失楽園ぼっちアダム【毎週ショートショートnote裏】
ハメられた。俺はハメられた。
「はい。女、合格。楽園に暮らし続けてよろしいっ」
葉っぱをつづり合わせて作った服を、いきなり着出した女は嬉しそうだ。
「はい。蛇もよくやった。他所の土地で神として君臨してよろしい」
「私は女が気に入りましたので女の彼此に入りたいですっ」
「よろしい。女もお前を気に入ったようだし、入り込んで融合するが良い」
これがクンダリニのヘビの起源である。
「なぜっ……! なぜですか。私は貴方が命じた通り、知恵の実には決して口を付けなかったのにっ!」
「だってお前、バカじゃん」
素っ裸の私にその方は呆れた様子だった。
「言われた事だけ守って与えられた物だけで生きて行けるって考え、バカ丸出しじゃん。少なくとも楽園にはいらないよ」
屈辱に満たされた俺は楽園の外で言葉を覚え、俺を主人公にした女と蛇が酷い目に遭う話を、出会う人ごとに語り続けた。
生涯を掛けた腹いせのつもりだったが、思いがけず世界中に広まった。
(408文字)
大変にそそられる裏お題だったもので今回はつい。
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