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💾 ハルクウーベン奇譚:レンデゴイル夜話(10) 魔人の餌

* 第10話 *
魔人の餌

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「リリアム、一体それは何だ?」

不審げに訊くアーレクに対して、リリアムは軽く一礼すると、はっきりとした声で答えた。

「我々が仕留めたノールの首級です。元々は、フィードルが武勲を誇ろうと切り落としたものですが」

「野蛮なことを。倒した敵の首を切り落として持ち帰るなど、まるでオークや野人の所業だぞ」

リリアムが言い終わる前に、アーレクは叱りつける。怒りのあまり、思わず「野人」の嘲りが出たのであろう。気まずそうにフロスガルを見やったアーレクに、北方人は皮肉めいた笑みを浮かべた。

「若者ゆえだ。野伏長に認めてもらいたかったのだろう。それに、分かっていようが、敵の首級を挙げるのは、何もオークや俺たちだけではないぞ、アーレク。東方では、敵の首級こそ武功の証だ」

しかしアーレクは退かない。

「そうかもしれぬ。我が友フロスガル。しかしここは東方ではないし、野伏には野伏の掟というものがある。敵といえども死者を辱めることなかれ、という掟がな。フィードル、お前は野伏としての心得をわきまえねばならぬ。虚栄の心を捨てよと常に教えているではないか。リリアム、お前はフィードルに悪い影響を受けすぎだ。お前が道を踏み外してどうする」

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