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プロの定義

私にはどうにも卑屈なところがあって、褒められたら言葉の裏を読もうとするし、何かに誘われたら下心を探ろうとしてしまう。

とはいえ社交辞令であっても何かいいことを言っていただいたのに対し「いえいえそんなことないんですよぉ~」なんて言ってしまっては、(社交辞令なのに本気にすんなバーカ)と思われるのが関の山なので、「ありがとうございまーす!」ととりあえずはありがたく元気に受け取るようにしている。

人になにか言われるのが怖いが故に、相手にはなるべくそんな気持ちになってほしくないから、本当に思ったこと以外はなるべく言わないようにしようと思っている。職業柄そうもいっていられないときもあるけれど、できるだけね。

先日、いろいろ教えてくれたりあちこち連れていってくれたりとお世話になっている先輩に原稿を見てもらった。
「よく出来てると思うよ」と言ってくれて、ちょっとした修正を入れてくれていた。
文末とか、重複しているところとか、ほんの少しの言い換えとか、細かいところだけれどそれを直したら確かにぐっと読みやすくなる!というものばかりで、感動した。

「さすがプロですねえ……」

思わず口から漏らした私に、「ただの年の功だ」と謙遜しつつ、

「君もプロでしょうが」

と言ってくれた。

決して褒められたわけではなく、ほんの少し咎める響きも含んでいたその言葉に、ハッとした。

免許も資格もないけれど、確かにこの仕事でお金をもらっている限り、私はプロの自覚を持たなきゃいけないんだ、と思った。

ずっと自信はないけれど、その自信のなさを人の目に触れさせちゃいけない。

卑屈を隠れ蓑にして、どうせ私なんて、を逃げ道にしていた。

いろいろな人に会う中で、なんで皆そんな自信満々に生きられるんだろう……と不思議に思っていたけれど、自信なんてなくたって、自分のやることに責任を持つ、と覚悟しているだけなのかもしれない。

できるできないじゃなくて、やるんだと決めて、目の前のことを黙々とやっていくうちに、実力が伴ってくるのかもしれない。

”Fake it till you make it."

ってやつね。

がんばろっと。


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