ヨグラ

シン・ヨグラvs南海のタピラ FINALWARSの逆襲総進撃

 西暦20XX年。
 世界は空前のヨーグルトブームに沸いていた。
 タピオカヨーグルト、ヨーグルト麻婆茄子、ヨーグルトトムヤムクン、ヨーグルトうなぎゼリー、ヨーグルト鮎の塩焼き、タピオカミルクティーなどが爆発的にヒットし、酪農家は「小学生の選ぶ、将来youtuberの次になりたい職業」のナンバーワンに君臨するまでになったのである。

 しかしそれは同時に、毎日廃棄される大量のヨーグルトという問題を抱えていた。
 各国首脳は7日7晩にわたる徹マンの末、「海の生き物も健康になるし、海に棄てればいいんじゃね」宣言を国連で可決、1日に50000トン以上のヨーグルトが世界各地で海洋投棄されることとなった。

 このおかげで海は元気になり、クジラやウナギなどの絶滅危惧種は頭数が1年で50倍に、サンゴ礁は七色に輝きだし、ウニのトゲは3倍に伸び、ウツボは積極的に人を襲うようになり、ホホジロザメの頭は3つに増えた。
 
  良いことづくめのようなこの状態は、突然のしっぺ返しを喰らうことになる。
 放射性乳酸菌廃棄物を大量に摂取した深海生物が突然変異し巨大化、陸上二足歩行に対応し霞ヶ浦から出現、東京に侵攻を開始したのだ。

 ブルガリア政府はこの巨大不明生物を『ヨグラ』と命名、自衛隊は直ちに利根川を絶対防衛ラインとする駆除作戦を展開する。

 対戦車ヘリによる誘導弾、戦車による砲撃などをものともせずヨグラは侵攻を継続、高熱殺菌ビームや低温チルド光線も跳ね返し、口から超高圧ヨーグルト水流を噴射。
 作戦司令部及びヘリ・戦車大隊、著名人にクソリプを送るネット論客、振り込め詐欺の主犯格の家は粉々に粉砕され作戦は失敗に終わる。

 その後、都心に侵攻したヨグラは在日米軍の攻撃すら意に介すことなく、著名人にクソリプを送るネット論客、オレオレ詐欺の受け子の家、怪獣映画のパクリでnoteコンテストの受賞を狙う奴の自宅、京成津田沼駅で筆者の財布を置き引きした奴などを完膚なきまでに破壊し、エネルギー切れのため一時休眠状態に入った。

 時の執権、明治(あきら おさむ)は日ノ本を守るために一計を案じる。
 放射性乳酸菌廃棄物の摂取で誕生したのであれば、より多くの美味しいヨーグルトで浄化できるはずだと。
 
 世界各国からヨーグルトが集められ、砲弾や爆薬に加工される。
 その日、世界からヨーグルトは消え、東京に全てのヨーグルトがあった。
 いや、ヨーグルトの全てがあった。

 ――作戦開始。

 まず、無人在来線ヨーグルトが線路からヨグラを襲撃する。
 「GRUUUUUAAAAAAHHHHHHH!!!!!!!!」
 ヨグラの絶叫が響き渡り、直撃した上腕部が浄化され溶解、白骨が露出する!
 「いけるぞ!」
 続けて無人コンテナ輸送機からプレーン、いちご、りんご果肉入り、アロエなど各種ヨーグルトが投下されヨグラの全身が瞬く間に真っ白なヨーグルトに覆われた!
 
 「GSYAAAAAHAHAHAHA!!!!!」
 ヨグラも超高圧ヨーグルト水流や上段後ろ回し蹴りなどで応戦!
 たちまちのうちに輸送コンテナ機部隊壊滅!

 「怯むな!世界の絆の力を見せる時だ!」
 明治の号令の下、第2、第3のコンテナ機がヨグラを襲う。
 そのコンテナには、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタンなど各国の国旗。
 まさに世界が一丸となってヨグラに立ち向かう意思を示した証であった。

 作戦開始から12時間後、ついにヨグラは全身を浄化され、母なるヨーグルトへと還っていった。

 ヨグラ大災害からの復興が進む都心を六本木ヒルズの最上階から眺めながら、明治はその向こう、東京湾へと思いを馳せる。

 「我々がまたヨーグルトへの敬意を忘れてしまったとき、きっと第2、第3のヨグラが現れるに違いない」


               完 

 

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