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灰原が2023年に改めてメインにされる嬉しさと一抹の不安(後編)

■劇場版のメイン

●「黒鉄の魚影(サブマリン)」あらすじ

世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ海洋施設「パシフィック・ブイ」が東京・八丈島近海に建設され、本格稼働に向けて世界各国のエンジニアが集結。
顔認証システムを応用した、ある新技術のテストが行われていた。一方、コナンたち少年探偵団は、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていた。
するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員が、ドイツで黒づくめの組織のジンに殺害されたという知らせが入る。
不穏に思ったコナンはパシフィック・ブイに潜入するが、そこでひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生。そして、八丈島に宿泊していた灰原のもとにも黒い影が忍び寄る。

映画.comより

灰原を掘り下げる以上、黒の組織が登場するのは必然的と言えるが、「天国へのカウントダウン」とは違いFBIの面々と対決が描かれる。
第20作「純黒の悪夢」の時に登場したFBIと組織の面々に加え、FBI(というか味方)側には赤井兄弟の父親である「赤井務武」説が囁かれている黒田兵衛管理官、組織側では「純黒の悪夢」の際は加工した音声での登場だった組織のNo.2ラムが自身の姿と共に登場する。

ジンの後ろにいる目が光ってるのがピンガかな

それに加え第13作「漆黒の追跡者」に登場したアイリッシュ、「純黒の悪夢」のキュラソーと同様に今作オリジナルの組織のメンバー「ピンガ」が登場する事も判明している(今作に限らず今後原作に登場する可能性もあるが)。
この様に多くのキャラクターが入り混じる作品となるはずだ。
それが、個人的に抱いている不安な点なのだ。

●灰原の映画なのだろうか

「ハロウィンの花嫁」上映後に流れる予告ではジンがシェリーの名前を呼ぶという内容で灰原と組織の映画である事は明白だった。前述のようにとても嬉しかった。
2022年11月30日に30秒の予告と青山先生によるポスターが解禁。依然灰原は中心にいるものの、両脇には人気キャラクターの赤井秀一とみんな大好き安室さん(今回はバーボンかな)が大きく描かれている。これを見た時に、正直少しだけガッカリしてしまった自分がいた。

青山先生のポスターの時点でキャラ多いな…って
思いました

大変勝手ではあるが、今作では灰原の心情にフィーチャーした内容を見られると思っていたからだ。蓋を開けてみればここ数年よく見るいつもの赤井安室である。
赤井さんは前々作、安室さんに至っては昨年メインを張った(もちろん安室さんだけがメインって訳ではないのは分かっているが)ばかりだ。
勿論、赤井さんも安室さんも嫌いなわけでは決してないし、映画に出てくれるのは嬉しいのだ。だが、私自身が勝手に灰原がメインという事実に対して期待をしすぎてしまった。それだけの事なのだ。

●脚本について

それに加えて、脚本の櫻井武晴氏が前回担当された「緋色の弾丸」にそこまでハマる事が出来なかったという非常に個人的な懸念もある。
それよりも前にに担当された「純黒の悪夢」や「ゼロの執行人」は好きなのだ。

この2作との違いは“要素の多さ”ではないだろうかと思う。

「緋色の弾丸」のメインは赤井ファミリーであり、FBIに属する赤井秀一、棋士として活躍する羽田秀吉、MI6に属するメアリーとその駒として暗躍する世良真純という立場や組織、個性の違う4人をそれぞれ活躍させる必要があった。

つまらない訳では決してないんだけど…。
2年ぶりということでハードルを上げすぎた
自分も悪い。

それと比較すると「ゼロの執行人」は安室率いる公安、「純黒の悪夢」では黒の組織でそこまで複雑ではない様に思える。
それを踏まえた上で、今作ではFBIと組織の戦いを描きながら、灰原についてしっかりと描写してくれるのだろうか。

まぁ様々な要求に応えながら、これだけ複雑な関係性を持つキャラクターを活躍させる脚本を描くのは本当に難しいとは思うし、それを毎年こなして下さる脚本家の方々には頭が下がるのだが…。

そんなモヤモヤを抱えていた頃、本予告が解禁になった。それを見て全てがひっくり返った。

灰原が恐らくゲストキャラクターであろう人間に向かってこう話しているのだ。

「私は変われた…だから信じて!」

ゴチャゴチャ言ってすみませんでした!!

あの灰原が!犠牲になって死にたがっていた灰原が!他人に向け自分の様に変われるという事を説いている!そんな作品が…

面白くない訳ないだろ!!!!

さらに…

ピスコの時のやつ…

「知ってるか?そいつをかけてると正体が絶対バレねーんだ。
クラーク・ケントもびっくりの優れものなんだぜ?」のやつじゃん!

と、あまりにも往年のファンを喜ばせるシーンの連続で、これまで抱いてた不安や不満が吹き飛んでしまったのだ…。

さらに、先週3月7日「ハロウィンの花嫁」のTV放送後の特別映像では、幼少期の安室さんと灰原の母であるエレーナの姿。

「バイバイだね…零くん…」

そして回想で灰原の姉宮野明美が青山先生の原画と思しきタッチで描かれているのが確認できた。

“哀しき”が灰原の名前と掛かってるのもズルい

そう、この2人こそ私が先程“ここ数年よく見る”と揶揄してしまったみんな大好き赤井秀一&安室透と灰原哀を繋ぐ人物なのだ。
赤井は組織に潜入していた際に宮野明美と交際していた過去があり、安室は幼少期にエレーナと接点があり彼女に好意を抱いていた。

この映像を見た時に私は考えを改めた。

今作は灰原をメインに据えた物語であり、彼女を掘り下げるためにFBIと組織の対決が必要なのではないか。

ここまで肯定的に思う事が出来るようになった。

恥ずかしながら、往年のファン(というか私自身)とは面倒臭いもので、これまでの歴史の積み重ねの様なシーンにはとことん弱く、このように無様なまでに簡単に手の平を返してしまう。

「天国へのカウントダウン」から実に22年の時を経て灰原哀を劇場版でどのようにメインとして扱ってくれるのか。
色々思う事はあったが、今では楽しみでしかない。
灰原メインの劇場版を見れる事に感謝するばかりだ。

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