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ツイッターをするときは「TRAIN-TRAIN」をBGMにするべき

 ツイッターをする時は、THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」をBGMにすればいいと僕は思う。

 もう、ツイッターを利用している人すべてがそうすれば良いと思う。特に僕らみたいな、毎日のように右だ左だ男だ女だ喧嘩しているような人たちはさ。


 たとえば、ツイッターで論争が起こっている時、あるじゃん。いつもだけどさ。

 そういう時、「TRAIN-TRAIN」を再生するとこんな言葉が耳に入る。

 〈弱い者たちが夕暮れ更に弱い者を叩く/その音が響き渡ればブルースが加速していく〉

 まさにツイッターのことだ。

 ツイッターで論争している人なんて、全員自分が一番弱いと思っている。それで更に弱い奴を叩いている。

 ああ、今日もツイッターではブルースが加速しているなあ。

 そう思うと、ちょっとだけ、論争している連中、どちらのサイドに対しても見る目が変わる。

 わけの分からない悪と戦っているんじゃなくて、多分、わかりあえるところがある同じ立場の人同士なんだなあ、と感じて、少し気が楽になる。別に相手の思想と分かり合えはしないだろうけど、汚い言葉を使うのはやめようかなとかそういう気持ちが湧いてくる。

 ちなみに、だからといって「俺たち同じなんだからむしろあいつを叩こうぜ!」となってはいけない。多分、そのあいつも弱い奴だから。


 ツイッターで「この国は地獄だ!」とか「どいつもこいつも屑ばっかり。最低だ」とかいうワードがTLに流れてきたときも「TRAIN-TRAIN」を聞くと良い。そういうときはこんな歌詞が耳に入ってくる筈だ。

 〈ここは天国じゃないんだ/かといって地獄でもない/良い奴ばかりじゃないけど/悪い奴ばかりでもない〉

 ちょっと頭が冷める。

 そうだよなあ。そんなもんだよなあ、という気分になる。

 自分の身の回りを全否定するのも、全肯定するのもなんだか違って、良いこと悪いことが沢山あって、というのを前提にしないとなあとなって「いや、どこぞに比べればここは天国だよ!」とか「その通り!ここは地獄だ!」とかヒートアップすることがなくなる。

 良い歌詞だ。


 ツイッターをやっていると「お前は正しくない。何故ならこういうことをしているからだ」と糾弾されることがよくある。逆に、なんとなく尊敬していた人がエロDMを女子大生に送っているとか、ヘイトスピーチをしているとかで悲しくなる時がある。

 そういう時も「TRAIN-TRAIN」を聞けばいい。こんな歌詞が聞こえてくる。

 〈聖者になんかなれないよ/だけど生きてる方がいい〉

 まあ、そうだよなあと思う。

 僕らは僕らという時点でポリコレ的に正しくない存在だ。その上でどう生きるか、というのを判断基準にしようという気になってくる。

 糾弾されて落ち込んだ気分がちょっと回復するし、エロDMを送ってることが判明した尊敬する人を、ブロックじゃなくてミュートで済ませようという気分になる。


 こんな感じで、「TRAIN-TRAIN」を聞けば、なんとなく気分が丸くなる。

 別に何か解決してくれるというわけではない。

 ただ、「ああ、本当、自分って、あいつって、この世界って、どうしようもないよなあ」と苦笑いできる気分になる。ともすればヒートアップしそうな気持ちがちょっとだけ冷めて、周りを見られるようになる。気がする。

 まあ、偉い人も言ってたじゃないか。ロックンロールは君の悩みを解消はしない。悩んだまま、踊らせるって。


 とにもかくにも「TRAIN-TRAIN」は、ツイッターに満ちている怨念すべてを乗せて発車してくれる。さあ、皆、あの栄光へ向かって走っていこう。

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