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ちょっと手を留めて聞いてみてくれ

 「愛する者を守りたい」
 と強く思うからこそ、
 視野が狭まるんだ

 愛する者、以外はどうだって良くもなる。

 そもそも愛する者は守られたいと思っているのか。
 そして貴方のその守り方を望んでいるのか。

 本人にはっきり訊いてみた事はあるか?

 訊くわけがない?
 なぜだ。
 愛する者にとっても、
 貴方のその思いの強さにとっても、
 必要かつ重要な事項ではないか。

 「良かれと思って」程度の気持ちが、
 有り難く受け取られるわけがない。
 相手の意思くらいは確かめろ。
 確かめも切れない程度の間柄なうちは、
 行動に移す事までは避けておけ。

 人はそれぞれが異なる世界を有する個人だ。
 「他人ごときに守り切れるはずがない」
 と予め分かっておけば少なくとも、
 今目の前にいるその愛する者に、
 笑顔を向けられるぞ。

 緊張で強張った顔や、
 疲れ切り余裕を無くした顔や、
 時に苛立ち怒りに駆られた顔ばかりを、

 それこそ愛する者に、
 見せ続けずに済むんだがどうだ。


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