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キャラメルはモエシャンのあとで

実は私は内心、焦っていた。
数日後には楽しい楽しい旅行が待っている。だけど、待って、落ち着いて。一度、確認したいことがあるんだ。

大成功を収めた“スピリチュアル宿で浄化せず俗世と繋がるサプライズ誕生会”の様子は下記リンクから復習いただくとして、私からはこれからの健やかな一年に向けた贈り物として、その舞台裏の全てを記しておこうと思う。

そうか、主賓が主催者のちょっとしたパーティー・早乙女ぐりこ誕生祭はもう2年も前のことか。まだ印刷所を通さない『早稲女×三十歳』のコピー本が世に生まれ出たのもその時で、ブーケの代わりのワインプルズで当たりを引いたのも、今回の旅では食べ過ぎ飲み過ぎで戦線離脱した私だったな。
今回の同行者であるロッキーと一緒に、浴衣でお祝いに向かったのを覚えている。

昨年の誕生日は、ぐりこと二人で活動している文学サークル・しゃんぶるぶらんしゅの第二号テーマ“花”にちなんで花瓶を贈ったっけ。
何を見てもあまりピンと来なくてプレゼントが選べなくて、祝うのが遅れちゃったんだよな。

さて、今年の誕生日は、誕生日は……そう、たったひとつ確認しなくてはならない、ただひとつの重要なこと。

ぐりこの誕生日って何日????

誕生祭は当日ではなかったのは確かで、昨年は確かにプレゼントが決まらなかったのも本当なんだけど、Twitterで祝われているのを見て、ああー今日が当日かー! 間に合わなかったー!! と思ったのもまた事実であった。
その上、四月生まれの私は近しい友人たちの間で最も三十歳を迎えるのが早く、ビビッて大騒ぎしてぐりことロッキーに盛大に祝って貰った過去があり、つまりは彼女は私の誕生日を知っているのに、私は知らないのだ。たぶん去年誕生日祝いが死ぬほど遅くなったことで、薄々気づいているかもしれないが、今年こそ外すわけにはいかない。だって舞台も整っている。
今年こそ、きちんと祝いたい!

…とまあ、そんなわけで、ぐりこ誕生パーティの準備は、共通の友人であるあげは嬢にぐりこの誕生日を確認するところからはじまったのだった。

そこからロッキーと迅速に連絡を取り合い、パーティーのプランを立てる。この時点で、旅行まで一週間をとうに切っていた。
しかし連絡した直後、ロッキーはHappy BirthDayのガーランドと散らばらないクラッカーを買い求めており、二人からの贈り物は女子会の必需品であるシャンパンのモエ・エ・シャンドンに即決定。量と持ち運びを考えた上で、350mlを一本ずつリュックに忍ばせていくことになった。
手前みそだがさすがこの連携、ぐりこに「二人は仕事ができない人に厳しすぎる」と言われただけはある。ホウレンソウ完璧。

だがそんな私たちも、モエシャンの渡し方だけは最後まで迷っていた。
モエシャンはシャンパンである。酒である以上、冷えていた方が良い。だが、いつ、どのタイミングで冷やすのか?
出発日はぐりこが仕事だったため、先に現地に行き、チェックインして冷やしておくか? いやいや、いくらぐりこに「先に行ってても良いよ」と言われても、湯河原まで一人で来るのはさみしすぎる。
そもそも、夕食は宿でとらず、湯河原の海鮮なんかを食べに出ようという話をしていた私たちである。夕食の前に飲み始める? いやいや、冷やす時間がない。じゃあ、夕食の後に出す? いやいや、美味い海鮮なんかに出会ったら、夕食の店でべろべろになってしまうに違いない。

結果として、新橋で仕事終わりのぐりこと合流し、私たちは三人で湯河原へ降り立った。早速駅前の土産物屋を冷やかしたり、地元で有名なパン屋へ立ち寄りながら、徐々に宿を目指す。
途中、チボリスイーツファクトリーという大型のスイーツ工房&カフェ&土産物屋があり、そこでぐりこが中座した際、簡単な最終打ち合わせ。

「…で、結局いつモエシャン出す??」
「お風呂上り。私のぼせやすいしぐりこと名月より先にあがるから、そこで用意する。リュック開けていいよね?」
「もちろん。それで行こう」
「その後、モエシャン冷蔵庫に入れて夕食」
「帰ってきたら飲み頃、二次会」
「お待たせー(ぐりこ)」
「「さー宿行こー」」

チェックインを済ませ、まずは館内探検&お風呂へ。
ロッキーが予定通り先にあがり、ぐりこと私のホットヨガ勢はのんびりと湯に浸かり続ける。やっててよかったホットヨガ。
ほかほかしながら部屋に戻ると、前室の襖を開けるや否やぐりこはロッキー目掛けて走る。そして寝室に入る襖を開いた瞬間、パアンという音と共に、ぐりこが弾けた、ように見えた。
ぐりこの後から部屋に入った私は、あまりの勢いと音にあっけにとられてしまい、自分もクラッカーを鳴らす側だということを一瞬忘れた。そろそろと部屋を覗くと、入口付近に私の分のクラッカーもしっかり用意されていたので、間の抜けたタイミングで追クラッカーをする。そしてこのモエシャンである。

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障子の上に張られたゴールドのガーランドがとても可愛い。
ぐりこは、にこにことモエシャンやガーランドを写真に収めている。やった、やったんだ。私はやっとぐりこの誕生日をまともに祝えるのだ――。

その後、モエシャンを冷蔵庫に仕舞って夕食へ。海鮮で乾杯! 
モエシャンがあるので、お酒はほどほどに。
お店の人に「量多くないですか?」と言われたメニューをぺろりと平らげた後、私たっての希望でコンソメパンチダブル(コンビニ限定)や、各々足りない(!)ジャンク菓子を買い込み、キャッキャウフフと部屋へ舞い戻る。
部屋にあるコップはフランフランのマグカップと歯磨き用のグラスしかないので、マグにモエシャンを注いで、二度目の乾杯!

そこでモエシャン以外にも用意していたプレゼントを渡す。
示し合わせたわけではないのに、ロッキーがイヤリング、私がアクセサリーケースという連係プレーでまた笑う。

最終的に私は、どれが悪かったのかはわからないが体調を崩し、胎内回帰願望丸出しの姿で床に転がる羽目になるのだが、ここまでは元気で本当に良かった。ふたりとも、お水持ってきてくれたり、布団敷いてくれたりありがとね。いびき、かわいかったよ。

そんなグロッキー状態から臨んだ二日目・日の出ツアーの様子はこちら!

私は内心、ほんとうに焦っていたのだ。
このnote、19日中に書き終わるのか? ていうか、この内容を本人に見せて良いのか? 書き溜めては書き直す中で、とうのぐりこ本人にハピバLINEを送ることも忘れる程に焦っていたのだ。

だからこの記事を投稿し終わったら「帰りの電車で話をしてた、ぐりこの誕生日にスピ宿で行われたパーティーの裏側、投稿したよ!」というメッセージと共に、誕生日祝いのLINEを送ろうと思う。
まるで、予定通りだったかのように。どうしよう、ぐりこが今日早寝だったら。間に合うかな。

ぐりこ、お誕生日おめでとう。この一年もまた、すてきなことがたくさんありますように。


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