コーヒー独学ストラグル2
2年経った。知識も経験も増え、コーヒーの好みも変わった (というか、"良さ"の様々な方向性を認識できるようになった)。が、ダニングクルーガー曲線よろしく未だにわからんことばかりだ。
今日は前回ほどああだこうだ書かず、さいきん今更「そりゃそうか」と気づいた考え方について記す。
前回からちょっと長めに引用する。
「コーヒー1杯を淹れるのに必要な変数がたくさんある。入れた結果の評価尺度は感覚的かつ複合的だ。よって難しい。経験をたくさん重ねてようやく掴める類のものだ。」という前提がひとつ。
「[淹れ方]→[結果の総合評価] をダイレクトに繋ぐのではなく、間に[濃さ]や[酸味][苦味]の部分評価を挟めば、多少は分析的に接することができるっちゃできる」という話がひとつ。まあ難しいことにはかわりない。
で、抜け落ちてた視点がひとつある。変数自体も相互に影響し合うということだ。
具体的には、[抽出時間] は [お湯の注ぎ方] とリンクしている。ドパドパ注ぐ方が速いしヒタヒタを続ける方が遅い。それだけでなく、[挽目の粗さ] ともリンクしている。粗いほど速い。豆の精製方法も若干関わる。ドリッパーの選択や、湯温、ペーパーも。まあまあ……
とにかく、[挽目を粗くして] → [好みの酸味を出す]、と直接接続するのでなく、[抽出時間を早めて] を間に挟んで考える。
そうすると、[グラインダーのツマミをいくつに設定するか] と [抽出が何秒で終わるか] はどちらも定量化可能である。[何度のお湯を何秒で何mL注ぐか] や [どのドリッパーを使うか] も明確に固定できる。
さまざまな変数を固定 → [抽出時間を早めて(定量)] → [好みの酸味を出す(定性)] となり、定性に直結しているパラメータを大きく減らすことができる。これで評価しやすくなる。
また条件を固定するうえで、「あんな感じの酸味を出すため、グラインダーの目盛りをここにしよう」は曖昧な判断になるが、「この淹れ方で抽出時間が約3分になるよう、グラインダーの目盛りをここにしよう」は自信をもって設定・測定できる。
……実際には「"抽出時間が一緒なら、挽目が違っても同じ味になる"ってわけではないよ」「挽目は抽出時間以外にも影響するよ」とか、「本当に注ぎ方固定できてますか?」とか、抜けは色々ある。
それでもまあ、100%ではないこと承知の上で、姿勢として判断に自信を持つ考え方のひとつとして有用だと思った。
これを実行するためには、「この変数は統合しちゃっていいや」「統合先以外への影響があるの知ってるけど、有意に小さいオーダと扱って、頭の片隅に置いておくに留めよう」と判断できる感覚と経験、あるいは信頼できる有識者の言葉などが必要になってくる。
また単純に、「こっちを変えるとあっちにも影響がある」は知識として持っておく必要がある。そのスケール感も然り。
しかしまあ、こうして変数のネットワーク体系をぼんやり想像できると、「変数多すぎて全然uncontrolableなんですけど!」状態はいくぶん脱しやすくなるんだな、と思った。そりゃあ〜そう。
注:おれはさまざまなコーヒーを飲みたいし、豆への適した対し方を極力最短で把握したいため、原理の理解をしたがっている。いっぽう、気に入った豆から気に入った味を出すためのやり方はこう!を1つ覚えればよいという考え方もある。新しい豆や条件に出くわしたら都度トライ&エラーすればよいので、原理的な理解は必須ではない。人それぞれの好きずきである。
バスケでフリースローを打つのに空気抵抗や重力加速度の知識は必要ない。だが機械でボールを射出したり、ボール以外のものをシュートすることもあるなら、知識があると早いかもしれない。大して早くなくても納得を得られるかも。
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