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ペイント大全マスターズ:骨(装飾品)

よくぞ来た。先日のカウンシル記事「開業1ヶ月にあたって思うこと。これからのこと」で約束した通り、今日は「ペイント大全マスターズ:骨(装飾品)」だ。固有のテクニック解説ではなく、特定の題材を俺自身がどうペイントしているかを実験的に紹介するとしよう。

無論これは俺の場合というだけで、唯一無二の方法じゃない。一つの例だ。さらに言えば、ミニチュアの種類や表現したいことによって、俺自身、使うカラーの色や使用するテクを大幅に変えることもある。とはいえ、何か特別にやりたい事がない限り、俺が「骨の装飾品」をペイントする時は、大抵この流れでやっているよ。

今回は全てのステージを、一切の省略なく、また俺が普段やっているコトを全て見せる。写真もテキストもエラい量になったけど、ペイント自体にかけた時間は合計で1時間ぐらいだ。写真撮影の時間や原稿を書く時間は、まあエライかかったけどね!

君がもし、ミニチュアペイントを始めたばかりだとしたら、この記事で俺が何を、何の為にやっているのかよくわからない時があるかもしれない。すぐにマネできないことも入っているだろう。でもどうか心配しないでくれ。これはかなり手の込んだペイント法で、もっとシンプルかつカッコよく骨をペイントする方法もある。

今日はマスターズだから、かなり発展的な事を説明もなしにサラッとやるけど、それは「君を置いて行く」という俺の意思表示じゃない。俺は、初心の友である君を絶対に見捨てたりしない。だが同時に、ミニチュアペイントの持つ奥深さや道のりの先にある楽しみについても君に紹介したいし、こういった発展的な内容を希望するハードコア趣味人も、購読者の中には沢山いるんだ。だから、君がもし初心の友であるなら、今回の記事は将来の参考として楽しんでくれ。ペイント大全ベーシックで一通り知識を身につけ、ミニチュアをどんどん仕上げて行くうちに、いつかこの記事が君の役に立つ時がくるはずだ。

また折をみて、シンプルな骨のペイント法やカラーパレットも紹介するつもりだ(どのくらい早くやるかは、要望がどのくらい集まるかによるけどね!)。


骨のあるヤツは前に出ろ

骨。動物のものにせよ、人のものにせよ、骨というのは、俺たちの世界でも、古来より装飾品や道具の素材として活用されてきた。オールドスクール・ファンタジー世界でも、骨は様々な局面で出てくるよね。スケルトンをはじめとしたアンデッドみたいに、それこそ「骨」がキャラクターとしても成立しているわけだけど、ミニチュアを見てみると、意外な連中までもが骨を持ち歩いているものだ。例えば骨飾りの類とか、ドクロを吊り下げてたりとか、骨を使ったアクセサリーや日用品なんてものまである。いわゆる「イイモン」の連中が、平気でドクロの盃を愛用していたり、骨の首飾りを身につけ、敵の体の一部を戦利品として持ち歩く世界なのだ。つまる所、君がどんなミニチュアを集めているのであれ、「骨」は実に多くのペイント機会がある題材ってことさ。

今回、「スケルトン」「リッチー」「ワイト」みたいな連中の骨ペイントじゃなく、「装飾品」と限定しているのは、実は理由がある。アンデッドの場合、「骨」の部分は、他ミニチュアでいう「肌」の部分と同じだ。だから、「肌」と同じように、かなりダイナミックな陰影をつけるし、ハイライトのかけ方も、より全体を意識したものになる。

でも装飾品となるとそうもいかない。例えば、今回ペイントした魔女は、ハーミットイン商店で売っている「魔女の集会」(3体+鍋)」の1体だけど、彼女は杖の先にいくつものドクロをくくりつけている。これは、それこそ何人もの「顔」がギュッと一部に固まっているようなものだ。こういうのを、いわゆる「肌置き換えでの骨」と同じようにペイントすると、ちょっとクドくなるし、肝心の魔女の顔に目が行かなくなってしまう。あくまでも「引き立て役」として仕上げるのが肝心だ。

ミニチュアが身にまとう「骨」は首飾りかもしれないし、ブレスレットかもしれなし、腰から下げているかもしれないし、あるいは武器や持ち物の一部に使われているかもしれない。骨は「明るく」「目立つ」色をしているから、ペイントにおいても、いわばアクセントとなる見せ場だ。ゆえに「装飾品の骨」をペイントする時に大事なのは、主張しすぎないようにまとめること、そして手抜きをしないことだ(この二つの言葉は、これからのマスターズで何度も使う事になるだろう)。それこそ、ハイライトを控えめにペイントしても、ミニチュアが白い服でも着ていない限り、骨は充分に目を引く仕上がりになるぜ。

んー。能書きが長いね。見せちゃった方が早いな。それじゃいってみよう!

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「骨の装飾品」完成。今は他部分がアンダーコートのままだからちょっと暗く見えるけど、他部分をペイントしたら、幽玄な骨色が浮かび上がってくる。


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