Saims通信vol.2
前回に引き続き、Saimsでご質問いただいた中からまた11個紹介したいと思います。前回同様にすべて読むと10分くらいかかりそうなので、目次を活用して、気になるところを読んでいただけたらと思います✨
Q12. 破産手続や個人再生手続を依頼していて、家計収支上でお金が残りすぎると破産できなくなるのか?
A, 本当に余り過ぎないとそんなことにはなりません。
破産の要件として、①債務超過、②支払不能があります。債務超過は財産よりも借金が多いこと、支払不能は、分割で返済していけないことです。
裁判所が基準とする支払不能状態とは「総債務額を36分割した金額を支払えるかどうか」となっており、なかなか厳しい金額だと思います。このため、現実的にこの基準を満たせるほどのお金は残らないと思います。
Q13. 破産手続の財産の基準はいつですか?
A. 破産手続開始決定日です!
破産手続開始決定は、形式的な要件を満たせば、裁判所がこの決定を出します。申立てをしてから1週間~2週間ほどで出るのが一般的です。
この決定が出された日が基準日となり、この日時点で持っていた財産は自由財産を除いて、すべて管財人の管理する破産財団に属することになります。
反対にこの基準日以降に取得した財産は新得財産とよばれ、自由に使えます。ただし、無駄遣いやギャンブル等は免責許可に響きますので、良識の範囲で使えると考えておきましょう。
Q14. 破産や再生手続きで、オンラインカジノやその関連資産がにいくらか残っている場合、これを引き出しても問題はないのか?また、引き出すことができるタイミングはいつになるのか?
A. 引き出すと問題になるので、依頼している事務所に確認しましょう。
これは賛否両論あると思います。申立前に反省の意味と手続後に再発しないことをアピールするために解約する可能性もありますし、申立後に管財人が調査するために解約せずに残しておき、管財人の指示で解約することもあります。結果的に引き出すタイミングはオンラインカジノを解約するタイミングになると思いますが、引き出したお金は自由には使えないと思います。
Q15. オンラインカジノで借金をつくった場合、どんな資料の提出を求められるのか?
A. オンカジの入出金履歴と入出金先の履歴
ポイントとしては、オンカジにいくら使っていくら、返ってきたのかの損益計算をして、借金が本当にオンカジに消えたことを明らかにしなくてはいけません。
オンカジはとても複雑で、入金方法も出金方法も多岐にわたるため、オンカジに入金されたお金はどこから出金しているのか、反対にオンカジから出金されたお金がどこに入金されたのかをはっきりさせなくてはいけません。
これによって、①オンカジから出金があるのにどこにも入金がない、②銀行等に入金があるのにオンカジの出金がないと、①の場合は他の銀行口座があるんじゃないか?②の場合は他のオンカジも利用しているんじゃないか?となり、資産隠し等の疑いが生まれる可能性があります。
Q16. 親から借りたお金を個人再生手続きに含めないと言われたが、何か影響はあるのか?
A. あります!
破産や再生手続きは裁判所が監督するため、債権者平等の原則があり、すべての債権者を手続きに含めなくてはなりません。この債権者には、家族や友人、勤務先等も含まれますから、親であろうと手続きから除外してはいけません。手続きへの影響は、債権者平等の原則に反しているので、心象が悪くなることやそもそも各債権者に対する返済額が変わることもあるため、他の債権者を害する行為となり、手続きが認められなくなる可能性があります。
Q17. 家計収支で使途不明なお金がある場合、食費や交際費で辻褄を併せても良いのか?
A. ぶっちゃけ大丈夫です。
実際のところ、代理人も管財人も依頼者さんの生活に密着するわけではないので、現金の使途については、本人申告に頼ることになります。また、合わないお金の帳尻を合わせずにあることにしてしまうと、申立するころに差額が大きくなり、ややこしいことになるので、使途不明金が高額でなければ、ないものはないとして、雑費、食費、日用品等に振り分けてしまって問題ありません。
Q18. 退職金に関する資料を会社に怪しまれずにどうにかする方法はないか?
A. ほとんどないです。
ア.退職金がない場合の案
①入社時に渡されるであろう雇用契約書や労働条件通知書に退職金がないとの記載がないか確認する。
②社内の就業規則などをこっそりコピーする
③求人情報に退職金の有無が記載されていないか確認する。
④裁判所によって勤続年数〇年未満は提出しなくて良いといった運用がないか確認する。
イ.退職金がある場合の案
地方銀行の住宅ローン審査を通すために必要と会社に説明して一筆もらう
Q19. 家計収支を提出するにあたり、レシートや領収書をとっておくように言われたが、PayPay等の電子決済は避けた方が良いのか?
A. 利用して問題ないです。
ただし、管財人によっては、履歴が出せるものは履歴を出させようとする管財人もいるため、現金管理が最強です。電子決済系は履歴が残るので、管財人のあたりが悪いとめんどくさいことになる可能性はあります。
なお、管財人業務は管財人の裁量により調査するので、厳密に決まりがないため、アタリ・ハズレがあります。
Q20. 同居人の通帳を提出しなくてはならなくなった時に同居人の高額な買物は手続きに影響するのか?
A. 同居人にそれなりの収入があれば問題ないです。
例えば、収入がないのに高価な買い物をしていたら、そのお金って一緒に住んでる依頼者さんが払ってるんじゃないか?となると「そのお金は本来債権者に対する返済に充てるべきだ」となる可能性がありますが、同居人に収入があり、同居人の収入で購入できるのであれば、とがめられることはありません。
Q21. 破産手続を依頼していたところ、お金が余るので任意整理は無理でも再生なら払えるとなった場合、再生手続になってしまのか?
A. なりません。
勘違いされがちですが、任意整理が無理なら再生、再生が無理なら破産の順番ではないです。正確には、任意整理が無理なら破産、破産が無理なら再生の順番です。
この「破産が無理なら」というのは、資格制限があったり、免責不許可事由が酷く免責が不可能と考えられるような場合です。
質問のように5分の1にしたら返済できる状態は、破産もできるけど再生もできるという選択肢があるにすぎません。
Q22. 携帯電話の割賦(分割)代金は手続きに含めなくてはいけないのか?
A. 事務所の方針次第です。
本来であれば、債権者平等ですから、手続きに含めるのが正式な方法です。ただ、私が知る限るでは、携帯の割賦(分割)代金はどことなく、暗黙の了解があり、裁判所や管財人が指摘してきたケースはほとんどないです(私の知る限り約350件中2件)。
そのまま、相談した事務所から割賦(分割)代金を含める方針と言われた場合に使い続ける方法は①残りの割賦(分割)代金を一括で払う。②依頼する事務所を変える。の2パターンになると思います。
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