頂点、御万人王座「琉王」に君臨していたこともある織部。
ある時はRYUKYU-DRAGON-GYMの内装を手伝い、またある時は琉ドラの宣伝部長としてTwitterを駆使して活躍していた織部。
空手をベースにしたバチバチの試合運びは、興奮すること間違いなしのプロレスラーだ。
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そんな2人が、久し振りに琉ドラのリングに帰ってくる。
琉ドラを応援し続けていた観客にとっては、「お帰りなさい!」と声を掛けたくなる2人。
久し振りのリングで、どのような試合を見せてくれるのか楽しみである。
対するのは琉ドラの代表にして、突然MDC入りし、ヒールターンを果たした気がするが人当たりの良さは全く変わらないグルクンマスク。
まさに代表の鑑のようなレスラーだ。
来年の旗揚げ記念大会を機に休業を宣言しており、1つ1つの試合に自分自身の持てるすべてをかけてリングに上がっている。
そしてもう1人は、琉ドラ旗揚げ当初から大人気で、全国各地から引っ張りだこの女性レスラー、ハイビスカスみぃ。
楽しませるプロレス、男性と張り合う力強いプロレス、両方ができるプロレス頭の良さが光るレスラーの1人だろう。
沖縄凱旋組と琉ドラの二大看板の戦いのゴングが鳴らされる。
まずはグルクンマスクとレッカが対峙。
リストの取り合いに始まり、グラウンドの攻防。
ヒリヒリするような展開が繰り広げられる。
両者一歩も引かず互角に渡り合ったところでタッチ。
次に出てきたのは、なぜかゴング前からみぃとの試合を望んでいた織部と、当の本人、ハイビスカスみぃ。
嫌がるみぃを気にすることなく、織部がリングイン。
ロックアップから軽々と突き飛ばす織部に、会場からはブーイング。
その後もみぃはエルボーやドロップキックを放っていく。
そして、ボディスラムを狙うが、織部はなんと太ももに差し込まれたみぃの腕を挟み込んでしまう。
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そのまま腰に手を当てたポーズは、どこかで見たような光景だ。
少し違ったのは、そこから腰を横フリフリとしたところ。
会場には、笑い声とみぃの悲鳴が響き渡る。
そんなことはお構いなしに、織部はかなり際どいセクハラ発言を連発しながらみぃを場外に落としてしまう。
ツイキャス配信は大丈夫なのか?
ファンはおそらく、内心ハラハラしてその様子を見守っていたに違いない。
場外に出てもみぃを追い回し、セクハラ攻撃を繰り広げる織部を尻目に、同じく場外ではグルクンマスクとレッカがチョップ合戦。
これのビシビシと胸を打つ音が響き渡り、会場中に痛さが伝わっているような感覚に。
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しかし、グルクンマスクが客席上段から勢いをつけて走って行き、攻撃を加えようとしたところをレッカにかわされ、鉄柱にぶつかった際には場内が爆笑。
硬軟織り交ぜた試合が観られるのも琉ドラの楽しさだ。
そんな中、リング上では織部がみぃにヒップバットを連発する展開。
腕をくるくる回しながら、ヒップバットを繰り出す姿は攻撃なのかセクハラなのか…何とも判別しづらい…いや、多分セクハラだ(笑)
そこに登場したのはレッカ。
台湾の貴公子に、みぃはつま先踏みつけ攻撃。
痛がるレッカに向かってボディーアタックを繰り出したが、これをレッカがキャッチ。
お姫様抱っこのような形になり、なぜか満更でもなさそうな表情を浮かべるみぃに会場も笑顔に包まれる。
ところがレッカは、そのままコーナーポストにみぃを座らせると、バイバイと手を振る仕草。
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そこで織部がレッカ同様、みぃをお姫様抱っこ状態に。
これは必死に抵抗し、グルクンマスクとの連携攻撃で逃げ出したものの、グルクンマスクがレッカ、織部のダブル攻撃のターゲットになる。
しかし、これをうまくかわすと織部に「トビウオ」を繰り出す。
この攻勢に会場も沸く。
しかし、織部がグルクンマスクに強烈な蹴りで形成逆転すると、卍固めに移行。
グルクンマスク、ピンチ!と思われたが、みぃが織部の口と鼻を押さえ、呼吸困難の状態に追い込み窮地を救う。
再びレッカと対峙したみぃは、またもやつま先を踏みつけるとボディーアタックへ。
これを再び抱き止めたレッカは、今度は強烈なサイドバスター。
みぃは、レッカの強烈な串刺し式のゼロ戦キックを受けるも、スタナーからダイビングボディーアタックを繰り出す。
これを織部がカットに入ったものの、グルクンマスクがスポンサーの垂れ幕攻撃で排除。
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最後は垂れ幕をしっかりと正面で見せて、スポンサー名を叫び、会場を笑いの渦に包んで、ツイキャス視聴者にしっかり宣伝してみせた。
ここからグルクンマスクは織部を、みぃはレッカをヘッドロックしながら衝突させようとするも4人共が衝突してしまいダウン。
カウントギリギリで全員が上体を起こす、お約束な展開にこれまた会場は笑いに包まれる。
織部に対して、グルクンマスクのアシストでみぃが雪辱を果たす急所へのダイビングヘッドバッド。
さらにレッカを倒す勢いで再度織部の急所にダメージを与える、男性なら誰もが「ウッ」となる展開に。
最後は、グルクンマスクがレッカをフランケンシュタイナーからのエビ固めで下し、勝利をもぎ取った。
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決めるグルクンマスク
硬軟の「軟」が嫌いだというファンもいるだろう。
しかし、プロレスは観客を楽しませることも大事なこと。
プロレスには正解がないのだから、激しさの中に楽しさがある試合があっても良いはずだ。
僕自身は、会場が沸いて、観客が楽しいと感じるのならば、硬軟織り交ぜた試合、いや軟らかい試合でも素晴らしい試合だと言えると考えている。
この試合は、明らかに素晴らしい試合だったと言えるだろう。
もう一点、この試合で感動的だったのは、グルクンマスクの以前の入場テーマ「HERO」が流れたこと。
水木一郎さんの訃報を悼んでのことだったのだろう。
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涙なしでは語れない入場、退場シーンだった。
メインイベント タッグマッチ 45分1本勝負 ウルトラソーキ・ティーラン獅沙vs美ら海セイバー・K-JAX
糸満プロレス祭り、いよいよメインイベントが始まる。
ピンッと張り詰めた空気。
タイトルマッチ前に感じるような緊張感が会場内に張り詰める。
と同時に、期待感と熱さが会場中に満ちていくような感覚も同時に沸き起こっていたようにも思う。
地元出身のプロレスラーがいよいよ、満を持して登場するのだ。
ウルトラソーキのテーマ曲が流れる。
会場が一体となって地元のヒーローを迎え入れる。
会場の一体感と、凱旋試合を喜ぶ気持ちがくくる糸満全体を包むような感じがした。
悠々と入場するウルトラソーキ。
ここまで漕ぎ着けるのに、相当苦労したことだろう。
団体が用意してくれたシチュエーションではない。
一から自分で作り上げてきた、最高のシチュエーションなのだ。
同様に、沖縄出身のプロレスラーであり、ソーキのタッグパートナーであるティーラン獅沙も気合が入っているように感じられた。
余談だが、ティーランは僕の出身地のすぐ隣、南城市出身。
5ヶ月ほど前に、千葉県を拠点とするのプロレス団体「2AW」から遺跡してきた若手のホープだ。
ソーキと並び、琉ドラの未来を牽引するであろう若き世代。
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対するのは、MDCの主力級の選手であり、現御万人王座「琉王」である美ら海セイバー。
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そして、MDCが誇る巨体の持ち主。
攻撃はまだまだ荒削りな感は否めないが、そのポテンシャルは琉ドラ1と言っても過言ではないであろうK-JAX。
筋骨隆々とした体は強烈な威圧感さえ漂う。
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試合開始前から、ソーキはK-JAXを挑発。
何度も戦ってきた2人。
その度にライバル関係を築いてきている。
2人が戦う姿は、まさにど迫力。
これぞプロレスの醍醐味!と思わせるような肉弾戦を繰り広げてくれる。
おそらく、今日も迫力満点の試合を見せてくれるだろう。
まず、対峙したのはティーランとセイバー。
ロックアップからバックの取り合い、息もつかせぬロープワーク。
最後はティーランのコルバタが炸裂して、セイバーが場外へエスケープ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94301030/picture_pc_52f86a442a1ec018791703826013c65b.jpg?width=1200)
ティーランのプロレス技術やプロレス頭は、僕自身の印象ではあるが、セイバーに引けを取らないと感じている。
セイバーも琉ドラではトップクラスの技術とプロレス頭を持つレスラーだと思っており、そこに近い感じを僕は感じているのだ。
リング上は、ついにソーキとK-JAXが対峙。
ヘビー級同士のリングを壊さんばかりの肉弾戦の雰囲気が漂い、会場もボルテージが上がる。
ここから両者によるチョップ合戦。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94301224/picture_pc_ef6a84bd2a5b84cd0bf630d6b1844f8e.jpg?width=1200)
皮膚を叩く音が重く会場内に響き渡る。
どちらも引かず、続いてはショルダータックルの打ち合いに。
体と体がぶつかり合うたびに、会場からは例えようのない声が漏れる。
巨体が交錯する度に激しく揺れるリングが、その衝撃の強さを物語っている。
最後はK-JAXがショルダータックルで薙ぎ倒すと、ソーキの反撃をセコンドのRYUKYU-DOGディンゴが介入して妨害。
K-JAXの強烈なラリアットでソーキは場外へ落ちてしまう。
場外乱闘からリングに上げられたソーキをセイバーが首4の字固め。
ここからソーキはローンバトルを強いられてしまう。
K-JAX串刺し攻撃からロープを利用したスタンディングのキャメルクラッチ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94301543/picture_pc_14a34addb545581b7accc0b91327e9c6.jpg?width=1200)
ソーキはセイバーをスクラップ・バスターで叩きつけてパートナーのティーランにタッチしようとするが、ディンゴがティーランを竹刀で殴りつけ阻止。
ディンゴの行うヒール然としたスニーキーな介入は、観ていて憎たらしいが唸ってしまうほどに素晴らしい。
タッチの機会を逸したソーキに対して、K-JAXが投げっぱなしジャーマンからギロチンドロップを叩き込む。
とにかく巨大で筋肉質な体が躍動する様子は、観客に恐怖と共に圧倒的な強さを植え付ける。
こいつと当たったら負けるんじゃないか?そんな風に思わせる戦い方を観せてくるのだ。
その後もしばらくはソーキの劣勢が続いたが、手拍子の後押しを受け、ソーキは逆襲のブレーンバスターを決めると、ついにティーランとタッチ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94301635/picture_pc_0599c226dca37dbd43dca2c3821a4d6e.jpg?width=1200)
開始からほとんどの時間ローンバトルを強いられたソーキは、かなりダメージが大きそうだ。
ティーランはセイバーとK-JAXを同士討ちさせると、体格差のあるK-JAXに臆することなく攻撃を加えていく。
しかし、その体格差はやはり簡単には埋まらず、セカンドロープからのダイビングボディアタックをキャッチすると、そのまま後に投げ捨てられてしまった。
再びソーキがMDCの2人から攻撃される展開となるが、ソーキは2人まとめてのボディーアタックで形成を逆転。
ティーランがK-JAXに串刺しエルボーを決めると、ソーキは全体重を乗せたキャノンボールをお見舞いする。
その光景に観客からは思わず感嘆の声が漏れる。
その後は、ティーランとセイバーがエルボー合戦。
セイバーがカウンターのレッグラリアートを炸裂させてティーランを排除。
ソーキにはトルベジーノ、バズソーキック、ランニングニーと畳み掛けてカウントを迫るもカウント2でキックアウト。
最終盤、セイバーの放ったトラースキックをK-JAXに誤爆させると、ティーランがノータッチトペコンでセイバーを分断。
ソーキがK-JAXのビッグブーツ狙いの攻撃をキャッチすると、一気に持ち上げソーキドリラー。
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K-JAXはこれを返すことができず3カウント。
ソーキが大事な大事な凱旋試合を自らの勝利で飾った瞬間だった。
会場は割れんばかりの大拍手。
大人も子供も大興奮して、力一杯手を叩き、地元のヒーローを称えていた。
エンディング
ソーキは、その巨体に似合わずと言って良いかは分からないが、泣き虫だ。
これは悪いことではない。
感情を思い切り出せるレスラーは、多くのファンから愛される。
自主興行というプレッシャーもあっただろう。
それを支えてくれた地元の仲間や琉ドラの選手たちの協力もあっただろう。
さまざまな重圧から解放された彼は、涙ながらにマイクを握っていた。
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そばにはティーラン獅沙の姿が。
多くのファンが、その姿に少し笑ってしまいながらも感動を覚えていたに違いない。
プロレスしかない自分が、多くの人を糸満に呼ぶ。
だからまた糸満プロレス祭りをしても良いかと問いかけるソーキに、会場は満場一致の大拍手を送った。
また、地元のヒーローが帰ってくるのを待っている。
期待を込めた拍手が、会場中を覆った。
そして、ここからがソーキの真骨頂だ。
糸満には正義も悪もない。みんな仲間だ。
そう言って、今大会に出場した全員をリングに上がるように呼びかけた。
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いつもなら上がってこないMDCの面々も、ゆっくりとリングに上がる。
そして、ソーキはK-JAXと握手を交わす。
ライバル関係にある男同士の固い握手。
僕はそれが見れただけで、感涙ものだった。
そして、どことなく締まらないような、締まるような(笑)「1、2、3、糸満プロレス!」の掛け声で大団円。
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ソーキの、そして糸満の長い長い一日が終わった。
試合終了後の売店近くで、ソーキは写真撮影に応じていた。
疲れ切った体に鞭打って、ファンに喜んでもらおうと。
僕も、知人を連れて行き、その知人とソーキを撮影。
しんどそうに僕の肩に手を置いていたソーキ。
それでも、心の中では安心感と満足感で満たされていたことだろう。
ソーキ、お疲れ様でした。
自主興行を成功させて、また大きなレスラーになれたと思うよ。
とは、面と向かってはとても恥ずかしくて言えないので、ここに書かせてもらった。
知人も、初めてのプロレスを楽しんでくれていた。
最高のプロレスを観せてくれてありがとう。
糸満プロレス祭りは、2022年最高の興行だったと、誰にでも胸を張って言える素晴らしいものだった。
感動をありがとう。心からの謝辞を送ります。
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