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宝くじ魔法学校特例【毎週ショートショートnote】

 非魔法世界における宝くじの、高額当選を果たした者には、特例として新入生であれ高度な魔法を使用する事が許されている。

 自分の当選券と、他人の所有券とを交換できる魔法である。

「暴利を、貪り過ぎてはいませんか。エウレシア校長」
「あら、そうかしら。ダイナゴン」
 校長室で当該規定を確認した秘書は呆れ顔でいる。
「『その魔法の伝授は当選額で購入する』とは……」
 黒基調で装った、美魔女校長は分かりやすく高笑いだ。
「魔法は何も、夢や希望のために存在するわけじゃないのよ。当選した事を私達にも隠し通せるほど、精神操作を習得出来た生徒なら見逃しているし、特例措置を喜んで受け入れ切れない生徒なら、入学した記憶自体を消去して非魔法世界に戻してあげる。現実を充分に変え切れるだけの手段を得ておいて、魔法まで身に付けるつもりでいるのと、どちらが暴利かしら?」
「おかげで魔法を購入した生徒はいませんけどね」
 ため息と共に秘書は規定書を閉じた。


(409文字)

 流し読みして頂いても深読みして頂いても。
 おそらくどちらであれ対応されますから。

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