見出し画像

実質的にそこそこ嫌な与太怪談

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 今回も、

 の渦に皆様をもつれ込ませること請け合い。

(文字数:約1500文字)


  夏に限らず我が家には、
  一年中怪談番組が流されている。

  配偶者がそもそも稲川淳二さん好きだったので、
  「嫌だ」「怖い」「やめてくれ」
  と言ったところで聞いてはもらえないまま、
  私の方がすっかり慣れ切ってしまった。
  (だけど現場検証系だけは直視しない。)

  それどころか結婚して15年、
  付き合い出してから20年近くにもなると、
  私の耳も肥えてきて、

  もはや民俗学を研究している感覚。
  FunnyではなくInterestingで面白い。

  先日は「桜井館長」という、
  心霊写真を保存・分析している方が、
  ゲストで出ている番組を見ていて、

  わりとしっかり私の頭が痛くなる写真が、
  液晶画面に大写しになったところで、

  「あ。僕ちょっとトイレ」
  と配偶者が一時停止しやがった。

  さすがにこの写真大写しは嫌だなぁと、
  10秒戻しボタンを押したところ、
  尚更大写し。
  (2回くらいあるよね番組構成上ね。)

  もう関わる事も嫌だと、
  タブレットを起動して、
  配偶者が戻るまでの間、
  noteに逃避していた。

  そのうちに私もトイレに行きたくなったのだが、
  番組が終わってからにしようとやり過ごした。

  番組が終わりそれでは寝ようと、
  私がまず歯磨きをしてから、
  トイレの扉を開けたところ、

  床がびしょ濡れ。

  しかも夏場で、
  トイレ付近に我が家の冷房は届かず、
  個室にこもった臭気で分かるが、
  ただの水道水ではない。

  こうした場合に腹を立てても仕方がないので、
  私はなるべく穏やかな心持ちで、
  何気ない話題のように声色を装い、

  「トイレ、どうしたの?」
  と訊いてみた。

  すると配偶者からは、
  「え? 何が?」
  という至極平然とした笑顔が返ってきた。

  「床、濡れてるんだけど」
  「え。僕じゃないよ」
  「いやいや。だとすると怖い怖い。
   この家には私と貴方しかいないから」

  ご足労願ってトイレまで来てもらい、
  実際に濡れている床を見せたところ、

  心底驚いた配偶者は、
  「そんなはずは。そんなはずは」
  と慌て呟きながら床を拭きまくってくれたので、

  私も除菌クリーナーを取り出して、
  最終拭き上げをしたのだが、

  夏場なもので1日2日ほどは、
  臭気が残り続けて実質的に困った。


  もちろんだが、
  霊障だとは考えていない。

  霊障であれば実質的には困るにしても、
  なんともしょぼい。

  しかしこうした事が、
  「霊障」として語られる諸々の怪異に、
  繋がっているのではなかろうか、
  という気がした。

  察するに怖い映像を見ながら、
  怖い話を聞き続けた事により、
  脳にある程度以上の負荷がかかり、

  ①配偶者が番組途中でトイレに行った際、
   床を濡らした事に気付かない。

  か、

  ②私が番組が終わって歯磨きをする前に、
   実はトイレに行った事を忘れている。

  くらいまで、
  どちらかの認識能力を低下させた。

  私は①だと思いたいが、
  ②の可能性も否定し切れない。


  まぁどなた様にでも提案できる対策として、

  怪談番組を見る前には、
  トイレに行っておく事をお勧めします。


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。 

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!