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シリーズ【地中海救助船の窓から】#1

このシリーズ始めたはいいけど、実はまだ船にたどり着いてはいなくて、船のあるノルウェーで検疫中(Day8 あと2日!)。船の上には、すでに何人か同僚がいて、私は隔離中のホテルからリモートで仕事をしています。

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なので今日は、こないだあった、ちょっといい話。

2019年に乗っていた、オーシャンバイキング号の一番最初のレスキューで出会った、シングルマザー(一番後ろ)とは今でも連絡をとっている。

コートジボワールから、1歳と3歳の息子と妹を連れて、リビアにわたり、留置場での生活を経て、地中海をボートで渡ってきた。

この時は、どっこも港を開けてくれなくて、12日間も356人と船の上で過ごした。その時の過去記事http://blog.livedoor.jp/aussiepork/archives/18935693.html

最終的にはマルタが引き受けてくれて、レセプションセンターで10日ほど過ごした後、パリ17区のアパートにみんなで住んでるという報告がきた。それから半年後にパリで再会。

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それからもちょこちょこ「元気〜〜〜?」みたいな他愛無い連絡は取っていた。そして、こないだ、「いいニュースがあるの〜〜〜!!」と連絡がきた。

「すべての書類が揃って、パリからバスで1時間くらいの場所に引っ越した。9月からは仕事のための実習が始まるの」一年半経って、難民申請がおりた様子。更に、

「病院で働くヘルパーになりたかったけど、学歴が足りなくて(おそらく小卒)ダメだった。補助員(清掃とか)になる。でも、仕事できるから嬉しい!」

2019年夏に救助されてから、働くけるようになるまで2年。リビアにいた2年も入れたら4年。やっと自立して働ける権利を得た彼女。「長かったけど、良かったね」そして、こう伝えた。

「ヘルパーになればいいじゃん!まずは、お金貯めて、学校に行って、そしたら、ヘルパーになって、またお金貯めて学校いって、看護師になれたら、将来私たち同僚として働けるよ!」

「一緒に働きたい!!!絶対頑張る、いつもありがとう」

「夢を叶えるためには、時間時は充分あるから、いつも応援してるね〜」

まじで、この瞬間、初めてと言ってもいいほど「この仕事してて良かったかもしれない!」と思った。

彼女がその夢を叶えるかどうかは分からないし、そんなに簡単な事じゃない。それを彼女がわかって行ってるのかも分からない。子供二人と妹を養っていかなければいけないし。

船にいる間に、彼女達と「女を修理する男」というノーベル平和賞をとったムクウェゲ先生のDVDを見た。コンゴで性暴力被害者の病院を運営する産婦人科医で、私の尊敬する人。

DVDを見て、男尊女卑、戦争、貧困、搾取、人身売買など世の中の不条理をなくすためにはどうすればいいかという話になったときに、私たちの結論は、この息子たちをしっかり教育して一人は大統領に、もう一人はムクウェゲさんのような素敵な医者にでもなってもらうことだ!という会話になった。

移民反対の声があるのは知っています。だから、「応援してる」なんて無責任な言葉かもしれないけれど、でも、しっかりフランスで仕事して、納税して、立派に息子2人を育て上げてほしいなと思っています、私は。


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