緊急事態宣言中の話

大学四年生になる時にちょうど緊急事態宣言が発令されて、軟禁状態になった。
大学はオンライン。バイトは休み。
基礎疾患のある祖父と暮らしていたので迂闊に遊びにも行けない。就活は先が見えない。
面白いくらい先が見えない中で、2つのアルバムを狂ったように聴くことでなんとか自我を保てていた。

ひとつはBillieの『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』
大ヒットしたやつ。
鬱屈した感情に任せて聴くのが気持ちいい。攻撃的な曲が続く前半と、「ilomilo」から最後まで続く重くて感傷的な雰囲気がたまらなく好きで何度も聴いた。聴きすぎて全部歌えるようになった。
自粛中は「xanny」や「all the good girls go to hell」とか低音がガンガン来るのが好きだったけれど、今は「i love you」や「listen before i go」の方が響いてくる。相当フラストレーションが溜まっていたのだと思う。

もうひとつが『/04』。教授のピアノによるセルフカバーアルバムだ。
どういう経緯で聴き始めたかは忘れてしまったが、私がピアノをもうちょっとやってみようと思うきっかけになった作品。
全楽曲が堪らなく好きだが、特に「Perspective」は狂ったように聴いた。
毎日繰り返す行動について歌っているのが、緊急事態宣言中の生活にぴったりと重なったからだ。
毎日「Perspective」を目覚ましにして起き、毎日スクランブルエッグを作って、毎日ピアノを弾いた。
それまで憂鬱だった、ひたすら繰り返す日常がふと有意義なものに感じられた。
同じ毎日を繰り返せるのが平穏でありがたいことだと思えた。

軟禁状態の中、タイプの全く違うアルバム2つを朝から晩まで繰り返し聴いた。
あんまり聴くので、Apple Musicのトップ25はBillieと教授でできている。
今年に入って、念願の『/04』オフィシャルスコアブック(¥28000)を手に入れてしまったので、下手くそなピアノはしばらく続けるつもり。

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