「地球1周は、ほぼ4万キロ」

 見出しの「地球1周は、ほぼ4万キロ」は間違っていません。
 それでも、ずいぶん久しぶりにno+eに投稿しようと思ったのは、この出典が、わが心のない爱読紙の天声人語だからです。

 残念ながら、途中から有料で全部読めないはずですが、タダでも読める前半部分に〈北極から赤道までの距離の1千万分の1を1メートルとする〉とあります。
 これは正しい。というより、経線(子午線)を4万キロメートルと決めた、といったほうがいいんじゃないか。タダでは読めない次のくだりを引用します。

 〈測量の旅は過酷をきわめた。ギロチンにかけられそうになったり、牛小屋に寝泊まりしたり。パリを通って南北の海岸に至るまでの子午線の長さを測り、全体を算出したという〉

 「天声人語」の今の著者は、全編がコレ書評じゃないのというのがしばしばあります。だから、上に引用したのも、どっかの本で読んだんだろうと思いますが、今回は出典を書いてくれていません。

 でも、これは意味不明ですね。そりゃあ、測量は必要だろうとは思いますよ。理論上、子午線を360度に分けて、さらにそれを60分に分けてその「1分」に当たるのが「1海里」です。1NM(ノーチカル・マイル)です。4000万分の1が1メートルですから、ええと、ええと、(笑)

 式としては、4000万÷360÷60 ですね。答えは「1851.85185185」になります。単位はメートルです。約1852メートル、あるいは約1.852キロです。1海里の長さです。

 さて、分子の4000万メートルは、「約」ですか?

 いいえ、ぴったりです。寸分の狂いもありません。

 なぜなら、「そう決めたから」です。


 天声人語の筆者は、「ほぼ4万キロ」としています。冒頭に記したように、間違いではありません。赤道あたりを「横」に測れば、地球の自転の遠心力で膨らんで4万0080キロぐらいです。子午線もぴったり4万キロ(4000万メートル)というわけにはいかず、4万0009キロです。

 だけど、〈北極から赤道までの距離の1千万分の1を1メートルとする〉ということまで説明しておいたんだから、いきなり「約4万キロ」とするのは不親切ですよね。「だからぴったり4万キロです」と書いてほしかった。 

 まあ、今では、そのときや、その後の「測量」により得られた1メートルを保存した「メートル原器」も廃止して、「光が1秒間に進む距離の何・・・・・分の1が1メートル」という定義に変わっています。それで計算すると、子午線は40009000メートルというわけです。

 これねえ、360の倍数や約数にする手もあったかと思うんだけど、10進法を取り入れてますね。フランスはケルトの12進法を残している国のくせに。それはなぜか。そりゃまた次回。

ああ。めんどくさい。例によって酒を飲んでの記述なので、言いたいことの半分も書けなかった。すいません。誤字脱字ごめん。

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