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肉巻きが苦手な話

食べるのはわりと好き。でも作るのが苦手。そして嫌な思い出がある。肉巻きを見るといつも思い出す。作るという作業が苦手なのと嫌な思い出は別々の話で、トラウマがあるから上手く作れないとか、上手く作れなくて嫌な思いをしたとか、そういうことではない。
食べるのはわりと好きなので、それだけは誤解なきよう再度申し上げておく。

そんな、食べるのはわりと好きで作るのが苦手で嫌な思い出がある、肉巻き。今日は、嫌な思い出の話をする。(ので、共感性羞恥が強い人はご注意ください。全然ハードな内容ではないですが。)

私がまだ給食の仕事を始めて2年目くらいの時のこと。仕事で野菜の肉巻きを作る作業があった。
当時の上司から「個数を数えるように」という指示があったので、そのようにしていた。
だが途中でパニックに陥ることになる。私が作った肉巻きの個数を数えている横で上司も同じ作業をしていて、お互いの作った肉巻きが同じ場所へ積みあがったのだ。

これは、自分が作った数だけ数えれば良いのか?それともトータルの個数を把握しろということなのか?トータルの個数を把握するとしたら、複数方面から一か所に積まれていくものを 作業をしながら数えるにはどうすれば。

そんなことを思った時には、もう個数を把握できない状態になっていた。そんな時、私が上司に向かって やっと発言できたのは、これだけだった。

「すみません、数、数えてないです…」

当然上司はびっくりして「なんで?!数えてってお願いしたよね?!」と言われた。でも私は上手く説明できずに「すみません」と言うだけだった。
これは二者の間の問題なので、当時の私には解決が非常に難しかった。どっちかが完全に一方的に悪いというわけではないし、さらには厨房という常に時間に追われる環境で、思考を整理して、相手に伝わる説明をして、ということも困難だった。それまでの経験から、こういう時に事情を説明しても無駄だと諦める習慣がついていた私は、ただ謝るしかできなかった。

こういう経験が当時無数に存在したのだが、中でもこの肉巻きのエピソードは私の中で最も代表的かつ印象的である。
そのせいで、今でも肉巻きを見ると思い出してしまう。

だがまあ、今はこういう状態に陥ることもほとんどなくなったので、思い出しても そこまでつらくはない。ただ、嫌な思い出をいつまでも反芻するのは良くないなあと感じる。そう感じても、こうやって ことあるごとに思い出してしまうエピソードは、いくつかあるのだが。前に紹介した、がんもどきもそうである。

繰り返しになるが、トラウマとかは全くないので、練習して上手に作れるようになって「肉巻き美味しい」で、どうでも良くなるといいな。などと思ったりもする。

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