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25.まさかの再手術


翌朝は、ちょっと寝不足だが、すっかり元気になっていた。
点滴からも解放されて、痛みも少ししかなく、自由にお茶を注ぎに行ったり、トイレに行ったりしていた。
ちょっと体液を排出するドレーンの量が多いかなと心配されていたが、概ね良好とのこと。
色がやたら綺麗な赤だったので、先生も気にしていた。

昨日午前中は痛くて処置室に行くことも出来なかったけど、今日は一人で歩いていける(といっても同じフロアのナースステーションの並びなのだが)。
そこで、昨日と同じ形成外科の先生が、ガーゼの貼り替えをすると言う。

昨日は寝たままだったので見えなかったが、今日は見える!!!
むしろ私はとても気になる方なので、傷跡を見て確かめてやろうと覗き込むと…
あれっ?
とったはずのおっぱいが…!
ある…?!


「こりゃまずいかもしれん!」
先生が、すぐCT撮って!と指示を出す。
「液が多いなと思っていたんですけど、コレは上手く中の血管が塞がってないかもしれません!」
「二、三日様子見するより、すぐ開けて見た方が良いと思う」
「ちなみに取り出すには…また全身麻酔して手術する必要があるんだけど…とりあえず血なのか水なのか…CT撮りましょう!」
さっきまでルンルン歩いていたのに、車椅子に乗せられ運ばれていく。

えええー。

頭がついていかない。


上に戻ると、先生から、
「昼食は取らないで!水も!」
と言われる。そこはホカホカの昼食が運ばれて来るのだが、下げて、と先生に言われそのまま帰っていった。ぐすん。
「ご家族にも連絡しますね」
「緊急で手術をすることになりました。やっぱり血の塊があって…早く取らないと固まるんです」
「再建だと、バッグ(エキスパンダー、組織拡張器)が入っているので感染の事とか考えたらどうしても開けてみないと…」
「とりあえず今、麻酔の先生とも調整付けてますんで決まり次第行いましょう!」

えええええええー!

再手術になってしまった。

またあの一連のイベントをこなすのかと思ったら脱力してしまったが、やるしかない。
とりあえずご飯と水は我慢、着替えて、点滴を始める。
残してあった管は細いとのことで、新たにルートを取る。禁断の手の甲から。い、痛い…。

形成外科の先生に呼ばれ「13時から始めます!」と言われる。
麻酔科の先生も来られて、同意書を書いた。
まさかこんなことになろうとは。


主人にも簡単に説明する。
「ちょっとさ、びっくりしないでな、先生から電話あると思うけど…」
主人はびっくりしていた。
そりゃそうだ。


そしてあっという間に時間は過ぎて、12時50ごろ看護師さんが迎えに来てくれた。
あまり動かすなという事で、ここでも車椅子。
二日前に見た景色もそんなに新鮮じゃなくて、とりあえず看護師さんと雑談する。
「手術台に上がるの、緊張しませんか?」
と聞いてくれる。
逆に2回目だし緊張はしない。どうなるか経験もしたし。
「うーん、先生の術着の色が違うのとか見てて新鮮です」
「そんなこと言われたの初めてですが、じゃあ楽しんでくださいね!後で迎えに来ますね!」
笑顔で送り出された。


そして13時、銀色の大きなドアが開いて、車椅子で中に入った。
中の看護師さんは前と同じ人が居て、
「この前も手術室6でしたよねー」
なんて言いながらベッドのそばへ。
「じゃあ寝てください」
今回は緊急で集まったメンバーで、人数も少なく、時間も2時間くらい(前後で3時間くらい)で終わるそうだ。
またアレをやるのかなと思っていると、超事務的に器具が取り付けられ、
「じゃあ麻酔かけまーす」
と、始まってしまった。
仕方ない、形成外科の先生バージョンが聞けなかったので、もう諦めて寝るか。
目を閉じた。



「起きてくださーい!」
肩をトントン叩かれる。
起きた。
無事目覚めた。
ベッドごと運ばれている。
出口付近に先生が居て、
「念入りにとめといたんで!」
と。
「ありがとうございます」
今回はしっかり目覚めてお礼を言えた。


病室に戻ると、酸素吸入に、心電図、酸素計、足のエアーマッサージャー、点滴2本が取り付けられる。ドレーンと導尿もセットだ。
もう磔状態だ。


とりあえず携帯も触れる様にしてもらったので、主人にも連絡する。
「今回は早いじゃん…」
前回、どうやら「手術終わりましたんで」とだけ電話があって、私がどういう状態かわからないまま翌日の14時ごろになってかやっと私から連絡があったらしい。
良かった、早く連絡できて。


そんな事をしていると、すっかり頭が冴えてしまった。
興奮しているのもあるだろうが。
1回目は意識が朦朧としていたので眠れないながらも、うとうととして気づいたら朝だったが、今回は何故かシャキーーーンと覚醒してしまった。
数時間『お昼寝』をしているので、眠くならない。
そして暑い。
看護師さんも頻繁に点滴を換えたり様子を見に来たりするので眠れない。
結局一睡もできないまま(いや、ちょっとは寝たかな)朝を迎えた。


ところでこのタイミングで、同室の人が個室に移ったので、窓際に変えてもらった。
カーテン越しに夜が明けたのがわかる。
朝が来てしまった。
でも朝から絶好調で、色々OKをもらい外してもらう。
ただ、昨日も言われていたのだが、血が出過ぎていて貧血になっているらしいので、検査をして値がやばかったら輸血も考えているとの事。
輸血?!
「ご飯しっかり食べて、自分で作ってくれると一番良いんだけど」
と言われたので、朝からモリモリ食べた。
昼も食べた。


夕方、先生に呼ばれてガーゼの交換。
改めて、おっぱいは無くなっていた。
あの膨らみ、血が溜まっていたんだなぁ。
良かった。
昼にした採血で調べてもらった貧血も、多少改善されていて、このまま鉄剤だけ出すんで、頑張って血を作ってください、という事になった。
良かった、輸血が回避できて。


今、体液は薄くなってきて、色も違う。量も少ない。
来る先生、看護師みんな、なんか多いな?多いな?色濃いな?と言っていたけど、やっぱりおかしかったんだ。
みんながちょっとずつ疑ってくれたのと、先生の素早い決断力。
良いタイミングで取り除くことができて良かった。


何はともあれコレで終わり………だと思いたい!!!

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