読んだら腹黒さが顔を覗かせた『世界でいちばん透きとおった物語』

当コラムは『堀江貴文のブログでは言えない話』で連載している内容を週遅れで転載しています

 近年、書籍が売れないと言われているわけですが、最近は輪をかけて売れなくなっている傾向があったりします。そんななかヒットした書籍に『世界でいちばん透きとおった物語』( https://amzn.to/478dxvl )というミステリー小説があります。
 ザックリあらすじを説明すると、主人公がミステリー作家である父の遺稿を編集者とともに探すという物語。でも、物語よりも印象的だったのはこの書籍のアイデアと売り方だったりします。

 実はこの本は文庫本でしか販売されていません。というのも文庫版でしか実現できない“ある仕掛け”が施されていて、それを全面に打ち出し「電子書籍化絶対不可能」という謳い文句で30万部を超える大ヒット作となったのですね。
 この売り方がスゴイのはそのインパクト。「文庫でしか実現できない」と聞いたら誰でも疑問やら興味を持つし、なんとなく手に取りたくなりますよね。しかも、実際に読んでその仕掛けを知ったら、「そういうことか!」みたいな驚きがあるので人に伝えたくなるのです。
 そんな感じで「疑問に思ったら手に取りたくなる心理」や「知ったことを人に伝えたい心理」をうまく利用して口コミとかで拡散しているのをみると、上手な売り方だなぁと思ったわけであります。自分も乗せられてコラムにも書いていますしね……。
 と、ここまで読んでいて気になるのはその仕掛け。ただネタバレを含むのでここから先は見たい人だけ見てください。

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