見出し画像

アーティストや作品の魅力を伝えるのに必要なこと。キャストをしていて気がついた「オンライン美術館」という新しい美術館のかたち。【 HERALBONY #ZoomArtMuseum 】

皆さまこんにちは。ヘラルボニー初の新卒こと、深澤です。
そろそろ皆さまに覚えていただいていますと嬉しいです…

入社して約2ヶ月、私が今ヘラルボニーでやっていること。
それはHERALBONY #Zoom Art Museumのキャスト 
(オリエンタルなどで呼ばれているキャスト=御来館者さまをワクワクするような、色々な気持ちで満ちた素敵な時間にできるようにキャストと襲名させて頂きました)

画像9

もう既に御来館いただいた方、ありがとうございます。まだの方、2回目の方もぜひ、御来館お待ちしております!

さて、私はここまで、このZoom Art Museumを50回以上、数え切れないほどの来館者様をご案内させて頂きました。今回はそんな私が感じた、オンライン美術館というものについて、現実的なお話も含め、オンラインの可能性や注意点、そしてご案内する側の心構えなど、私がお話しできること全て、包み隠さずお話ししようと思います。

HERALBONY #Zoom Art Museum

スクリーンショット 2020-05-26 18.53.31

HERALBONY #Zoom Art Museum は、Web会議ツールのZOOMを通じて、場所やデバイスを問わずに皆様にご来館いただけるオンライン美術館です。
ZOOMのバーチャル背景の機能を駆使し、実際に美術館にいるような空間でキャストが作品の案内をしています。


まず初めに、HERALBONY #Zoom Art Museumを通して、私たちが感じたオンライン美術館だからこその魅力についてお話します。

オンライン美術館だからこその魅力に気付きました…

Zoom Art Museumではキャプションを見るのではなく、実際にご来館いただいた方のお話を伺いながら、アーティストや作品の魅力をたっぷりとお伝えする。というのは、美術館ではなかなかできないことであり、これもオンラインだからこその魅力でしょう。

Zoom Art Museumにご参加いただいた客様に、アンケートのご協力をお願いしています。私たちはZoom Art Museum開催や、アンケートを通して、オンライン美術館だからこその魅力というものに気付かされました。

例えば、

スクリーンショット 2020-05-24 14.34.05

美術館に行きたいけど、躊躇ってしまうという方。
実際にお子様がいらっしゃるご家庭は、美術館の静かな雰囲気というものに躊躇ってしまうという方が多いです。しかし、このZoom Art Museumにはご家族で参加されているご来館者様も多くいらっしゃいました。お子様とわいわいお話をしながら、誰かと一緒に語り合いながらご覧いただける。その魅力がZoom Art Museumにはあります。

そして私の記憶の中で色濃く残っているのは、ある1回の開催でした。
「お子様と一緒に参加されているご家庭」そして「おばあちゃんと一緒に見ています!」というご来館者様。
「この作品のタイトルはなんでしょう!」というと「はい!」と手をあげて答えるお子様に、優しい笑顔で微笑むおばあさま。
オンラインという実際に触れ合うことのできない場所ではありながら、世代を超えて、誰かと同じ空間を感じることができる。そんな場所になっていることを感じていました。

オンライン美術館だからこその魅力は未知数

遠くにいて美術館に訪れるとこが出来ないという方。ちょっと外には出たくないけどアートに癒されたい。外に出られないけれど、誰か大切な方とアートを楽しみたい。

どんな方でも参加いただける美術館です。

ーオンライン美術館の魅力ー
・場所とデバイスを問わず参加が可能
・対面しながら、また対面せず、チャットでの参加が可能
・誰でも参加が可能(お子様からご年配の方まで)
・人目を気にせず、自分流の楽しみ方を見つけることができる
・他ご来館者様との交流ができる
・キャストの生の声、やりとりをしながら作品や商品を見ることができる
・気になった事など、質問が可能
・その時々のタイムリーな話が聞ける

また最後に、ミュージアムショップのご案内をしております。手にとれないオンラインショップというのは不安が残りますよね。
Zoom Art Museumでは文字ではなく、スタッフの言葉を通じて、実際に商品の写真をお見せしながらご案内していくことで、商品の魅力などがより伝わっていることを実感しています。

画像6


ですが、実際にいい事ばかりという訳ではありません。オンラインという場所だからこそ、気を付けなければいけない事もあります。
私たちはこのZoom Art Museumを開催する中で、あらゆることを想定しての準備、細心の注意をしてきました。

Zoomという"オンライン"の空間だから気を付けなければいけないこと

私がこのZoom Art Museumのキャストを務めるとなった時、一番最初に感じたことは怖さでした。オンラインの空間、私の顔が相手には見えていても、相手の顔が私には見えないということが多いです。そして、どんな方が参加されるのかもわかりません。時には御来館者様と私1人という空間だって考えられます。これは女性ならではの悩みかもしれませんが…
オンラインの空間だからこそ、対応に困ってしまう事も多くあるんです。そして私はパソコンの操作が得意ではありません。

・相手の顔が見えない
・どんな方が参加するのかわからない
・操作の仕方がわからない(開催する側は操作を熟知する必要があります)

そのような中で、私たちが行っていた事 ↓

・実際にスタッフに来館者になってもらい、練習を重ねる
・はじめの開催はスタッフ同席
・何か不明点・不安があれば相談し、対策を考える
・展覧会中、連絡可能なスタッフを把握しておく

私は、実際に何が不安点になっているのか、書き出しました。もし、オンライン美術館のなかで問題が起こってしまったらどうするのか。マニュアルを作成しました。私1人で対応できない場合などは、常に連絡を取れるスタッフを確認しておき、バックアップが可能な体制を取っています。

そして練習を何回も繰り返す事。これは自分1人での練習ももちろんですが、スタッフに実際の来館者となってもらい、通しで練習を重ねました。また、初回などはフタッフ同席の元、来館者の方々をご案内していました。

常に新しい問題が発生してきます。もちろん私たちもオンライン美術館を開催するのは初めてです。その問題に対して、どのように対処していくのか、自分1人ではなく、必ず報告。一緒に対応策を考えてもらいました。

そしてオンラインが怖いのは御来館者様も一緒です。どういった場所なのか参加してみなければわかりません。
そこでZoom Art Museumでは冒頭にアートリックチャレンジというクイズ形式の作品紹介を行っています。御来館者様はもちろん、キャストも毎回緊張しておりますので、ここはかなり重要ポイントです…!

と、このような感じでしょうか。
では最後に、
もしオンラインで何か始めようとしている方に、私がZoom Art Museumの最中に心掛けていることをお伝えします。

私(キャスト)が心掛けていること

1.御来館者様がどのようなご案内方法を求めているのか考える
 これは私もなかなかできていないことなのですが、御来館者様にもタイプというものがあります。ざっくりいうと、「人と話しながら観賞したい人」と「ゆっくりと観賞したい人」です。御来館された方がどちらのタイプの方なのか、常に考えながらご案内しています。

2.なるべく御来館者様とお話しする
美術館は何か疑問に思っても、疑問で終わってしまうことが多くないですか?ですが、オンライン美術館はキャプションを見るのではなく、キャストがリアルタイムでご案内しています。そのため質問や御来館者様の声が実際に聞くことができます。
冒頭のアートリックチャレンジで積極的にコミュニケーションをとり、発言しやすいようなアットホームな雰囲気を心掛けています。

3.チャットの活用
実際に、御来館者様にもチャット欄を活用していただいているのですが、私もよく活用しています。「実際に話せばいいじゃないか」と思われると思うのですが、伝わりづらい言葉ってあると思います(確実に私の滑舌の問題)。話すスピードや音量に気を付けていますが、聞きづらそうなところはチャット欄に追加で記載していきます。

4.自分自身も楽しむこと
御来館者様のコメントなどで気付く新しい考え方・視点があります。自分じ自身も学びながら、楽しみながらご案内しています。大切です!

実は、あまり信じてもらえないのですが、私は人見知りです。毎回Zoom Art Museumが始まる時は今でも深呼吸をしています…笑
ですが、このZoom Art Museumをやっていて思ったことは、自分自身がキャストになりきるということ。

アーティストや作品の魅力を伝えていくのに必要なことは「伝えたい」と「知りたい」これだけなのかも知れない。

そう思いました。知的障害のあるあ方が描いたアート作品・アーティストの魅力を、ご来館いただいた皆様に「伝えたい」という気持ちと、見ている中で生まれてくる「もっと知りたい」という気持ち。それがあれば、オンラインであっても美術館は存在するのではないかと思います。
(私は4月に入社したばかりですが、アーティストの作品に魅了されてヘラルボニーに入社しました。作品に対する想いというのは他のメンバーと変わらず強いと思っています…!)


最後に

スクリーンショット 2020-05-26 18.45.06

当初はゴールデンウィーク期間限定開催の美術館でしたが、ご好評につきまして期間を延長。そしてアーティストが所属している美術館「はじまりの美術館」館長の岡部さんをゲストにトークイベントなども開催致しました。

HERALBONY #Zoom Art Museumで展示・ご紹介しているのは"知的障害のある方が描いたアート作品"と彼らのストーリーです。なかなか見る機会が少ないアート作品を、現在は500名ものご来館者様に触れていただいています。

ご来館者様の声

スクリーンショット 2020-05-24 12.15.39

スクリーンショット 2020-05-24 12.16.55

スクリーンショット 2020-05-24 12.16.04

SNS上で#ZoomArtMuseumを発信してくださったご来館者様の声です。ZoomArtMuseumは、写真撮影等が可能となっています。
「今まで見たくてもなかなか見る機会がなかった」「初めて知的障害のある方が描いたアート作品を見ました!」という沢山のお客様にご来館いただいております。
そして「ZoomArtMuseum 2回目です!」や、noteに記録してくださるお客様まで…ありがとうございます!

「オンライン美術館」と聞くと「未知の世界」「ちょっと怖い、緊張する」という方が多いのではないでしょうか?
もちろん、開催している私たちも同じでした。緊張していても大丈夫。誰もがすぐに魅力的なアートの世界に引きずり込まれます。

今後も、様々なアート作品のストーリーをお話ししたり、ゲストをお招きすてのイベントを行いたいと思います。

5月展覧会概要
会期:2020年5月11日(月)〜2020年5月31日(日)
第1部:10:00〜10:40
第2部:15:00〜15:40
第3部:20:00〜20:40(平日は第3部のみ)
休館日:水・木
会場:ZOOM(お申し込み完了後、自動予約完了メールと共に展覧会参加用ZOOM URLが送付されます。)
主催:HERALBONY
アートディレクション:守田篤史(株式会社ペーパーパレード)
観覧料(税込):無料(一般 / 学生)
お申し込みはコチラから
お申し込み方法の詳細


新しい世界の入り口。新しい美術館へ。
ぜひ皆様、お気軽にご来館くださいませ。

それでは、HERALBONY #Zoom Art Museumでお待ちしております!


ご予約はこちら

ロゴ_商標なし_横(2)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?