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「ダークナイト」について

面白いです。というより、こんな話だったのかと思う映画。

「BOOM!」とか「STRIKE!」みたいな、いかにも

アメコミな(アメコミなんだけど)感じでそのまま勧善懲悪な

映画かといえばそうではなく、バットマンの葛藤とか、

ジョーカーの卑劣さがすごいうまく描かれていると思います。

3つの正義 VS ジョーカー

ダークナイトには正義を司る3つの存在が出てきます。

1つめはバットマン。ウェイン産業の社長のバットマンは

夜な夜な街に出て悪人を見つけて超法規的な考え方で

悪いことをしている人を退治します。これを「自警主義」と言います。

正義とはいえ超法規的。バットマンといえど、仮面を外せば

ゴッサムシティの一般市民。市民が市民を裁くのはいかがなものか。

2つめはハービー・デント。地方検事で、アツくて正義に燃えていて

光の騎士として信頼されていたけど、パートナーを亡くして

ジョーカーに追い詰められたことからトゥーフェイスというヴィラン(敵)

になり、行き過ぎた正義になってしまう。

3つめはゴードン警部。真面目な警察官で、バットマンと協力しながら

法律から来る正義で人を救う。でも法律を超えた正義は行えない。

ジョーカーがしてきたことは罪に問われず、精神に問題があった人が

起こした事件としか法律では判断できないので、

法律ではジョーカーを裁くことはできないのです。

この3つの正義がジョーカーに立ち向かうというのが

ダークナイトの魅力です。

ジョーカーは何か

ホアキン・フェニックスが演じたジョーカーはまだ観ていませんが

ダークナイトでのジョーカーは、人の命を奪うこと以上に

人に悪いことをさせたり、自分たちが信じている正義がいかに不安定で

あるかを人に突きつけているという混沌の使者である点が目立ちます。

デントはジョーカーによってではなく、ジョーカーの策略によって

自分がバットマンに救われたことによりパートナーを失います。

そこからバットマンや正義に疑問を感じてトゥーフェイスに

なってしまいます。ジョーカーはデントを唆して悪に陥れたのです。

また、映画のクライマックスでは市民たちが乗ったフェリーと

囚人たちが乗ったフェリーにそれぞれ設置された爆弾のスイッチが

お互いに交換されて、どちらが先に押して相手のフェリーを爆発させて

自分が助かるかを試されます。これがジョーカーがまさに

したかったことです。自分を守るという正義を貫いたら、

人が亡くなってしまう。そのときどうするかをジョーカーは問いかけます。

ジョーカーはキリスト教圏でいう悪魔なのです。

自分たちが正しいと思っている人たちを悪に陥れようとする。

これは神様が作った人間に悪いことをさせて陥れることで

悪魔の神様への復讐になるからです。

この悪魔の神様への復讐は他の映画でもみられる構造です。

映画の下敷きになっているものを踏まえて映画を観ると

より面白いかもしれません。


よろしくお願いします!