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塗り難民救済か!? 自動彩色AI「CoPainter」βテスト参加を終えて

前回記事の最後に紹介した自動彩色サービス「CoPainter」のクローズドβテストに参加してきたので、その所感を述べたいと思います。

■「CoPainter」とは?

その名の通り、線画に対して自動的に塗りを行ってくれるサービスです。
Copainterはウェブアプリです。高いPCスペックもプログラムの知識も不必要で誰でも使うことができます。

必要なものは「線画」と「下塗り」の2枚だけです。

「下塗り」の1~2影については、あってもなくても最終的には影込みの彩色結果が得られます。影のイメージがハッキリしている場合はあったほうが出力結果をコントロールしやすいですが、必ずしもあったほうがいい結果が得られるとも限りません。

後述するAIの影響力調整との兼ね合いなどで判断するとよいと思います。

以下は、実際のアプリ画面です。

「CoPainter」では、他の生成AIのようなプロンプトはなく、ゲージバーでAIの干渉度を%で指定する形になります。

→「Normal」 or 「Strict」項目

こちらは線画に対するAIの干渉度を示します。
「Normal」では線画の書き込んでいない部分や設定していない面をAIが判断し、ときにはないところに線があるかのように塗り結果が出力されます。
一方、「Strict」は参照した線画を重んじ、完全にそのままの線だけを用いて塗りが出力されます。

→「入力画像に忠実にする」~「AIの補完を強める」

こちらは塗りに対するAIの干渉度を示します。
「入力画像に忠実にする」に寄せれば寄せるほど、下塗りのテイストを維持したままのあっさりした塗りになります。
一方、「AIの補完を強める」に寄せれば寄せるほど、下塗りにはない陰や光が出力されるようになります。

文面での説明はこれぐらいにして、次項では実際の出力結果を見ていきましょう。

■出力結果

線画
下塗り

以上の2枚が今回使用した線画と下塗りです。
もともと完成していたイラストのレイヤーをテストに用いたので、下塗りはかなり塗りこんでいますが、実際には影なしのレイヤーでも十分満足な出力結果が得られたことは後に確認しています。


線画は「Normal」で塗りのAI干渉度は75%です。
コーヒーカップの上に水面ができてしまいましたが、それ以外はなかなかまとまっているように感じられます。

線画は「Stirict」で塗りのAI干渉度は75%です。
AIっぽさはあるのですが、ワンクリックで下塗りがこれだけの完成度になるなら用途によってはもう十分だと感じました。

■応用例

設定を「Strict」(線画に対するAIの干渉を低くする)にすると、線画は100%維持されます。
これによって、部位ごとの出力結果の厳選、部位ごとのカラーチェンジ、などの複数出力結果の組み合わせが容易になった、という点があります。

例えば、肌の色レイヤーには出力結果Aを重ね、服の色レイヤーには出力結果Bを重ねる、といった形です。
他には、トーンカーブを調整して出力結果の一部レイヤーのみ色を変えるとか、グレースケール化してGtC塗りで厚塗りにすることもできます。

従来のイラスト生成AIでは線画を100%維持することが難しかったため、このような細かなカスタムには向かなかったのですね。

また、驚くべきことにCoPainterで出力された塗りはレイヤー別でのダウンロードも可能です。その気になれば、無数の応用例を発見できるでしょう。

もちろん、この操作を行うには下塗りをレイヤー分けしておく必要があります。が、一般的な手順でイラスト制作しているのであれば、元々そうなっているはずです。

また、キャラクターの線画内にだけ塗りが発生するので、他の背景素材との組み合わせも容易です。

下記は、前回のAI抽出アプリで背景を制作し、線画と下塗り以外をフルAIで仕上げた出力結果と組み合わせた作品です。


どうでしょうか。

イラストの出来自体はイラスト生成AIのそれと変わらないか劣るかもしれません。しかし、自由度の高いカスタムが可能だという点は非常に魅力的だと思えました。

私は塗りがあまり好きではないので、製品版がリリースされたら、カラーラフを制作するのに使いたいと思いました。

■総評

CoPainterはイラスト制作補助アプリとして革命的であると思いました。
前回紹介した線画抽出AIもそうでしたが、イラスト制作補助というところが肝です。

というのも、これまでのイラスト生成AIはそれ自体で自己完結しており、イラスト制作補助には使いにくいところがありました。

また、上記のような事情もあり、親AI派と反AI派の間には大きな断絶があったことは否定できません。今後は、これらのようなイラスト制作補助アプリが発展し、両者の溝を埋めるきっかけになれば、と個人的に願わずにいられません。

なお、CoPainterは「近日リリース予定」とのことですが、具体的な日時は発表されていません。また、クローズドβテストもすでに終了しています。

制作元のRADIUS5さんのツイッターアカウントはこちらです。

RADIUS5(@RADIUS5Inc)さん / Twitter

製品版の登場が待たれますね。

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