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テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア(5):トーチガード2017からの伝言

随分冷え込みが増してきたが、俺たちの炎は大丈夫だ。少しずつ、しかし絶えることなく薪がくべられていくだろう。「灯火の運び手(トーチベアラー)」が持ち帰ってくれた去年の火種は、この一年の間、ある戦士によって守られてきた。「灯火の守り手(トーチガード)」。その称号を帯びた彼は、約定により、今年も「灯火の守り手」になることはない。焚き火の夜、彼は新たなる守り手に、一年の間構えた大盾を託すのだ。

とはいえ、灯火の運び手と同じく、彼もまた焚き火の夜に現れ、その腕前を惜しまず披露してくれよう。だが今日は、灯火の守り手に話を聞く日だ。おっと、肩の力を抜いて楽にしてくれ。ここに師弟の間柄はない。俺たちは皆同志であり、兄弟ではないか。さあ、硬パンとチーズもある。今夜は、俺のりんご酒を振る舞おう。驚くほど甘いがかなり強い酒だ。塩気のある食い物と合うが、飲みすぎてつぶれんようにな。

うまいか? よかった。それでは、彼の話に耳を傾けようじゃないか……。


焚き火のそばで語ろう

よくぞ来た。『テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア』…『焚き火のそばでの物語』は、昨年の第1回ベイルファイア期間中に集中連載されたコラムだ。第5回となる今回は、昨年のベイルファイアにおける入賞タイトル『トーチガード2017』を獲得した岡崎大樹氏から寄せられた記事を掲載する。この記事が、君の役に立てば幸いだ。

それじゃあ、行ってみようか!


はじめに

今年もベイルファイアがやってくる。皆が共に焚き火を囲み、それぞれの作品を披露するミニチュアペイントの宴だ。光栄な事に前回のベイルファイアで僕はトーチガードに選ばれた。そこで、今年のベイルファイアの参加を検討している方々へ向けて、前回の入賞作品を僕がどんな思いで製作したか振り返りつつ、第2回への想いを文章にしてみようと思う。

ところで、僕は昔から、コンテスト入賞のためだけに作品は作らない。意外に思うかも知れないが、もちろん前回のトーチガード作品についてもそうだった。コンテストはきっかけではあったが、その時点で題材としたミニチュアから何を感じたか、それをどう表現するか、そこに夢中であった。

実際、賞の発表の時は大変な名誉だと思うと同時に、他の素晴らしい作品がある中での受賞にとても驚いたのだ。

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