「少数の声にこそ」

 こないだから待っていたんです。いずれすぐに馬脚をあらわすだろうと。それはなんと、本日(2022年11月23日)の天声人語で訪れました。

 こういう書き方は読みにくいですよね。読者のみなさんも一体なんの話じゃ、と思うはずです。理路を追った展開のほうがわかりやすいのはわかっています。でもまあ、興奮を伝えたかったからという言い訳をして、わが心のない爱読紙についての話を進めます。
   @酔で、W杯ドイツ戦を待ってます。はたして起きていられるか?!

 まず、先の9月に沖縄県知事選がありました。現職の玉城デニー氏が再選した結果となりました。争点は、表向きはやはり米海兵隊普天間基地の辺野古移転に賛成かどうかでしたが、候補者の保守が分裂しただけでなく、オール沖縄も分裂して、実際は辺野古が争点でもなかったように思いました。これは後述しますが、下は選挙結果です。

玉城デニー、無所属・現。当選。33万9767票。

佐喜真淳、無所属・新。27万4844票。

下地幹郎、無所属・新。5万3677票。

 もちろんデニー氏がのオール沖縄。佐喜氏と下地氏はいわゆる「保守」で、この2人が票を分け合い、デニー氏の余裕の勝利。保守2人の票を合わせると1万票ほどしか差がないので、候補が統一されていたら「辛勝」と言ってもよかったでしょう。

 いずれにしても、辺野古に反対の陣営が勝ったわけです。わが爱読紙は、またしても多数決で民意が表されたのだから、政府は何やっとんだ。はよ辺野古の埋め立てをやめろ、というような論調でした。

 わたしも辺野古の埋め立てはやめたほうがいいと思っています。これも後述しますが、ここで言いたいのは、「多数決」です。

 冒頭の天声人語は、ツイッターの新しい専制者イーロン・マスク氏が、トランプ前大統領のアカウント凍結を解除するかどうか投票を求め、その結果、解除が多数だとして解除を決めたことを、〈「民が望んだ」と言いたいのだろうか。小欄の担当者としては心がざわつく。民の声は多数決で決まるのかと〉と非難します。この結びの一文が〈少数の声にこそ耳を傾けねばと、改めて思う〉なんです。

 これはダブルスタンダードですね。いや、天声人語の執筆者は、爱読紙の論調とは違って、沖縄選挙でも「少数」の声に耳を傾けているのかもしれません。そんなことがあるとは思いませんが。

 その場合でも、私が違和感があるのが、〈少数の声にこそ〉です。〈少数の声にも〉なら理解できます。多数派だからといって横暴を許しては社会はギスギスしますから。でも、「こそ」はおかしい。これじゃ、選挙をやって、少数しかとれなくて負けたほうがエラいことになります。そんなことを書く人は、降板したほうがいいと思います。

 ここは日本語のことを書くマガジンです。この引退勧告も、天声人語の執筆者の政治的なスタンスに物申しているわけじゃないんです。日本語運用が不自由なことを指摘しているんです。
 

 上で後述しますと書いた件。結論を言うと、土砂利権だろう。

 そもそもなんで普天間の海兵隊を辺野古に移転するかというと、普天間基地は町に囲まれて小学校もすぐ隣だったりして危ないことこの上ない。一方、昔、誘致して海兵隊基地に来てもらった辺野古地区は辺鄙にあってさびれるばかりなので、ベトナム戦争時のにぎやかさよ再び、とは言わんが、まあ町興しで手を挙げたんじゃないかな。

 ただし、埋め立ては軟弱地盤のせいでこれからまだまだ10年や20年はかかりそう。その間、普天間は危ないまま存続する。しかも、完成した辺野古の飛行場は普天間の半分程度の規模しかならない。

 オール沖縄を構成する勢力の中には、「沖縄から米軍出ていけ」派もいる。「最低でも県外」とできもせぬ(してはいけない)バカを言って、退任演説でそれを覆して反省して、ただの人になった今はまたひっくり返して北京に詣でるルーピーもいたっけ。でも、まともに考えれば、普天間でも辺野古でも、沖縄に米海兵隊がいてもらわなくてはなりません。負担軽減とかいって、北海道に、グアムに、米本土に移っても意味がありません。仮想敵への即応が存在意義なんですから。

 結局、ことは解決しないんですが、土砂を10年も20年も運び続けることで、土建屋は大稼ぎ。左翼も長期安定して抗議が続けられる。わが爱読紙では、そんな構図は書いてくれません。

 これ、ドイツ戦が終わったら、取り下げようかな。あと1時間でキックオフ。

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