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ペイント大全ショウケース:広場の大きな布告板 パート2(羊皮紙、文字と絵の描き込み、銅細工、鉄部材、サビ、地面〜完成)

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よくぞ来た。前回のペイント大全で、主な部材である木材部と、雨除けのペイントを済ませた「広場の大きな布告板」。後半となる今回は、いわば“主役”である布告の数々と、正面の枠を彩る飾り物を塗り上げ、細部とベースを仕上げて完成まで持っていく。

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こいつが完成像だ。今回のショウケースでは「羊皮紙のペイント」「文字や図案の描きこみ」「金属細工とサビの表現」「地面のペイントと苔の表現」を紹介する。君がこの布告板を制作する時はもちろん、「漢たちのシルバニア」各アイテムや、その他のミニチュアにも応用の効くテクニックばかりだ。今回の内容が、君のペイント表現の幅を広げる助けになれば嬉しい。

それじゃあ、早速行ってみようか!

羊皮紙のベースコート(フラットペイント)

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まず最初に、羊皮紙部分を骨色である112【ボーン】でムラなくフラットペイントする。厚塗りせずに、薄塗りで何度も重ねること。俺は今回、ボーンを4回塗り重ねたよ。

ここで一番気をつけなければならないのは、濃すぎるカラー。面積が広くてなおかつ平らな場所だから、カラーをグチャグチャ塗り広げると、表面がデロデロのボコボコになってションボリする。

広い面のフラットペイントをうまくやるには、普段のフラットペイントよりも気持ち薄めにするのが肝要。飲むヨーグルトぐらいの濃さが目安。そして、1回ペイントした場所は、カラーが乾くまで筆をつけないこと。濡れている塗面にさらに筆をつけることで、塗面が荒れるからだ。これは「返し筆」というやつ。やらない方がいいと昔から言われているし、俺もそう思う。

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筆を動かす角度も大切だ。1回目は横に塗って、2回目は縦に塗る。3回目はまた横で、4回目は縦だ(最初が縦で2回目が横でもいい。どっちでもいいんだ)。その都度カラーを乾かすことと、筆が90度で交差するように塗り重ねることが、筆ムラや凹凸を作らずに広い場所をキレイに塗り上げるコツだ。

絵の描き込み(ドローイング)の前に

さて、いよいよ布告板に掲示された大小の羊皮紙に情報を加えていく。この布告板について、俺は以下のような物語を想像した。

1.  これは人間の町にあり、広場で様々な情報を知らしめるためにある。
2. 文字が読めない人々は、布告人の話を聞かなければならない。すなわちここに書かれている情報は、それなりに教養のある人々に向けたものだ。
3. 一番大きなものは手配書で、小さなものは何かの募集や布告、なにがしかの広告の類であろう。

文字はあとで書き込むとして、まずは目立つ絵を配していこう。でも、ミニチュア上に絵を描くことに対して抵抗がある人はむちゃくちゃ多い。学校がひどい教え方をしたり、人の描いたものにむやみに批判的な人に攻撃を受けたせいで、「俺は絵が苦手なんだ」「俺には絵なんて描けない」と思いこまされている人がたくさんいるからだ。

そういう人は、君に絵心がないと決めつけた連中のことは忘れて俺を信じろ。君ならできる。すでにミニチュアペイントしてるじゃん。初めたてでもかまやしない。経験の長短など関係ない。君はミニチュアペイントを楽しむ立派なクリエイターだ。君のことをクサした連中は負け犬である。ワンワンキャンキャン吠えさせておいて、俺たちは楽しもう。

揺るがぬ事実を伝えよう。君は、君が1才の時に描いた絵よりも、絶対うまく描ける。空間認識力や観察力、思い浮かべたものを指先で表現するための指の運動や脳との連携も、1才の時より育っているはずだ。君は当時と比べ、自分でトイレに行くこともできるし、おなかが空いても泣きわめかず、絵もうまくなっている。当たり前のことだ。最初のライバルは、初めてクレヨンを握った時の君自身だ。他のペインターとかイラストレーターとか画家とかそういうのは忘れろ。練習量が違うんだから、そもそも比べるな。

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