🔰ペイント大全ベーシック:筆の種類と選び方伝説

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よくぞ来た。今日は筆について細かく丁寧に語ろう。

筆で塗る、ということ。ミニチュアペイント大全はそれに特化している。筆選びは確かにペイントテクじゃないけど、すごく大切な一歩だ。ここで俺が大いに強調したいのは「どんな筆を選び、それをどのように使うかは、ペイントの楽しさと仕上がりを左右する大きなファクターだ」ということである。

指先の延長となる「筆」は基礎にして最重要のツールだ。小学校の授業においてすら使うこの「筆」だけど、それゆえに筆に関する間違った思い込みや決めつけは少なくない。俺たちが学校で使った筆は「水彩用絵筆」であり、ここで俺が語る筆とは正直言って別物である。だから俺は、筆についてチャンと書くことにした。大事だからだ。

ミニチュアペイントで使う筆

筆と言っても色々ある。100円ショップでも、摸型店にもある。画材店に行けば数千円の高級筆もある。

そもそも筆はなぜこんなに値段が違うのか？　それは、筆の原料となる毛の素材、筆の製法、あるいはブランド付加価値などに起因するものだ。

水彩・油彩・岩絵の具問わず、いわゆる「絵画用」の筆はいかにもアーティスティックだけど、軸が長すぎ、筆自体も大きすぎるから使わない。ミニチュアペイントでは「細い画材筆」か、「模型用」の筆から選ぶことになる。

俺自身、模型用の面相筆は現在使っていないけど、筆には好みがあるから、「コレが一番」というのは絶対にない。「色々試して好きに選びなよ」が真理なんだけど、それじゃあガイドにならないよね。

なので今回のペイント大全では、俺のオススメ筆を紹介しつつ、ボーナストラックで、筆についての基礎知識と、君が筆選びの時に知っておくといいアドバイスも紹介する。

🔰初めての筆選び

最初のうちは「安い筆でいいよね」と思うだろう。でも、安すぎる筆はやめときな。なぜか？　品質が悪すぎる筆を使うと、ちゃんと塗れないだけでなく、ペイント自体が難しく思えてしまうからだ。

俺自身、小中学生のころは、模型用の安筆を使ってペイントし「ファッキンファック！　塗れましぇーん」と思っていた。高校生でようやくウィンザー＆ニュートンのシリーズ７と出会い、見違えるようにスキルアップできた経験がある。

オススメ：コートデアームズ スターターブラシ

これからペイントを始めようとする人やまだ不慣れな人には、ぜひオススメしたい筆のレンジがある。それがハーミットイン商店で購入できるスターターブラシ群だ。

これらのスターターブラシはドイツの老舗筆メーカー、レオンハルディ謹製。世界中の人工毛（ナイロン繊維）筆を試した結果、俺がたどり着いた筆である。コートデアームズの銘入りがされているのは、コートデアームズの製造販売元であるブラックハットの認証がついているため。つまり、俺とブラックハットのダブル・オススメ品ということだ。

最初の１本を選ぶなら、スターターブラシ（L）がいい。予算が許せばスターターブラシ(S)と(XS)も買っておこう。

🖌コートデアームズ・スターターブラシ
スターターブラシ（L）：番手は3番。普段のペイントに。
スターターブラシ（S）：番手は1番。より細かな塗り分けに。
スターターブラシ（XS）：番手は000（3/0）番。仕上げのハイライトに。

各アイテムのリンクをタップすると商店の製品ページに飛ぶ

オススメ：シタデルブラシ

ゲームズワークショップ／シタデルブランドのミニチュア用筆（シタデルブラシ）は、ミニチュアペイントに特化した形状とサイズの筆が色々揃っている。特にドライブラシのS/M/Lはぜひ揃えておきたい。

筆の穂先はナイロン製がほとんどだが、「アーティファイサーブラシ」は安価なクラスのコリンスキー天然毛で、「レイヤーブラシ（S）」など一部の筆はリセーブル（天然毛と人工毛を混合したもの）を用いているようだ。なお、最近出た白い軸と白い穂先のSynthetic（STC）シリーズは、純然たるナイロン筆だ。

その他の選択肢

むろん、選択肢は他にもある。国内でもさまざまなメーカー、ブランドからナイロン筆が出ているからね。「ミニチュアペイント用」「水彩画用」「油彩用」あるいは「ネイルアート用」と銘打たれた面相筆を選ぼう。

メーカーやブランドによって、筆の長さ、毛の硬さやコシ、まとまり、カラーや水の含み、耐久性に大きな違いがあるから、色々試してみてくれ！

100円ショップの筆は、ミニチュアペイントには不向きだ。穂先が揃わず、水とカラーの含みも悪く、品質のばらつきが酷すぎる。古筆がわりにボンド塗布に使うくらいで考えておいた方がいい。

それと、アマゾンとかで売っている極端に安価な筆は絶対に手を出さないほうがいい。数ヶ月届かないとか、写真と別物が送られてきたり、筆先が割れた最悪クオリティのものが届くリスクが高いよ。まともじゃない。

ナイロンの次は天然毛で

ナイロン筆は扱いやすく、手入れが簡単で、価格も天然毛より安い。ただしナイロン筆だけで本当に仕上がりの良いペイントをするには、かなりの慣れと経験が必要になるだろう。

その意味では、やはり天然毛…コリンスキー・セーブルの筆はミニチュアペイントの金メダリストであり続けている。天然毛の筆は上級者向きと思われるかもしれないけど、それは大きな誤解だ。いい道具はいい結果をもたらす。筆の良し悪しでペイントの仕上がり自体が変わってくるのさ。その意味では“良い道具はスキルアップを後押ししてくれる”という考え方があてはまるだろう。

最近では模型用でも絵画用筆よろしくコリンスキー毛を用いた面相筆が各社から販売されている。国産のコリンスキー筆は輸入ものより少し安いのが特徴だ。

オススメ：ウィンザー＆ニュートン　シリーズ7

俺のオススメは一択である。ウィンザー＆ニュートンのシリーズ7だ。1866年、英国ビクトリア女王の命によって作られ、以降英国王室御用達となっている格式高い筆。筆毛は最高クラスのコリンスキー。穂のボリューム、毛足の長さ、先の尖り、使い味、寿命、軸と筆の重量バランス。すべてにおいて、俺はコレを超える筆にまだ出会ったことがない。値段は張るけど、その価値があるよ。

3番、2番、1番、000番があればほとんどのミニチュアがペイントできるはずだ。高い買い物にはなるけど、後悔はしないと思うぜ。

オススメ：ウィンザー＆ニュートン　シリーズ7・ミニチュア

同社のシリーズ７・ミニチュアも使い勝手がいい。ミニチュアと冠しているだけあって、ミニチュアペイントにピッタリだ。シリーズ7と比べて、穂のボリュームはそのままに穂が短い（軸先から筆先までの長さが短い）。つまり、より精密な筆先のコントロールが可能なのだ。より小さな面や細い部分のペイント、そして点描がとてもカンタンにできる。シリーズ７の名を冠するゆえ、筆毛はもちろん最高クラスのコリンスキーだ。

シリーズ7のミニチュアは、3番、1番、000番を持っておくといいだろう。特に俺がよく使うのがミニチュアの３番。ペイント大全でもよく登場してくるよ。

その他の選択肢

素材が天然毛だけに、厳しいQCと選別を経た同ブランドの同製品でも、ある程度は個体差もある。加えて、同じく「コリンスキー毛」の筆をうたっていても、メーカーやブランドによってその使い味やコシの強さ、毛足の揃い方は全く異なる。それはその製品に適合する天然毛の基準や、筆の性能に冠する考え方が製品に投映されているからだ。

イギリスのウィンザー＆ニュートンと並び、コリンスキー筆で有名なのがフランスのラファエルだ。ウィンザー＆ニュートンのシリーズ７と比べるとコシが弱く、それゆえに指先の動きをそのままトレースするような（＝筆のコシがもたらすシナリが少ない）繊細な筆運びができる。

俺はウィンザー＆ニュートンの方が好きだけど、ラファエルが大好きな趣味人もたくさんいるし、どちらがベターかは人による。君にどちらが合うかはわからないから、両方試してみるのもいいと思う。

それと、天然毛の筆というのは、やはり個体差があるから、品物ごとに品質のバラつきが出ることもある。画材メーカー、模型メーカー、ミニチュアメーカーから色々な筆がワンサカ出ているが、経験上、ウィンザー＆ニュートンのものが一番安定。それでも品質のバラつきは皆無じゃない。いい筆の選び方はこのエントリーの最後にある「ボーナストラック」で紹介してあるから、参考にしてくれ！