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#3 ジャンルって書く側の役に立ってるか?
別名義でmonogataryに投稿した短編だったが、転載規約が特に無かったので、こちらでも載せた。要は記事数の水増しね。
中の人含めて架空のヴァーチャルアーティストの立ち上げ企画ということで、つまるところヤマハの初音ミクやギブスンのidoruをもういっちょ再解釈して作ってやるぜということらしい。
で、例によって例のごとく他の応募作を見ると、どうもSFテイストの強いもののウケが良く見受けられたので、自分も倣って二人称の少し無機質な文体で、VRスペースに生きる唯一の主体を主人公に一丁仕上げることにした。
そこで思ったのがジャンルのこと。
読んでいただく相手のメンタルモデルを想定するとき、まず考えるのは文体。次に要素。ジャンルは正直のところ、自分は要素を指定するとき便利な詰め合わせパックとしか捉えていない。
じゃあ考えたことはないのかといわれると、ある。話に詰まったときだ。
そういうとき、とりあえず自分は本棚をひっくり返す。
恋愛、サスペンス、SFに歴史モノまでとりあえず書きたいジャンルは手あたり次第に読み漁る。あえて反対の要素を探して無関係なジャンルを読むことも多々ある。とにかく分からなくなったとき、自分にとってのすがる藁というか蜘蛛の糸のようなものがジャンルで、しかもその試みはたいてい失敗する。
今回は幸い書くべき話は分かっていたので、あとは丸太に埋まっている仏様をナタで彫り出すようにカンカンと3000字並べることができた。
思えば小説のジャンルとは売る側と読む側のためにあるのではないか。
人間個人々々の分類が客観的な分析のためにあるように、小説のジャンルも客体として捉えるから必要なのであって、クリエイターの主観においてジャンルを意識しながら取り組むのは、過去作の再生産を目指すだけではなかろうか。
少なくともジャンルを意識するときの自分は、ペンを紙に付けるところまで来ていながら書くべきストーリーが分かっていないバカだ。
先人に学ぶことはもちろん必要だが、ジャンルで調べに行くよりも話の展開だとか、主人公の類別から調べた方がだいたいの場合、上手く行く。何が未完成の文章と向き合う自分にとって必要か、ということなのだと思う。
ともあれ自分の文体も段々と凝り固まったように感じる。
ひとつ書籍化を目指したい企画があり、それにはラノベ作品の知識が必要なので、また勉強していきたい。
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