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オノマトペピアノ徳川家康【毎週ショートショートnote】

 駿府城に運び込まれた機材に大御所は目を見張った。
「鳴くまで待とう、とか悠長な事をぬかしやがったので、ホトトギスの鳴き声をキャプチャーし、キーに応じた高さで出力できるピアノを造らせました」
「御前の立ち位置は何処なんだよぉ正信ぅ。ってかそれってシンセサイザーじゃん」
 と適当なキーを押すと「てっぺんかけたか」が聞こえ、
「おう」
 と押した次のキーからはかなり低い「てっぺんかけたか」、また離れたキーからは相当に高い「てっぺんかけたか」、押す度に聞こえる音が重なって、

「てっぺんかけたか」「てっぺんかけたか」「てっぺん「てっぺん「かけ「かけ「かけたか」

 と続いてくると大御所は、若干トランス状態に入られた様子である。
「これって儂が大好きな鷹の声でも出来るぅ?」
「出来ますとも。ヒトの肉声でどのようなオノマトペでも」
「うわぁそれって敵軍いくらでも撹乱できちゃうじゃん♪」
 そんなわけで孫の代までは向かうところ敵無しなのだった。


(410文字)

 時代考証ガン無視ですがキャラクターだけ面白がって頂ければ。

 個人的な好みを明かせば今回は、
 「お前の立ち位置は何処だ正信」を言わせたかっただけです。

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!