「地番」

 あああ、ゲシュタルト崩壊だ。「番」の字って、これでいいんだっけ。番号の番だよ、番場蛮の番だよ。(←50代でもなければ知らないだろうな)

 こんな字だったっけ。はい、本日もワイン1本+α 飲んでます。

 考えてみれば、「番」の字は、番号や順番なんて言葉によく使うので、「並び」に関係があるんだろうなあとは思っていましたが、気にしたことがありませんでした。今、調べると、その用法とともに、「つがい」≒ペアという意味もあるらしいです。「蝶番」と書いて、「ちょうつがい」と読みます。英語で言う「ヒンジ」hingeですね。


 さて、本題。本日(2021年5月9日)の心のない愛読紙によると、静岡県のブラジル人夫婦が3年前、覚醒剤取締法で逮捕されたんですが、嫌疑不十分で不起訴処分になったそうです。その時点で、地元の静岡新聞が逮捕を報道した際に、夫婦の自宅の住所の「地番」まで報じていました。そこまで詳しく報道することはプライバシーの侵害じゃないかと、夫婦は690万円の損害賠償の訴えを起こしました。この日(判決日は7日)、静岡地裁は地番まで報じる必要はなかったという理由で被告人の静岡新聞に66万円の支払いを命じたそうです。

 記事だけを読むと、逮捕されたとはいえ、詳しい住所まで公開したことは原告に不利をもたらしたという判決理由のようです。そこまでは分かります。じゃあ、どこから明らかにしてはいけないかというと、「地番」はダメですよ、という判決です。

 「地番」、わかりますか。

 ついでに、「住居表示」、知ってますか。

 「住居表示」と漢字で書けば、なんとなく意味が分かりますから、「それって、住所のことだろ」と思われるでしょうが、半分イエス、半分ノーです。略称「住居表示法」という法律があるんです。


 古来、自分が住んでいる場所は、それぞれ地元の便宜に応じて融通無碍に表明してきました。苗字と同じで、名乗ったり住んだりしているのは「本人」ですが、それを人別として使う必要があるのは「他人」です。だから、苗字も住所も「他人」の便宜のために供するものだったんです。

 この観点から、「選択的夫婦別姓」の是非に展開することはしませんが、名前はたしかに自分のものではあっても、そのアイデンティティ(その人がその人であること)を利用するのは他人なんです。だから、本名がどうでも、芸名で選挙に出馬する人も多いじゃないですか。こないだまで千葉県知事だった「森田健作」とか。本名は「鈴木栄治」です。名前とは、他人に使ってもらってナンボでっせ。

 おっと、話を戻したいんですが、さっき、娘が塾から帰ってきて、会話が盛り上がったもんで、残しておいたワインも全部飲んじゃった。今日はほぼ丸2本だな。

 さて、先の記事は、静岡県のブラジル人による覚醒剤事案で、検挙されながら嫌疑不十分で不起訴、という微妙な事件です。ブラジル人。おそらく日系人ではないでしょうか、と思ってしまいますよね。でも、記事には原告の名前の年齢も記載されていません。なんとなく、30歳前後じゃないかと想像・憶測・妄想してしまいますが、つまり、バブル時代に日系人を労働力として招き入れた1・5世か2世じゃないのかなあ、と。すいません。努力すればすぐに裏は取れる案件だとは思いますが、なんせ酔っ払いで。ただ、ここで言いたいのは、なぜ、わが爱読紙は、こんなそっけない記事にしたんだろうということです。覚醒剤事件の背景も知りたいですよね。火のないところに煙は立たずといいますから。しかも、不起訴。


 で、同じ日の紙面の別のページ(東京版)には、こんな記事があるんです。

 〈フィリピンパブ 補助金詐取容疑〉〈足立 経営者逮捕〉

 コロナウイルス対策の補助金を不正に受給したとして、フィリピンパブの経営者が「逮捕」されたそうです。こちらの記事は、警視庁の「発表」だそうです。逮捕された(たぶん)男はカタカナの名前で、記事ではフィリピン国籍と明記されています。

 どんな容疑かというと、〈経営する店を「飲食店」だと虚偽の記載〉をして、〈10万9千円〉を詐取したんだそうです。

 ええ、たった10万円で逮捕ォー!?

 記事の地の文では〈フィリピンパブ経営者〉とあるけど、フィリピンパブって、飲食店じゃないの? なんで虚偽の記載なのという疑問も生まれますよね。しかも、コロナ補助金の10万円ぽっちで逮捕。使途は、体温感知カメラや空気清浄機などの購入に充てたそうです。記事のソースは「発表」なので、「警察は言いました」という事実を報道するのはいいとして、でも、事案そのもののさらなる背景が知りたいですね。10万円で逮捕して、発表して、大新聞に2段記事。うーん。この事件も不起訴になりそうな(根拠のない)予感がします。


 ただし、この投稿は一応「日本語の破壊についての簡潔な報告」がテーマのマガジンに載せているので、観点はちょっと別です。

 この酔っ払いが気になったのは、記事にフィリピンパブの経営者さんの住所が記載されていることなんです。「足立区**1丁目」までですけれどね。

 「何丁目」は「地番」に当たるのか、当たらないのか。このピンパブ経営者が(不起訴になった後)、わが爱読紙を訴えたら、60万円ぐらいもらえのか。


 まあ、60万円程度とはいっても、その6分の1ほどの金額のインチキで逮捕されてしまったわけですからねえ。静岡と足立の両方の記事を読んで、「地番」とはなんぞや、ということを読者に知らせても罰は当たるまいに、と酔っ払いは思いました。



 ちなみに、上述した法律用語としての「住居表示」は、わたしを含む一部の輩からは、地名破壊だと考えられているようです。東京の新宿区の牛込界隈では「住居表示」を実施していません。だから、たとえば新潮社の住所名は「東京都新宿区矢来町7」です。角筈とか淀橋とか柏木とか十二社とか言ってたのが、のべて「西新宿〇丁目〇番地〇号」にならずに済んでいるんですね。

 京都の住所もややこしおす。「中京区〇〇通△△東入ル」とか。

 京都市のホームページを見たら、こんな一文がありました。

 〈京都市は住居表示を実施していませんので,住民登録をしていただく際は,お住まいの住居の建っている土地の地番で登録していただきます。〉

 おっと、ここでも「地番」が出てきた。

 60万円もらえるかもしれない「地番」って何?

 逆に、「住居表示」未実施の地域に住んでいたら、覚醒剤事犯で逮捕されても60万円もらえないの。

 わはは。酔っ払いは収拾がつかないので、このへんで。

 ※本文を読んで。たとえば「住居表示って」とか疑問が沸いたら、各自でお調べください。酔っ払いなので、めんどうくさいから解説は端折っちゃった。





 




 

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