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リスク・コミュニケーションについて医療ISAC Security Lectureで発表しました

Site Reliability Engineer (SRE)の戸田です。先日医療ISAC主催のオンラインセミナー「医療ISAC Security Lecture」に登壇し、3省2ガイドラインで求められる事業者と医療機関とのリスク・コミュニケーションについて解説いたしました。

このNoteでは、発表の概要を紹介いたします。

リスク・コミュニケーションとは合意形成をすること

医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドラインによると、リスク・コミュニケーションとは事業者が医療情報システム等の安全管理にかかる説明義務を果たし、医療機関との共通理解を形成するために実施するものです。

図1 解説はリスク・コミュニケーションの定義を確認するところから始めました

このガイドラインは事業者向けのものなので事業者が主語として書かれていますが、最終成果物が合意形成にあることを考えると、医療機関から積極的に事業者に対するコミュニケーションを行うことも重要だと考えています。

特に職員教育がサイバーセキュリティを高めるための鍵になること、職員教育を事業者で代行することが現実的でないことを踏まえると、医療機関側が一定の主導権を握ることが必要です。事業者からは観点の補足や、製品・サービス固有の知識や教育用コンテンツを提供をし、責任分解点や運用について相互に合意を形成していくことが理想的ではないでしょうか。

図2 職員教育はサイバーセキュリティの鍵であり、医療機関が担う必要がある

リスク・コミュニケーションの第一歩は国が提供する資料から

とはいえ中小規模の医療機関には、サイバーセキュリティの専門家以前に院内システムの専門家も少ないのが実情です。医療機関における「サイバーセキュリティを確保するために必要な措置を講じること」が法令改正で義務化されたとはいえ、いきなり始めるのは難しいでしょう。

そこで今回お勧めしたのが、法令改正を受けて公開された医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストです。これで医療機関内で何を定めるべきかが順を追って明確になります。

加えてサービス事業者による医療情報セキュリティ開示書(SDS)も事業者から提出させることで、事業者と確認をすべきことも明確になります。何がわかっていないか、何をしなければならないのか、どんなコミュニケーションが求められるのかという「リスク・コミュニケーションのはじめかた」をこれらの書類によって明らかにできるということです。

図3 このチェックリストは本当によく考えられています、ありがたい…

なお、このチェックリストは事業者用も用意されています。事業者によってはリスクについての知識や理解があっても、医療機関の方々とどうコミュニケーションをとっていいのかわかりにくいところがあるかもしれません。その場合でもチェックリストを口実にSDSを渡す、SDSをベースにサービスでやれることややれないことを誠実に話すことで、その起点にできるのではないでしょうか。

この他にもいくつかの事例を引いてリスク・コミュニケーションのやり方や要点についてまとめておりますので、関心をお持ちの方はSpeakerdeckで公開しております発表資料をご確認ください。

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