野口英世との思い出

「20年ぶりに新紙幣発行が始まりました」

そんなニュースがふと耳に入って思い出すのは、まだ大学生だった頃のとある日。

暇を持て余した母と私は
なんか急にスイッチが入って
家中の長らく着ていない服をかき集めた。

「これまだ着るかなぁ」
「いらんいらん」

「うわ、あんたこれ捨てんの?ほなお母さん着るわ」

「あ〜こんなんあったん忘れとったわ」

なんてワーワー言いながら。

大きな袋が2つできあがった頃、
「さ、行くで」と向かったのはセカン○ス○リート。

「なんぼになるかなぁ」
「こんだけあったら5000円ぐらいなるんちゃう?」
「えー、そんなするかなぁ?」

なんてちょっとウキウキしながら
2人で重たい袋を担いで店に入った。

「買取価格はこちらになります。よろしいですか?」
そう店員のお姉さんが見せてきたのは1200円。


「まぁ、そんなもんか」と母と笑い合ってお金を有り難ーーーく受け取った。

お店を出たら、
「はい」
ついさっきもらった1000円札を私に手渡したお母さん。

「え、いいん?」
「入れとき。
もうちょいあったら2人でランチでも食べれたけどな」
そう言って笑う母。

「ありがとう」
受け取った1000円札は、
新札とは程遠く。
折れて擦れて、端が柔らかくなっていた。

その中でドヤ顔の野口英世を見ながら、
(このお金、なんか使われへんなぁ)なんて思った。


そんな野口英世が引退する時が来たらしい。
寂しいような、名残惜しいような。

でも20年後、北里さんが引退する頃には
また北里さんとの思い出ができてるんかな。

20年後の自分は何してるんやろ。なんて思ったり。


なにわともあれ、
おつかれさま、野口英世!
ありがとう、野口英世!


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