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精密切断機は『日常メンテナンス』が命です!③【お掃除編】

精密切断機のお掃除は切削屑を取除くが基本です。切断して終わりではなく、切断して切断屑をすぐに取るという作業までを一連のルーティンとしましょう。

①切断室の掃除

切断後には、切断室内に切削屑が飛び散っている状態です。塊りとなった切削屑を取除き、細かい切削屑はウエスや雑巾で拭き取り出来るだけタンクへの流入を減らしましょう。この時、切断室の側面の壁、天井も切削屑が付いていれば拭き取りましょう。

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一日の終わりには、砥石を外して砥石カバーや軸回りに着いた切削屑を取除きましょう。テーブル同様に切断位置に最も近い箇所になりますので、切削屑の汚れが多く付着しています。これを放置していると、切断軸周辺のトラブルが発生します。1日1回は掃除を行って下さい。
その後、洗浄ホースで切断室を洗い流し最後にウエス等で水分を拭き取ります。切断室の前面の窓も1日1回は掃除しましょう。窓の汚れは表面に蓄積し固着し取れなくなります。曇りの原因になり段々と見え難くなってきます。

②タンクのフィルタ掃除

切断する試料によって、切削屑が塊りとなるなったり、砂の様にサラサラのようになるものが有ったりと切削屑の形状も変わります。ここで大きな切削屑をフィルタリングしますが、切削屑が小さく多くが通過してしまう場合は、フィルターのメッシュを小さくすることで対応出来ます。
タンクのフィルタには多くの切削屑が溜まりますので、1日1回は掃除を行いましょう。フィルタが取外せれば、外して掃除をしましょう。
この掃除が出来ていない場合が多く見られます。クーラントを安定させる効果が大きいので少し手間ですが、是非習慣化して下さい。

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③タンク内の切削屑の掃除

メッシュを通過した、細かい切削屑はタンクの底に溜まります。この切削屑を取除きます。取れる範囲で構いませんので定期的に行いましょう。
鉄系の切削屑であれば磁石を使った清掃が効果的です。また、マグネットフィルターを設置すれば清掃の手間が減り工数削減になります。

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非鉄金属など磁石に付かない場合は、メッシュのひしゃくや掃除用のネットなどで切削屑を取除きましょう。
例えばこんなモノ ↓

ポンプも汚れが固着しやすい箇所ですので、拭き取り掃除を行って下さい。ポンプのトラブルは、汚れの固着や錆により回転時に負荷が掛かりサーマルスイッチ(過電流検知)がトリップしてしまうというものです。定期的な掃除をしていれば、まず発生しないトラブルです。
タンク内の掃除頻度としては、1週間に1回行うようにして下さい。これと合わせて、クーラントの色の変化や臭い、バクテリアの発生が無いかなどの確認をして下さい。また、クーラントの水面に油が浮いていたりする場合は、切断室のグリスや潤滑剤が流れ込んでいる可能性があります。表面に浮いた油分を取除き、切断室内に過剰にあふれているグリス等があれば拭き取り清掃しましょう。
屈折計、pH測定器があれば清掃時に合わせて確認しましょう。

④クーラント交換時のタンク洗浄

クーラントを交換する時は必ずタンク洗浄を行いましょう。タンク内の壁や底板には金属イオンやバクテリアが残っており、掃除をせずに新しいクーラントを入れても直ぐに劣化が始まるからです。
タンク洗浄は、中性洗剤やアルコール等を使ってしっかり汚れを取る事が大切です。腐敗臭や白い異物等が見られる場合は、バクテリアが発生していると考えて下さい。その場合、通常の洗浄作業に加え、洗浄後に天日干しを1日行うと効果的です。
長期休みになどで、装置を使用しない場合はクーラントが滞留することでバクテリアの大量発生につながる可能性があります。長期休み前のタイミングでクーラントを捨てて、タンクを洗浄した状態にしておき、休み明けに新しいクーラントを入れるというサイクルが理想的です。

まとめ

・クーラントが劣化する原因は、金属イオン、異種金属接触腐食、
バクテリアであり、これにより防錆、防腐機能が低下する

・クーラントの機能を最大限に発揮するには、掃除、濃度管理、pH管理が必要である

・クーラントの掃除には、切削屑を出来るだけ取除くことが大切である

これまで、何も日常メンテナンスが出来ていないという方は、まず切断室の掃除とタンクのフィルタ掃除から初めてみて下さい。これだけでも、何もやらない状態と比べるとかなり違いが出るはずです。
機械装置は、汚れにより状態が悪くなっていきます。精密切断機のような水を使うものであればなおさらです。どんな装置でも、奇麗に使ってもらえれば、必ずそれに答えてくれます。

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