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FEAR OF THE DARK AND BEYOND

俺の住んでいる町はいわゆる都市部で、夜中もそこらじゅうに電灯がついている。大変便利で、治安の面から考えても実に安心なのであるが、夜になっても完全な暗闇がなく、星すらロクに見えない都会は、想像し創造する環境という見地に立てば、不便この上ないと俺は考えてきた。

故水木しげる先生は、「電灯がそこらじゅうにあるせいで暗闇が追いやられ、都会に妖怪が住めなくなった」とかつて述懐しておられたが、これはまったくそのとおりだ。

暗闇がもたらす想像力というのは実に強い。子供のころ、オバケの特番を見ると夜中トイレに行けなかった記憶、君にもあるんじゃない? 暗闇というものは、俺たちの根源的な恐怖を増大させ、怪奇を畏怖する心を刺激してくれる。こうした根源的な恐怖は、人間の想像力と創造力に活気を与え、さまざまな魔物や悪鬼が現れるきっかけになってきた。

だから俺は夜が好きだ。別に暗いと安心するわけじゃない。その逆だ。怖いから好きなんだ。小さな灯りがあるとさらにいい。安心するのもあるが、灯りがあることで、周囲の暗さがさらに際立つからだ。焚き火ができれば最高だけど、ランタンやロウソクにも良さがあるね。

夜を好きな理由は色々あるけど、その一つに、「太陽の逆側、つまり太陽系の外側を向いている」という事がある。太陽の光が当たっていないということは、つまりそういうことだ。いや、昼間も、太陽を挟んで外宇宙を見ているんだけど、俺が言いたいのはそういうことではない。

俺たちの見上げる空は、太陽系の外側、遠く宇宙のかなたまで繋がっている。そして夜は、よりそれを強く感じられるということだ。キラキラ光る星々は(木星とか金星とか月とかの太陽系内惑星および衛星はともかくとして)、いずれも太陽よりデカい恒星だ。それぞれに付帯する惑星には、地球みたいな星がゴマンとある。 ロマンあるじゃないの。

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