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デザイン今昔物語 vol.2

ポジのレンタル

世間はすっかりサブスクが普通になり
音楽も映画、ドラマもほとんどサブスクで見ることが出来ます。
そんな私も家ではテレビをリアルタイムで見ることなく、
好きなドラマ・映画を好きな時に見る習慣がついてしまっています。

今回はそんなサブスクなんてなかった時代。
といっても子供の頃じゃありません。
バリバリ社会人の頃です。

今では写真・イラストを探す時は
大抵の人は素材サイトから選び、ダウンロードし、使用する
という方ばかりだと思います。

私がまだデザイナーとして駆け出しのころは
「レンポジ屋さん」がいました。

たとえば、世界遺産のマチュピチュの写真を使いたい。
今だったら「マチュピチュ」と検索します。

当時は「レンポジ屋」さんに
「マチュピチュのポジを数点持って来てください」とお願いし、
早くて当日、遅いと数日後に「ポジ」を数枚持ってきてくれていました。
それは今は見ることのない、
1枚1枚B5サイズくらいの大きさの「ポジフィルム」です。
ポジを天井の明かりや日光の明かりをすかして
写真の構図を確認し、
候補のポジの中から良さげなものを数枚ピックアップします。
ピックアップしたもの以外はその場でレンポジ屋さんに返却。

実際はこれよりもっと大きい

社内のスキャナーでポジをスキャンし、
原稿に配置し、クライアントに確認してもらい
写真がOKであればポジ屋さんに実データをもらい
原稿の写真を仮のものから実データに差し替えをする。

ポジは他のお客さんも使うものですので
もちろんポジ屋さんに返却が必須。

ただ、一度紛失事件がありまして
無くさないように封筒に入れて保管したものがない!
大騒ぎして机をひっくり返して探しました。
結果、どうやら紛失してしまった。
ということでポジ代を弁償するハメに。

当時の社長、本当にすみません。
今更すぎですが・・・。

ポジの管理もそうですが、
一度使用したポジの実データの管理も厳しく
二次使用かどうかをわかるようにデータを管理していました。

今はネットで検索、ダウンロードして原稿まで配置がものすごく早い。
1枚の写真の値段も昔とは比べものにならないほど安い。

効率もいいし、手軽に使えるといった点では
いいんですが、
無意識のうちに写真に対する価値が
どんど下がっていってしまっているような。

クオリティは維持して
低価格で使い勝手がいいものが
選ばれる時代。

提供する側の努力が問われる
世知辛い世の中ですね。


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