ダクライフィリアの初恋

   泣哭性愛というものを知ったとき、なるほどこれか!と叫びそうになった。平たく言うと人の涙に欲情すること、もしくはそういう変態のことで、つまり私がそれである。
   だから幼馴染のふーちゃんとはいつも一緒にいた。ふーちゃんは大変泣き虫な女の子で、いつもみいみい泣いていたのだ。私はその涙に興奮しつつも、献身的に慰める友人役をやっていたわけである。そして哀れなふーちゃんはすっかり騙されてしまい、私に告白をしてきてしまった。私はただ、よく泣くひとのそばにいたいだけなのに。けれどもふーちゃんと恋人になれるなら、私としても願ったり叶ったり。恥じらいを込めた演技をしつつオーケーしたところ、彼女はとんでもないことを言い出した。
「わたし、もう泣かないから。りっちゃん、これまでありがとう。これからはわたしがりっちゃんを守れるくらい、強くなるからね!」

【続く】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?