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最初の出会いから「デジタルよろずや」だった。辺境チャンネル小林隊員の場合

 こんにちは。辺境チャンネル隊員の小林渡です。
 有限会社AISA(アイザ)という小さな会社を営んでいます。

 高野ファンの皆さんや、本の雑誌を愛読されている方には、「なぜこの人がいるの?」という謎な存在かもしれません。そこで、今回は高野さんとの出会いを紐解きつつ、私が辺境チャンネル隊員になった経緯を少し書いてみたいと思います。

 2004年8月8日。初めて高野さんと会ったのはこの日でした。なぜ覚えているかというと、この日に大森で行われたミャンマー辺境映像祭というイベントを、自分の意思とはほとんど関係なく主催することになってしまっていたからです。

ミャンマー辺境映像祭軽_ページ_1

今考えても「よく引き受けたなぁ……」と思ってしまう、
記念すべきミャンマー辺境祭のチラシ


 当時の私は辺境どころかミャンマーに行ったことすらなかったのですが、言い出しっぺの知人2人がそれぞれ海外で会社を経営していて、イベント間際まで日本に帰ってこられないという事情から、なかば押し切られるような格好で実行委員長を引き受けたのでした。

 しかも、映像祭なのに肝心の映像はなく、唯一2人から届いたのは編集前のビデオテープだけ。
 「渡さん、映像の編集もお願いします!」メッセージとともに送られてきたテープを前にNOの選択肢はあろうはずもなく、結局、当日の朝(というか開演前)までかかってなんとか編集し、実行委員長なのにパソコン操作担当としてイベントを迎えるはめになったのです。

 そんな無茶苦茶なイベントでしたが、「スペシャルゲストとしてノンフィクション作家の高野秀行さんが講演してくれることになってますから、成功間違いなしですよ。はっはっは」と、言い出しっぺの2人は何度も何度も自信たっぷりに私にいいました。
 一方の私は『高野秀行』の名をこの時初めて知ったくらいで、もちろん本も読んでいません。2人が熱く語れば語るほど「きっとヤバい人に違いない」という思いが募るばかりで、高野さん宛に送ったリマインドのメールに返信がないことも不安材料でした。
 当日来なかったらどうすればよいのか、10時を過ぎてもまだ編集が終わっていない状況に絶望しつつ途方にくれる私を尻目に、2人は会場の広さやステージ横に掲示された「ミャンマー辺境映像祭」の垂れ幕を見て「本当にやれるとはなぁ」などと感慨にふけっているのでした。

 果たして本番。
 開場少し前に現れた高野秀行さんを見たとき、「あぁ、彼も2人に無理やり巻き込まれてしまった口だ……」とすぐにわかりました。
 「当日になるまで本当に開催するのか半信半疑で、メールに返事できずすみません」といわれましたが、主催者の私でさえそんな気持ちだったので、「いえいえ、わかります」と即答。
 思えば、この時から私も高野さんの『間違う力』の一派に加わっていたのかもしれません。

 さて、座組や段取りはいい加減にもほどがある状態だったにも関わらず、ふたを開けてみれば大盛況。特に高野さんのトークショーはみんな興味津々で、質疑応答は辺境好きだけでなく、明らかに高野さんのファンと思われる人からの突っ込んだ内容が飛び出ました。

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熱心な辺境好きと、高野ファンを前に
いつになく真剣な表情で語る、高野さん(若い!)


 終演後に会場で行った懇親会でも高野さんが一番人気で、話をしたい人が列をつくって並んでいるほど。
 始まる前は「どうせ僕の本を読んでる人なんか来ませんよ」といっていたのが一転、ベロンベロンにワインのまわった高野さんが「本当に自分のファンがいた!」と、UMA発見のごとく興奮した口調で語っていたのが忘れられません。
 ちなみにこの日、高野さんが講演したのは著作『アヘン王国潜入記』から。この本はその後『クレイジージャーニー』で話題沸騰となったことを考えれば、当日のお客さんの反応はある意味当然だったのかもしれません。

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スライドをもとに講演する高野さん。
よく見ると、前回の辺境チャンネルでも使った村人の写真が写っている!

 映像祭が終わると、言い出しっぺの2人は「渡さん、高野さんのマネージメントやったらいいんじゃないですか?」と、当事者の都合そっちのけでごり押ししてきました。しかし幸いなことに2人ともすぐに日本を出国したため話は立ち消えに。ところが、2人の広げに広げた風呂敷の中に、「高野秀行公式ホームページとブログの立ち上げ」という実現可能なものが残っていて、私と高野さんはまずそれを始めることになりました。

 「作家がただで文章を読ませるなんて、何を考えてるの!」
 「文章が荒れるから、絶対やめたほうがいい!」

 今は亡き、集英社文庫の敏腕編集者、堀内姐さんからこう言われ、一時は目の敵にされたこともありましたが、公開してしばらくたつと、ブログはコアなファンの集う場としてだけでなく、新しいファンをも獲得できる場として機能し始めました。その効果が目に見えるようになったことで、堀内姐さんの誤解も次第に解けていったのです。

 ホームページやブログの立ち上げから管理を担当してきたことにより、奇しくも私は「デジタルよろずや」として高野さんの頭にインプットされることとなりました。
 結果、ITサポート係として高野家のインターネットやパソコン周りのトラブル解決に奔走するようになります。
 そしていつしかそのポジションは本の雑誌社の杉江さんにも認識され、今回「コロナで空いてる高野さんに、今こそはやりのZOOMを!」の大号令のもと、辺境チャンネルITサポート担当としてお声がかかったというわけなのです。


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次回、辺境チャンネル配信のお知らせ

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 辺境チャンネル第2回のイベント内容が決定しましたので、お知らせさせていただきます。

日時は、2020年8月1日(土)午後2時から午後4時半
「謎のアジア納豆」でネバネバトーク

と題してお送りする予定です。

チケットはこちらSTORESで販売しておりますので、みなさまぜひまたご参加いただけましたら幸いです。
https://aisa005.stores.jp/items/5f0008c713a48b766579d7fe

本に書いてないエピソード、掲載されていない写真などを中心にまたまた2時間半高野さんの話をたっぷりお届けいたいます。どうぞお楽しみに!

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