13.先生の説明 その②

先生の説明によると、一つずつの腫瘤は小さくても、ソレがあちらこちらにあって範囲が広いので、乳房を全摘出することになった。

「では、早速手術の日について話をしましょう!」
前回、手術は6月の終わりになりそう、と言っていたが、色々調整した結果、7月9日に決まりました、との事。手術する人が多くて、どうしてもそのくらいになってしまう、と。
「早く手術して欲しいと思うでしょうが、たくさん患者さんがいて…」「でもそんなどんどこ進むがんじゃないんで」
…どんどこ笑。

それから、手術の方法と手術後の再建について話がある。
「手術は、こう大きく切り取ります」、と葉っぱの様な形を書き込む。そして、「こう、中を取り出して…」「そしてココを縫います」再建するならその時に、ティッシュエキスパンダーという袋を胸の筋肉の下に入れて、傷を閉じ、徐々に食塩水を入れて膨らませていき、半年から一年後に、シリコンか自家組織を入れて、お乳を作りますと先生。
手術と同時に再建する方法は、ウチではしてないので、もう一度入院する必要があること、期間が少し長くなることなど詳しく説明がある。


「再建についてはどうお考えですか?」
今決めても良いし、形成外科の先生の話を聞いて決めても良い。
更にいうと、一旦手術に集中して、後日再建しても良い。再建しなくても良い。
ただ、再建にはバッグを入れないといけないので、もう一回開かないといけなくなるとの事。

再建については、決めていた。
私たち夫婦は旅が好きで、日本各地の秘湯や銭湯などを数多く回った。そして今後も回るだろう。
やっぱりお風呂で人の目が気になるかなぁと思うので、再建はしたいと思っている。

「再建したいです」
先生にそう言うと、
「じゃあこの後、形成外科の先生のお話を聞いてもらいましょう」「それを聞いてから決めても良いですし」
一旦、診察室を出て、今度は形成外科の先生の元へ。


形成外科の先生は、割と若い先生だった。
「再建をお考えということで…」
先生も絵を描きながら説明してくれる。
「手術は、こう…横から見たらこんなお饅頭の様な形で…中のあんこを抜きます」
(あんこ…!)
そこに、このティッシュエキスパンダーを…と、説明用の見本を見せてもらいながら、先程M先生がしてくれた様な説明を再び受ける。磁石が入っていて、どこにあるかがわかるようになっていて…だからMRIは受けられないんで気をつけてくださいね、と。

「そのあと、十分皮膚が伸びたらコレを入れます。」
と、ドラ◯エのスライムのような物体を目の前に置かれる。
「触っても良いですか?!」
食い気味に先生に聞いて触らせてもらう。
タプタプ、ぷよぷよしている。
「もしくは、背中の筋肉を入れます」
「これは背中にも傷が出来てしまいます」

それぞれのメリット、デメリットを聞く。
先生の話によると、シリコンを入れる人の方が多いらしい。
そして、ずっと気になっていた質問を先生にぶつける。

「あの、これ…このサイズのものしかないんですか?」
「ワタシ、こんなに(大きさ)ないんですけど!!!」
先生が、吹いた。

「大丈夫です、ちゃんとサイズ測って左と合わせますので…」
先生、笑い堪えてる。だって気になったんだもん…。

奥から、こういうのもありますと、先生が出してくる。
そこには、乳首。
「シールになっていて…色とか形のオーダーも出来ます」
ずらりと並んだ、乳首。
今度は、私が吹いた。

…笑い事ではないのだけど。
でもクリアフォルダにずらっとリアルな乳首が並んでいるのは異様な光景で、思わず笑ってしまった。
色も、形も、大きさも様々な…乳首、乳首、乳首。なんていうか。
キモチワルイ!!!

「どちらにするかはまだ決めなくて大丈夫です」
「なんなら、再建しなくても大丈夫です。でもバッグは取り出さないといけないんですけどね」

その後、手術までにもう診察もないということで、写真を撮って、サイズを測るという事になった。
再び主人が追い出される。

「服を取って、そこに……あっ、あの!カーテン閉めますんで…!」
と、慌ててカーテンを閉めている最中に、脱ぎ捨ててしまった私に先生が焦る。
乳腺外科で脱ぎまくっていたので、ぺろりと躊躇いなく脱いでしまったけど、ここは形成外科だった。
カーテン閉めて、鍵まで掛けてくれた。

カーテンの前に立って写真を撮り、定規でサイズを測る。
シリコンにするか、自家組織にするか。
また一つ考えなければいけないことが増えた。


もう一度、外科に戻る。
入院について、詳しくはこの後看護師が説明しますという。
手術は9日、だいたい4時間くらい。あんこを取り出したら、その後形成外科の先生と変わって、バッグを入れてもらうので更に2時間くらい。
「まぁ、寝ている間に終わります」
ですよね。


他に、リンパに転移していないか調べる、『センチネルリンパ節生検』について説明される。

乳房内からがん細胞が最初にたどりつくリンパ節に、がんがあるかないか、手術中に調べて、もしあったらリンパも取ります、との事。
「どうやって見つけるかというと、前日に、ちょっと放射性物質を入れるんです。一晩かけて、それががんからリンパへ移動するんで、その最初にたどり着いたリンパ節を調べてがんの有無を見つけるんです」
なるほど餌を与えて囮作戦的な?!(多分違う)

「そこになければ転移してないし、もしそこにあればその先にもあるか調べないといけない…」

ないと良いなぁ。
でもこればかりは開けて見てみないことには。

他にも色々説明を受けて、
「では手術日に!」
「ちなみに、執刀は先生がしてくださるんですか?」
「はい!」
その言葉を心強く思い、よろしくお願いします!とお願いして、診察室を後にした。


その後、看護師さんからコロナのPCR検査について説明があった。
入院当日の朝、検査をするそうだ。
唾液じゃなくて鼻の方。痛そう。

検査の後は、自宅か、車で待機。
もし、13時までに連絡がなかったら、入院の手続きをするので、荷物を持ってきてくださいとの事。

二週間前から行動履歴をつける事。
県外移動はしない事。
県内でも、感染者の多い市に行かない事…
同居家族も同様に、という注意事項を説明される。
今、コロナに感染でもしたら大変だ。

次に、入院センターに行くよう指示がある。
途中、一緒にがんの説明を聞いていた担当の看護師さんに呼び止められ、少し話をする。
入院センターでは、身長、体重、血圧などを測定し、入院時の持ち物や、決まりについて説明を受けた。

その後、がんの支援センターの話、緩和ケアの話、総合的に患者を支援してくれる部門の話などがあった。

長い…。
丁寧なんだけど、とにかく長い……。

そして。
…とりあえず、お腹すいた…。

気付けば、16時を回っており、私は昨夜19時から何も食べてないことに気付く。
ああ、もうお腹がぐるぐる言ってて、説明どころじゃない〜。
説明中に、お腹が激しく空腹を知らせていて恥ずかしい。


最後に、口腔ケアの話があって、本日の診察を終えた。次は、6月14日。
看護師と、緩和ケアスタッフとの面談、そして歯科衛生士が口腔チェックしてくれるらしい。
全身麻酔にすると、口の中のバイ菌が身体に入ってしまうので、なるべく綺麗にしておかないといけないそうだ。


次回の予約を済ませ、会計に向かう。
会計機が壊れていて大渋滞していたが、なんとか支払いを終えて帰路に向かった。

今日は疲れた。
そして、お腹すいた…!!!!!

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