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読書

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記事一覧

「絵と言葉の一研究」(寄藤文平)を読む

デザイナーとしての仕事を通して出てきた違和感や疑問に、深い思考によって向き合う本だ。冒頭…

heno
4か月前
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「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(東畑開人) を読む

東畑開人の本は「居るのはつらいよ」と「心はどこへ消えた?」の二冊を読んでいた。 この本は…

heno
5か月前
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「第四間氷期」(安部公房)を読む

この本を読み、考えたことは次の四つだ。 ・AI(人工知能)との関連性 ・水棲哺乳類の魅力 ・現…

heno
6か月前
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「デミアン」(ヘッセ) を読む

読んだのは恐らく四回目。 一回目は高校生の時、二回目は大学生の頃だったと思う。三回目は記…

heno
6か月前
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「木野」(村上春樹)の読書メモ

「女のいない男たち」という短編集に「木野」という印象深い小説がある。 タイトルになってい…

heno
2年前
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最近読んだ本 2021年12月

・ドストエフスキー「罪と罰(上)」 登場人物がまるで目の前にいるかのように生き生きとして…

heno
2年前
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最近読んだ本 2021年5月

・「ラクガキ・マスター」(寄藤文平) デザイナー・イラストレーターの寄藤文平によるユーモアに溢れたラクガキの指南書だ。 「広葉樹は傘のかたまり」とか「川は溝」「山はシワ」など、言葉で書くと何をいっているのだ、という感じだと思うが、図で示されると説得力が凄まじい。つまりそのようにイメージで置き換えることによって木や川、山といった対象を「それらしく」描くことができるようになるのだ。 実際上手く描けるようになるのかはわからないが、読むだけで絵が上手くなった気がしてしまう! シンプ

愛と死の物語—「星の王子さま」

サン=テグジュペリの「星の王子さま」はこれまで三回ほど読んだと思うが、どんな話だったかあ…

heno
4年前
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実存の地平—サルトル「嘔吐」

「嘔吐」は正直なところ、危険な本だと思った。 実存という世界の実相について語っているが、…

heno
4年前
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哲学や文学の「深さ」—カミュ「ペスト」を読んで

先日、アルベール・カミュの小説「ペスト」の読書会に参加してきた。 最後の方で参加者の一人…

heno
4年前
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「気まま哲学談話」で考えたこと、「忙しさ」について

先日、「気まま哲学談話」を行った。初めて主催した哲学カフェのイベントだ。約十名が集まり、…

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heno
4年前
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國分功一郎「暇と退屈の倫理学」について

普段、僕たちは退屈を避けながら生きている。 退屈を感じると、無意識に何か作業を始め、しば…

heno
4年前
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谷崎潤一郎「文章読本」と情報化社会

「文章読本」は、小説家・谷崎潤一郎による文章講義だ。 もちろん、実際に文章を書くのに役に…

heno
4年前
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「中島敦展」の感想

中島敦を最初に知ったのは、高校の教科書に載っていた「山月記」だった。 自尊心と羞恥心という精神的猛獣に飲まれて虎へと姿を変えてしまった男の哀しい物語…。 まさにこれは自分のことだ…、と驚きと恐怖を感じ、文学の力を知った。読書に熱中するきっかけとなった作品でもある。 しばらく「山月記」のことは忘れていたが、最近ふと、この作品のことが気になってきて、ぐるぐると考え始めてしまった。思春期も過ぎ自意識の問題は何となく解決したつもりになっていたが、どうやらそうではなかったらしい。