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2.2開拓クエスト雑感・前半【崩壊:スターレイル】

皆さん、崩壊スターレイルver2.2を楽しんでいますでしょうか。
ピノコニーの行く末をめぐる我らが「開拓」の道はもう見届けましたか?
今回は2.2開拓クエストを終えて、今にも溢れ出しそうな感情をアウトプットしたいと思い、雑感という形でnoteに記すことにしました。

そう、雑感です。とりとめのない感想をただ書き連ねるだけの行為です。
とはいえ、本当にとりとめもなく書いていくとチラ裏案件となってしまいますので、ここでは2.2で活躍したキャラクターごとに思いの丈を語っていくことにします。
長くなりそうなので前後半に分け、今回はその前半となります。

さて、形式ばった文章もここまで。
ここからは当時の感動を思い出しながら自由に語る時間です。

(以下、ver2.2開拓クエストのネタバレを含みます。)



ミーシャ

「僕の旅はここまで…ここからは……」
「君の道だ」

本名、ラグウォーク・シャール・ミハイル。またの名を、「時計屋」。
彼については、2.0のときに下の記事を投稿しました。その経緯もあって思い入れの深いキャラのひとりです。

記事内では「ミーシャは主人公以外に見えていない」説を唱えていましたが、「ナナシビト以外には見えていない」が正解でしたね。そして、ミスリードだと思った「ミハイル=ミーシャ」説ですが、まさかミハイルという名前の人物がもうひとりいたなんて…いやそんなの分かるかい!ピノコニー出身でもないんかい!

「航海士」ミハイル――ミーシャの養父であり、彼が幼い頃のミーシャに外の世界への憧れを与え、ナナシビトへの道を歩ませた人物です。彼がいたからこそ、ミーシャは「開拓」の運命を歩み、そしてピノコニーに降り立つことになります。
振り返ってみれば、幼い頃に根付いたナナシビトへの強い憧れが、彼に夢の泡から飛び出るというやんちゃを起こさせ、結果的にそれがピノコニーを救う一因となったわけなので面白いです。

そしてミーシャとともにピノコニーを救わんと立ち上がったふたりのナナシビト。ラザリナと、ティエルナン。
3人の先人たちの足跡を追うことで、どうしてナナシビトが銀河の中で一目置かれた存在なのか、その理由の一端を実感できた気がします。
これまでの物語の中でも、ナナシビトに向けられる態度には多かれ少なかれ「敬意」のようなものが含まれているように感じていましたが、その正体はなるほど、彼らのような英雄たちが残した「開拓」の精神がこの銀河の歴史の中で希望を象徴するものだからなんだと理解することができました。
銀河に遍く広大無辺の歴史の中で、ナナシビトたちが歩んできた運命の足跡を受け継ぎ未来へ延ばしていく、この「継承」という観点をユーザーのゲーム体験に落とし込んでいるところが、僕が崩壊スターレイルを好きなもっとも大きな理由なんだと気づかされました。
人の精神は受け継がれ、それが明日の希望を作り出す。
まさに崩壊シリーズのテーマに相応しいじゃないですか。

「僕の旅はここまで…ここからは……君の道だ」
まるでキャラクターを通して我々ユーザーに託しているように聞こえて、興奮と涙を抑えられませんでした。
ナナシビトの本懐は、すべてこの言葉に詰まってるんだなと。
ありがとう、偉大なるナナシビトの英雄たちよ。


ギャラガー

「完璧ではない明日に…乾杯。」

彼は、黒幕でしたね。
裏で事態を操り、招かれざる客を何人もピノコニーへ集め、「ネムリ」を利用して混乱を引き起こした張本人。そして…ただひとりピノコニーを救うため孤軍奮闘を続けた「虚構」のヒーローでした。

2.1のラストで「今度は殺人犯呼ばわりか?」といかにも殺人犯が言いそうなセリフを発していましたが、マジで殺人犯じゃなかったというオチ、今思うとちょっと笑えます。
黄泉とアベンチュリンの会話で流刑の地の存在が判明した時点で、そこに人々を送り込んでいるギャラガーには殺人以外の目的があるだろうとは察していましたが、まさかそのすべてがファミリーの企みを阻止するためだったとは思いませんでした。彼の善心を信じ切ることができなかった。素性が怪しすぎるのが悪い。

考えてみると、「秩序」によって作り出された完璧な世界では未来は一定の方向に定まってしまい、ただ哀しく、寂しく、堅苦しく進行していくだけのものになるかもしれません。虚構歴史学者にとってそれは看過できるものではないはず。
ミハイルの件を抜きにしても、彼がファミリーに反旗を翻すのは当然だったんですね。

彼が言った「完璧ではない明日」というのは、「秩序」によって支配される完璧な日曜日を越えたその先を表していました。心を震わせる言葉です。
完璧ではない明日、完璧ではない8日目。それを彼のもとに餞として捧げられたことを本当に嬉しく思います。
どうか仲間たちのもとで笑って晩飯を食べていることを願います。

余談ですが、ミーシャとギャラガーのゲーム性能が「時計屋」の意志を受け継いだ調和開拓者と相性いいの堪らないですよね。間違いなくここでまで考えられた結果のデザインだと思います。
ギャラガーは実装された当時から愛用させてもらっていますが、そこに物語的意味という名のスパイスが加わることで愛着が何倍にも膨れ上がります。
崩壊スターレイルは、物語世界の外でもキャラクターどうしのシナジーを反映してくれるから大好きです。


ホタル

「ホタルよ…生きるために死ぬのだと」

彼女はピノコニー編のヒロインです。誰が何と言おうとヒロインです!
2.0で登場してから、彼女のことをどれだけ好きにさせられるのか怖いぐらいでしたが、もうね、こんなの愛さないわけないじゃないですか。かつて『ヤペラー反逆事件』のPVでお披露目となったサムのあの姿を見て、少年のように目を輝かせることはあっても、こんなに愛おしく感じる日がくるなんて誰が予想できたでしょう。
彼女というキャラクターに与えられた物語的背景、そしてテーマ。そのすべてに心を搔き乱され、これを書いている今も思い出して涙がこぼれます。
(EP「傷つく誰かの心を守ることができたなら」を聴きながら書いています)

ピノコニー編にはひとつの巨大なテーマがあると思っています。
それは「人は死ぬまでに、どう生きるのか」というもの。
2.1ではアベンチュリンが「どうして僕たちは死ぬためにこの世界に生まれてくるのか」という問いを繰り返し口にしていましたね。それに対して黄泉が「結末を変えられないとしても、そこに向かうまでにできることがたくさんある」「それによって、結末は異なる意味合いを見せる」と答えていましたが、本当にその通りだと思います。
「秩序」の掟のもと、何の苦難もなく安寧だけを与えられて虚無的に生きた人生と、自分で生き方を選んで生きた人生とでは、死を迎えたとき、振り返って見える自分の人生はきっと異なる意味を持っているはずです。
黄泉の言葉を聞いたとき、思い出したことがあります。同じmiHoYoワールドに住む「誰か」が言っていました。

「たとえ自分の結末は美しいと言えなくても、恥ずかしくはない、堂々とした人生だよ。」

きっと、そういうことなんだと思います。
そしてホタルもまた、ピノコニー編のテーマを象徴するひとりでした。
彼女はエリオの脚本の中で「3回の死」を経験すると予言されていました。その「3回の死」にはミクロの視点とマクロの視点があると考えています。
ミクロの視点は、ピノコニーの地で経験する「3回の死」。
そしてマクロの視点は、彼女の人生を通して得る「3回の死」です。
途中に挟まれた過去回想で、彼女はこう語っています。

「みんな同じなんじゃないかな?生涯をかけて、その答えだけを探してる…お墓に刻まれる…短い名前を。」
「あたしの墓石には、前は「グラモスの鉄騎」、今は「星核ハンター」って刻まれてるけど…いつの日か、きっと…」
「『ホタル』の名前と、『彼女』が人生の最後に見せた輝きが記されることになる。」

彼女が経験した人生の死、ひとつ目のお墓には「グラモスの鉄騎」の名前、現在彼女とともにあるふたつ目のお墓には「星核ハンター」の名前が。そして彼女は今、「ホタル」というひとりの少女として生きた証を残すために三つ目のお墓を建てようとしています。
ここの台詞、死ぬために生きる刃とは対照的になってるのがとてもいいですよね。

生きるために死ぬ。
「結末」に辿り着くまでに何ができるのか、彼女の出した答えがそれでした。そして彼女にとって生きるということは、自分のために選択をするということ。だからこそ脚本の束縛にも抗い続け、「生命体はなぜ眠るのか、それは夢から覚めるのが怖いから」だと一度は自分の意見を述べながらも、サンデーの考えには賛同しませんでした。
彼女が人生を自分で選択することに強くこだわってる理由は、兵器として生まれ落ちた過去にあるのかもしれません。
オーナメント「グラモスの静寂の墓碑」の来歴には、グラモスの鉄騎は「戦いのために生まれた」兵器であり、偽りの女皇によって束縛され、存在しない「帝国」のために命を費やしてきたと記されています。
生まれながらに兵器である彼女たちにとって、自分のために人生を生きるなんて選択肢はきっとなかったのでしょう。
人は、他人から弱者だと決めつけられるわけでも、他人から弱さを救われるわけでもなく、ましてや人生の選択権を他人に委ねることは、人が人として生きる尊厳を放棄することと同じです。
兵器ではなく、「ホタル」という少女として生の痕跡を残さんと願う彼女の旅路をいつまでも見守っていきたい、心からそう願わずにはいられません。

だからあの、miHoYoさん……ホタルは生きてますよね?
今、彼女はどんな状態にあるんでしょうか?
気がかりすぎて今もタイピングする指が震えています。
しかし、彼女は3回の死を経験するはずです。だからセーフ……セーフ?
3回目の死がどんな形で訪れるのかは分かりません。それが、どんな意味をもたらすのかも。
もうひとつ気がかりなのは、エリオはどうしてピノコニーの任務に彼女を選んだのか。ひとつ大きな理由としては、彼女には夢を見る機能が備わっていないからというのがあるかもしれません。星核の影響に囚われない彼女は、確かにうってつけだったのでしょう。
でもどうしてか、それだけが理由ではないように思えます。
「忘れられない収穫を得る」とエリオは彼女に伝えました。それは彼女の人生において重大な契機を得ることを意味するのではないでしょうか。
それらすべての事柄が「3回目の死」に関わっているような気がします。

ここからはただの妄想ですが、たとえば3回目の死は彼女に「星核ハンターとしての死」をもたらし、「ホタル」として自分の人生を歩みはじめるきっかけを与えるのではないでしょうか。
そしてその新天地は、「自分に合った道」を選んで進んでいく者たちが集まる場所――星穹列車だったらいいなと少しばかり希望を抱いてしまいます。


黄泉

「改めて振り返ってみると、私の辿ってきた道を繋いでいるのは…印象に強く残る物事の顛末ではなく、そうした忘れられない瞬間の数々だな。」

ピノコニー編最大の功労者、スーパーキーマン。
そしてピノコニーだけでなく艦長たちの情緒も破壊した虚無の使令。
本名は、雷電 忘川守 芽衣。
聞くところによると、「忘川」とは中国語で「三途の川」を意味するらしいです。だから黄泉と名乗ってるんですね。

各バージョンごとに話題になったキャラクターはいますが、黄泉は最初から最後まで話題が尽きなかった存在でした。
その理由は今更説明するまでもありません。艦長たちの悲喜こもごもな叫びを聞いていれば察せるというものでしょう。
かく言う僕も一端の艦長です。まだ古の楽園を終えたところですが、それでも一部の描写に情緒をシェイクされましたし、同時にクリエイターたちの熱意を感じとることもできました。
本当に崩壊シリーズ好きなんですね、miHoYoは。
ここぞというタイミングで流れる『North Wind』。Chapter17を思い出させるあのシーン。
そりゃ噛み締めずにはいられないじゃないですか。ええ、miHoYo本社の方角を向いて平身低頭拝み倒しましたとも。
そうでなくても2.2のクライマックスは怒涛の展開と感動的な演出が暴力的な勢いで押し寄せてくるせいで、脳がパンクして一時記憶が吹っ飛ぶほどなんですから。

ですが、彼女は「雷電芽衣」であっても、「芽衣先輩」ではないはずです。
彼女には、彼女だけの歩んできた道がある。
使令となった彼女はおそらく人間の肉体を超越しているでしょうから、僕たちが思っているよりもずっと永い時間を「虚無」の影のもとで歩んでいるのかもしれません。
その無意味で無私的な生き方は、見ていると虚しく、痛ましい気持ちになります。だからこそ、ティエルナンの計らいにどれだけ感謝したことか。
いつか彼女という存在から色が失われIXを構成する影の一部になってしまうのだとしても、宇宙のどこかに彼女を記憶する誰かがいれば、それはきっと「虚無」ではないのだと思います。
そして願わくば、ピノコニーで運命をともにした僕たちの旅路が彼女の忘れられない瞬間になることを。

彼女の過去についてはまだまだ不透明で、ほとんど分かっていないと言っていいでしょう。何となく、ぼかされたままにされるような予感がしています。このゲーム、そういうところあるので。
しかし、彼女は虚無の果て――第IX機関を目指していると言っていました。
第IX機関、この宇宙でまだ誰も存在を証明できていないダークウェブ。
何やらそこはポルカ・カカムとも関連があると噂されているので、もしかしらまたいつか運命のレールが彼女と交錯することもあるのかもしれませんね。

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