鉄筋をつなぐ継手
鉄筋は運搬できる長さに制限があるため一定寸法に切断されます。
工事現場では、長尺の鉄筋が必要になりますので、鉄筋をつなぎ合わせなければなりません。このつなぎ合わせる部分を継手といいます。
継手の種類には、重ね継手・ガス圧接継手の他機械式継手やフレア溶接、エンクローズ溶接継手のような特殊な継手もあります。
【重ね継手】
一般的にD16以下は重ね継手とすることが多く、鉄筋と鉄筋を重ねて結束するのですが、鉄筋同士が接合している訳でわありません。
鉄筋の重ね部分のコンクリートの付着応力によって継手が完成しますので、重ね継手の長さは、鉄筋の種類、径、フックの有無、コンクリート強度などから決定されます。
重ね継手の長さ(L1)は、設計図毎の標準仕様書や配筋標準図に示されてしますが、40d(d:鉄筋径)前後の長さが必要になり、高強度鉄筋や、太い径の鉄筋の場合、継手長さは長くする必要があります。
隣り合う重ね継手の位置(重ねっている部分の中心)は、重ね継手長さの半分(L1/2)程度離し、強度的に弱点となる継手を分散する必要があります。但し、スラブ筋・壁筋の場合の継手はいも継手(同一位置の継手)でもよいことになっていて、あき重ね継手としても構わないですね。
あき重ね継手とは、鉄筋同士が接触していなくても、鉄筋のあき間隔が0.2L1かつ150mm以下であればよい継手のことです。
D16以下で継手長さが確保できない場合等には、鉄筋同士を溶接するフレア溶接継手を用います。
フレア溶接は点溶接とならないように連続して溶接をし、溶接長さは片面では10d、両面では5d必要になります。
【ガス圧接継手】
ガス圧接継手は、鉄筋端部を突合せ、加熱しながら軸方向に加圧して鉄筋を接合する工法で、比較的コストが安く、信頼性が高く、一般的にD19以上はガス圧接継手としていますね。
圧接作業を行なうには、ガス圧接技量資格が必要となり、圧接の資格は1種~4種まであり、数字が大きいほど径が大きい鉄筋を圧接する事ができます。2種はD32以下なので、圧接する径を確認するようにしましょう。
ガス圧接部の外観検査では、ふくらみの大きさが適正か、偏心や折れ曲がりがないかを検査します。判定基準は標準仕様書・配筋標準図を確認してください。
その他、現場にて抜き取った供試体による引張試験や非破壊検査を行います。検査試験要領については標準仕様書・配筋標準図を確認してください。
ガス圧接継手の位置についても注意が必要です。
隣り合う圧接部は400以上間隔をあけ、引張応力の少ない部分で圧接を行います。ガス圧接継手の位置については標準仕様書・配筋標準図を確認してください。ここは非常に重要です。
【その他の継手】
機械式継手は、天候に左右されない等のメリットはありますが、コストが高いので部分的に使用されているようです。
エンクローズ溶接は、工法により異なりますが継手部が縮まない・継手位置の制限がない等のメリットがあります。
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