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面接という謎の時間


僕は関東の飲食店で店長の役所を勤めているのだが、最近になって思ったことがある。

面接というのは、あれはなんの時間なんだ??

僕のお店では社員は店長である僕しかおらず、残りは学生アルバイトと主婦さんのパートスタッフで構成されている。
そのため、面接を行い、スタッフを採用するのも自分の仕事のひとつである。

時間としては20分前後。簡単な履歴書みたいなものをお店で書いてもらい、その内容に沿って時には緊張をほぐしてあげるために他愛も無い話をしたりして採用不採用を決める。

一時期、採用したスタッフが全く続かず辞めていく期間が続いたことがあった。
もちろん、勤務開始してからの僕の教育の仕方や、他スタッフとの人間関係、やってみたら違ったなど理由は様々あるとは思う。

在籍スタッフの中で、店長が採用した人は続かない。見る目がない。そういった雰囲気が漂っていた(これはHSP特有の勝手な想像ではなく、実際にスタッフから聞いた)。

僕は、自分の心を守るために、
「じゃあてめえがやってみろよ」って思う事にした。またネガティブ波に呑まれないように自分に言い聞かせた(ごめんね愛するバイト達)。

その期間で最後、2名の応募があった。
2人とも条件が良かったのだが、お店の人件費を考えると採用は1名だけだなという結論に至った。
かなりの時間悩んだが、在籍スタッフに知り合いのいる方の子を採用する事にした。その方が人間関係の輪に入っていきやすく、上手くいくと思った。採用の連絡をした。

トライにはエラーが付き物で、結果として、彼は1ヶ月で退職した。

理由は、実際に勤務してみて、学校も大変になりあまり入れず、稼ぎにならなそうとの事だった。

またか……
そう思った。

それから2ヶ月ほど経った頃だろうか。
仕事終わり、ご飯でも食べて帰ろうと思い、職場の近所にあるラーメン屋に立ち寄った。

中は深夜にしては混んでいて、カウンター席に座った。
ラーメンを待つ間する事もなく、ふと目の前の厨房を眺めた。
丁度、真正面で働いているスタッフの動きに目が止まった。
流れるような作業、わからないことは先輩にすぐに聞き、周りのスタッフとの連携もバッチリ取れている。仕事を楽しんでやっている。絶えない微笑みと、ホールまで見渡す目。そして、あの時と変わらない金髪。

一刻前の面接で苦悩の末、不採用にした男の子だった。

正直、面接の時はここまでの覇気は見られなかったし、笑顔もあまり見られなかった。それもあり、後に1ヶ月で辞める男の子を採用にしたのだ。

馬鹿らしい時間だな、面接というのは。
そう思った。

たった20分そこらで、その子の何がわかる。せいぜい学歴くらいだろう。その子のポテンシャルの1割も出せる訳無いじゃないか。実技演習でもあるまいし。その子の普段の事、何が楽しくて何が苦手か。友人関係はどうなってるか。陰口を言う子なのか。シフトはちゃんと守れるのか。あんな面接なんていう時間は、全項目で嘘を通し続ける事だって出来るじゃないか。判断は何でするんだ。企業の正社員採用面接も同じだ。熟練の採用担当でも難しいだろう。紙っぺら1、2枚とグループディスカッションなんかで何がわかるんだ。

全員、心の中の2人目の社会に真面目な人格にスーツを着せてやってくるだけじゃないか。

こう思った時、「じゃあてめえがやってみろよ」感も綺麗に無くなった。僕の中で面接は、学歴チェックくらいの感覚になった。心が軽くなった。採用してみなきゃわからない。

だが逆のこともあった。

去年くらいに面接し、採用した時にあまり好印象を感じなかった男の子から、先日社員になりたいと言われた。

こんな事もあるのかと思った。

面接なんて大した事は無い。
多分、これから就活する人とかも沢山いると思う。不採用の連絡が続くに連れ、自分は社会に必要無いんじゃないかって自信を無くしていくかもしれない。
あんなもの所詮、運ゲーだ。それくらいに思っていい。

最後に一つだけ、ラーメン屋でせっせと働いていた金髪の彼。言いたいことがある。


今からでも良い、頼むからうちに来てくれないか🙏🙏🙏

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