クラブフィティング

小さなゴルフショップだが、何度もGolf Digest誌のBest100 Club fitterに選ばれるスタジオがある。ここでは長らく件のシャフト計測機を使いながらフィッティングを行ってきていた。今はその機械そのものは回収されてしまったが、それまでの情報の蓄積でフィッティングを行い、2019年もBest100に選ばれている。

こういった信頼できるお店が近くにあるのは相当ラッキーなんだと思う。

圧倒的にゴルフの世界はアメリカが全てにおいてリードしている。仕事そのもの質で日本のものが広く受けれ入れられていはいるが、クラブ、シャフト以外はどうだろうか。そもそものプレイヤーやコーチ、メディアや量販店。

今回は日本への批判ではなく、今後への期待だと思って読んで欲しい。

事実日本のクラブを使ってどれ位のプロが最高峰のPGA TourやMajorで勝っているのか。KoepkaやJustin Rose、確かに勝っている。Tigerも全盛期にはMiuraのクラブを使っていた。でもなぜ、もっとアメリカ市場で台頭してこないのか、していないのか。少なくとも私がみているアメリカの市場は席巻されてはいない。

また雑誌やWebで見る限り、MizunoやYamaha、本間、高齢層には絶対的なXXIOなどはみるが、半分以上はアメリカのメジャーなクラブばかりのようだ。

この差は何なんだろうかというのが今回の話の元で、日本のゴルフ関係者はそういったアメリカでの最新の話題や取組について触れて、常にUpdateされているのだろうかという話。加え、フィッティングに関してはかなり越権行為が横行しているよという話。

話はほとんど受け売りではあるのだが、この話を聞いた時に、なんて自分は恵まれた環境にいるのかと、同時に日本の友人たちが聞いたらかわいそうになるなと素直に思えた。

日本においてメディアが取り扱うような有名クラブフィッターさん達でさえ、件のシャフト測定器に関しては理解がない。それはそういう機会がなかったからである。
もちろん、それぞれの経験や知識の蓄積において、これに近い情報は持っているのかもしれない。そういった方々の事をもれなく有名フィッターさんだと呼ぶのだろう。ただし、それは個人の持つエビデンスであり、件の測定器と比べたらどれだけ誤差があるのだろうか、もしもあるのなら、そのフィッテイングを受けたゴルファーさんらは不幸だ。 

では有名ではない、街のフィッターさんはどうなんだろうか。個人経営で長らくされているような方も有名か無名なだけで、メディアにでるかでないかだけなので、長い間で知識は蓄積され、やっぱり信頼できるのだろう。ではこの人達はどれくらい頻繁にアメリカの最新の情報に触れられているのだろうか。もちろん、こちらにいるフィッター全てが正しいとも言わないし、量販店などで接するフィッターは特段日本の私が指摘するフィッターさんらと変わらないだろう。

日本の量販店にて私が1W、つまりドライバーのフィッティングを受けた際の話だ、もちろん測定器を使ってやはり見てもらうのであるが、スイングスピードがこれくらいだし、結構スピードが早いからシャフトはSにしよう。高さがないでてないから、このモデルかな。普段はスライス?じゃあこっちのモデルでも良いよ、テンポよく話が進む、フィッティングを受ける身ではあるが、お客さんではあるので、このメーカーは嫌だと言えば、別を持ってくる、その時はとあるメーカーのセールスマンがプロモーションで店を訪れていて、ひたすら自社製品を押されていた。

今、思えば、私のスイングの特徴にはその押されたメーカーの一般的な設定とは合ってはなかった。

この時、まだ師匠とも出会う前だったので、ほとんどクラブに関しての知識はない、ましてシャフトってこんなに種類があるんだと知ったくらいだった。加えてそもそも初心者だった私はへっぽこも良いところだった。その時対応してくれたフィッターさんは、かなりの腕前がある人で、全て言われるがままだったし、実際、言われたところで分かっていなかった。 この時、フィッターさんは、上手くボールに当たらない私に対して、そうじゃなくて、こうやって打ってみて、じゃあ10球打ってみようとか、ミニレッスンまでしてくれた。

こういった事は日本では普通の光景なんじゃないだろうか、おそらくカスタマーサービスの一環として。

こういう話しがある。件のBest100のフィッティングスタジオには、ローカルのプロツアーでも活躍するプロがいる。彼らの腕を聞きつけ駆けつけた日本からのゴルファーは、カウンセリングの際、それまで日本で有名フィッターさんに数回みてもらっていて、くしくも、それぞれが彼のスイングの数値から似通ったクラブを提案してきたという。購入したものの、いまいち自分では思ったような出玉がでなかったと伝えたという。その後スイングを測定、件の測定器は日本でだされたセッティングとは真逆のものだったそうだ。 そのセッティングで打ったお客さんは、求めていたものに出会えたと大喜びだったという。 

簡単にいえば、有名、無名に限らず、一般的なフィッティングでは単純にスイングスピードが速いから、硬いシャフト、遅いから柔らかいシャフトというフィッテイングが横行しているのであろう。もしこの有名フィッターが雑誌か何かで言った言葉は、幸か不幸か、熱心な量販店のフィッターさん達に響き、それが伝わっていき、お客さんにはあの有名なフィッターさんも言ってるしこれが良いですよと、不幸な連鎖となるのではないか。

またこの日本のお客さんはフィッティングの合間に、フィッティングを担当したツアープロに、こういう出玉が打ちたいんですが、どうやって打ったら良いんですかねと尋ねたらしい。

彼からしたら日本のフィッティングである普通の光景をそのままに、もしくは何も気に留めず、聞いてみたんだろう。ところがそのプロは、私ができるのはフィッティングだけで、もしあなたがレッスンを受けているのなら、そのプロに失礼にあたるし、本当に聞きたいのなら私のレッスンをちゃんと受けて欲しいとの返答だったそうだ。 そのお客さんは相当面をくらったらしい。 

見方を変えたら、いかにもドライなアメリカらしい対応としか感じないかもしれない。しかしここには、ツアープロであっても、フィッターとしてのテリトリーをきちんと守り、フィッティングの仕事に対して誇りを感じる。

いくら腕自慢のフィッターさんでも、彼がすべき事は、お客さんが喜ぶおまけ程度のレッスンをすることではない。ましてそのミニレッスンは何かの理論に基づてのものなのか定かではない。彼がすべきは最新の情報に基づいて、提案できる最適なクラブを選ぶ事だと思う。

日本でのそれは、私のような初心のレベルに対してだけではなく、ツアープロに対しても行われていたらしい。

今回のNOTEはフィッティングについてであったが、私が拾う日本のゴルフ情報同様に、今はWebで検索をかければ直ぐにクラブだけではなく、最新の情報は拾えるし、英語やスペイン語だとしても、翻訳機もある。 

例えば、Rickie Fowler や科学者の異名をとるBryson DeChambeau が契約するCobraというメーカーがある。以前はTitleistの傘下にあり、日本ではTitleistのセカンドラインといった位置にあり、なかなかマーケットに浸透しなかったものだ。しかしPumaに買収されてからというもの、ファッショナブルなRickie Fowlerや話題のDeChambeauとの契約もあり、アメリカにおいては以前とは違いかなりの市場を獲得してきている、話題だけで市場を獲得できるわけではなく、それはCobraのクラブ設計をGearsと呼ぶ最新のスイング計測機の結果を元に、それらの蓄積からクラブを作っている。今ではクラブ自体の評価があがっているのである。 

量販店のフィッターさんもそれくらいは知っているだろう。少なくとも私の日本の知り合いそのことを知ってはいなかった。メディアの取り上げかたのせいなのか、クラブ側の発信のせいかは定かではない。しかしこれらの情報が、逐一メディアから通じて知る事ができないのであれば、日本のゴルフがいつの日かアメリカに追いつく事ができるのか甚だ疑問だ。

最後はフィッティングとはずれてしまったが、全てのゴルファーが幸せになる事を願うと、今の日本の現状は嘆かわしい。

Instagram 04/12/18 投降より。


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