殴られ兎のぬいぐるみ
先日、25歳になった。
中学生の頃に、少年ジャンプの某漫画にどハマりしていた僕は、作中に現れる「10年バズーカ」というアイテムに惹かれていた。
使用すると被弾者が5分だけ10年後の姿と入れ替わることができる武器で、当時5歳の少年が15歳の自分と入れ替わり戦いを任せるという使い方だった。
また、敵との対局の際は2度被弾し、25歳の自分を呼び寄せて圧倒的な力の差を見せしめたのである。
当時、まさしく15歳だった僕は、漫画の中で雷撃を扱うその青年を見つめて思っていた。
10年後、25歳の自分とはどんな姿なのだろう。と。
まずは結果から言おう、きっと今想像している姿には程遠い存在だろう。
何かを成し遂げる大人。友人や兄弟と酒を酌み交わす大人。恋人ができ、様々な困難を共に乗り越える大人。どれも叶っていない。
夢を見て高卒で青森から上京し、飲食業界や社会の厳しさに打ちのめされていく姿。
転職を繰り返し、自分に合う物は何かを探し続けている姿。
HSPである事がわかり、周囲に理解されない事に悩みもがく姿。(できた恋人にも伝わらず別れを告げる)
一人でいる事に慣れ、思いを発散する場を求め彷徨う姿。
最近、「趣味探し」の旅を終えた。数年にも渡る長い旅だったが、行き着いた先は「読書」だった。
本を読む時は集中しなければ内容が入ってこないので、仕事の事やその他常に頭を廻るマイナスな思考から離れることが出来た。
最近、「SNS探し」の旅を終えつつある。数年にも渡る長い旅路だったが、今この「note」の港に船を停めた。
文字数を制限されることも無く、美しく飾られた写真を上げなくとも本当の自分をさらけ出せる場所になるのかもと、探検を始める前に宿屋で一泊している所である。
よく、アニメなんかでストレスが溜まるとぬいぐるみを殴って発散するシーンを見掛ける。うさぎのぬいぐるみで口の位置には決まって「×」が書いてある。
多分、この「note」にいる人達は、自分自身の「殴られ兎のぬいぐるみ」を持っていない人達だと思う。
運動をする、歌を歌う、酒を飲む、友達や恋人と遊ぶ、よく眠る、暴食をする、その他も沢山あるストレスの発散法が上手く見つからない人。
どこにぶつけていいのか、自分の中身を吐き出せる場所が無い人。文字に起こしてみる事で、整理がつき気付けば発散に繋がっている人。(単純にお金を稼ぎたい人もいるとは思う)
まだ「SNS探し」、いや、「思いを正面からぶつける場所探し」の旅は完結していない。
ここがその理想郷となるのか楽しみである。
準備は整った。剣と盾を携え、魔法書をリュックに忍ばせ、朝食にはパンとスープを選んだ。
ベースキャンプを建てる費用は、既に業者に払ってある。
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