乖離

今日は着物の話。

ちょっと前から着付けを習ってる。
うちの箪笥には亡くなった母が買い揃えた着物がいろいろと突っ込まれたままになっており、着物を広げたら最後、たたむことすらできない私は、たとうしを引っ張り出すこともせず、何が入ってるのかわからないパンドラボックスと化していた。つい最近確認してびびったんだが、留め袖、喪服、夏の喪服と小物一式、色留袖、訪問着が一揃い、大島紬。男物も羽織と紐、帯なんかはあったから、一式ありそうなんだよなぁ。というくらいに、わけわかんないものが着られないまま詰まったままになっている。
これをどうにかしたいというか、触れない呪いを解消すべく、とりあえず着物に触るのが怖くない程度になろうと思ったのがきっかけだったわけなんですが。

なんでやねん。もうちょっとがんばったら、人に教える資格とか、着せるのにお金いただけるレベルになるらしい。どういうことだ。何があったんだ。
ついでを言うと、インターンという形で、教室運営のお手伝いに週一で通っている。自分が習うのとは別にである。なにやっとるねんw
インターンっつーのも、教える方に回るとかの覚悟があるならば、覚えることもあるだろう。実際、そういえばこんなこと習ったなぁなどと復習感覚で行ってるとも言えなくもない。
しかし、体の良い無料の手伝いなので、交通費などは持ち出しだし。着物を着て行かないといけないし。生徒さんにはそれなりに「ちゃんと着れる人」って見えないと、ここで勉強しても無駄だーって思われちゃうからね、そこんとこはまぁ、ちゃんとせなあかんってのはわかるんだけどさ。

着物ってのは、季節にあわせてちょっとずつ変えていくものなんすよ。洋服に冬服、夏服、長袖、半袖ってあるように、着物にだって種類がある。しかも日本の暦が春夏秋冬はっきり分かれていたりするものだから、暦の上でこの頃にはこういうものを着ろって暗黙のルールみたいなものがあったりするわけですよ。これがまた、非常に面倒くさいことになってたりするわけで。

着付けのお教室というものは、きれいに着る、きちんと着る、着物のルールを知るってことに重点を置いてるところが多いと思う。もちろん、とりあえず着れるようになりましょう、着物に慣れようってところは多いんだけど、大抵の学校方式のところはしれっとルールを強要してくる。
生徒でいる間はさほどうるさくないものの、インターンとなると、かーなーりー面倒くさい。
5月の中旬ごろからは、袷から単衣の着物に変えなきゃいけないし、それに合わせて帯や小物も夏物に変えないといけない。

……いや。んなもん持ってへんがな。

インターンは、お教室の掃除もやるから、良い着物は着て行けない。できたら洗える着物。訪問着風ではなく、できれば小紋とかの格のものでないといけない。

なんやねん、『格』って。

いや、わかるねんけどさ。お教室の助手ですもんな。それなりに形は整えておかないといけないってのは、わかるんですけれども。
お教室の手伝いに行くのが嫌ってわけではないんですけれども。その作業自体は嫌ではないんですけれども。

夏の着物を持っていなければいけない。
真夏には、真夏用の着物を着なければいけない。←これはさすがのありへさんも持っていない。
来るときは羽織かコートを着なければいけない。←中古物で探して買った。
コートにも袷と夏用があるから、シーズンごとに着替えて。←中古でry
小物にも夏用があるから、服装に合わせて(ry)←持ってない。やべえ。

別のクラスへインターンに行ってるひとと情報交換をしてたりするんですけど、インターンって手伝いに行けば復習ができる、って感覚だけでは駄目だったねぇ、って。着物を季節に合わせて整えなければいけないってことは、インターン募集してるときには聞かされてなかったよね、って。まぁ考えたら分かる話ではあるんですけれども。ちょっと考えが甘かったかなあとは反省している。

一応、六月いっぱいはインターンに行かないといけないので、単衣の着物をどうにかしないといけない。小物は……ごまかせるかなぁ。なんとかなるといいんだけどさ。

はて。私のやりたかったことって、こういうことだっけ。
そんなことを考えるようになってしまった。こいつはやばい。

新しいことを覚えることも、知識が増えることも、技術がつくことも、楽しいっちゃ楽しい。しかし、こういうことがしたかったんだっけ? とふと我に返った時に考えてしまう。人に着せられるようになるのは良いんだけど、留袖を15分以内に整えるとかって、それ私のしたかったことかなぁって。

技術が身についてから振り返ったら、やりたかったことが簡単にできるようになってるとか、新しいやり方とか、違ったやり方が見えてくるようになるかもとか。続ける理由はそれなりに思いつくんだけど。最初にやりたかったこととは少し乖離してきてるよな、という気持ちは否めない。

教室というか、学校が主体の販売会みたいなのは、当然あります。こんなご時世だから、大阪や神戸まで来いとかまでは言われませんけど。行っても、業者さんが押してくるだけで、学校の先生がたは買え買えとはおっしゃらないですけれども。でも、学校の名前で販売してるものだから、お値段以下のぼったくりお粗末品が売りつけられることはないよ、とは言われるけど。買えとは言われない。予約して行った学院祭で商品券もらったときは、小物買って使い切って帰ったほうがいい、100円で買える和菓子屋さんも来てるから、って言われたくらいかなぁ。

やりたかったことは、自分の持ってる着物が怖いって気持ちを払拭すること。もう少し着物とお近づきになること。
あとは、アンティークとか中古って名前で二束三文で売られてる着物を、リメイクなんかで切り刻まれてしまうまえに、あと一回くらい着物としての仕事をさせてやりたいなとか。
新しく買うとしたら、洋服生地で着物を作っておられる京都のミミズクヤさんの、おしゃれな着物がいいなぁとか。デニムの着物を着てみたいとか。伊勢木綿とか。普段着の延長にある着物、手入れが簡単で、着ても苦にならないやつを着たいんだよなぁ。
もちろん、寒いときには寒さに耐えられる服装でとか、気温に合わせていろいろ整えられたほうが良いとは思うけれども。暦に合わせて着替えるんじゃなくて、好きなものを好きな時に、自由に着れるようになりたいんだよなぁ。

まぁ、教室主催で、着物着てお食事会とかは、ご時世柄なくなってるのはありがたいんですけれども。(着物を着て出かける機会づくりということで、授業におでかけ+食事会があったりした)
着物を着て行って、よそのクラスのかたにジャッジされるとか、こそっと指摘されたりとかあったらしいんですけれども。そんなんわからんし、知らんし。習いはじめの頃はなんにも言われなかったけど、いくつかクラスがあがったら、いろいろなことが面倒というか厳しくなってまいりました。

なんか、やってることと、やりたかったことが乖離してるなぁと感じつつ。やりますって言っちゃった、このクラスのインターンは行かないといけないわけで。そこはちゃんとやりますけど。でも、単衣の着物なー。小物なー。ちょっとだけ困ったなぁ、って思いながら、ネット通販サイトを徘徊しています。安いセットを買っとこうかなぁ。持っとかないと絶対まずいんだよなぁ。
夏の着物って汗で傷みやすいのか、着る期間が短いせいで作る人が少なかったのか、中古市場にあんまり出てないしなぁ。訪問着や振り袖はバブルの頃にいっぱい作られたんだろうなぁ。いっぱい出てきてるんだけどなぁ。夏の着物、自分の着れるサイズのがなかなかないというか。絶対数も少なめなんだけど。でも、洗える着物のほうが良いしなあ。安いてろんてろんのセット買っちゃう? 安いのあるといいなぁ。

自分の心の中の乖離を自覚しつつ。ちょっとだけ騙し騙し、折り合いをつけつつ、もうちょっと頑張ろうと思います。
できることが増えるのは楽しいんだよ。でも、『ルール』『しきたり』とかが苦手なんだよう。あと、本当は時間通りに指定の場所に行くのも本当は苦手。なれてない場所に行くのが苦手。遅刻しないように、一時間くらい前に指定場所近くまで行ってることあるんだけど(そういうのは苦にならないタイプだった)、今、ウインドーショッピングで時間つぶしたり、お店で飲食しながら時間潰すってのがハードル高いからさ。いらん徘徊や行動は控えたほうがいいじゃん? それで早く行って時間潰すの、難しいんだよね。着物だと居れる場所も少ないし。それは、しんどいけど、まぁなんとか許容できる範囲というか。しょうがないけどね。

はて。明日、何着よう。朝から暑かったら、もう単衣でもいいかなぁ。そしたら帯どないしょう? もうやだ。考えるのがめんどくさいけど、用意せずに寝たら明日の朝のオレが死ぬ。やべえ。

……明日の支度して寝るかぁ。

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