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科学と戦争の話

 広島に生まれて47年。私が小学生の時、平和教育が盛んに行われていて夏休みでも8月6日は登校日…8時15分には黙祷をしていた。

今現在、私は思っている。
戦争は人類に文明が芽生えて以来、私たちが行なってきた最も野蛮な行為で、必ず無くさなくてはならない!

そう思ってはいるが…大人になった今、8月6日の8時15分…黙祷などしていないし、毎年中継されている広島平和記念式典にはまったく興味がない。

そんな私だから広島に47年間住んでいながら、このような慰霊碑があることを今年初めて知った。

    『広島市高等女学校原爆慰霊碑』

当時、建物疎開作業中の生徒、教職員676名が被爆し亡くなった。広島市内の学校では最も多くの犠牲者を出したそうだ。(※建物疎開とは空襲による火災が広がるのを防ぐため、あらかじめ建物を取り壊して空き地を作ること)

私が興味を持ったのは、その慰霊碑の中央に刻まれている ある公式 だ。

慰霊碑の正面には生徒と思われる3人の少女のレリーフ。中央の少女は箱を抱えており、その箱には『E=mc² 』と刻まれている。

『E=mc² 』は…
エネルギーは質量×光速の2乗に等しい
というアインシュタインの有名な公式。それはつまり、わずかな物質にもとてつもないエネルギーが秘められていることを意味する。

私はそうは思わないが、この公式が原爆の原理になった…と言われることがよくある。たぶんこの慰霊碑に『E=mc² 』が刻まれた理由もそこにあるのだろう。(科学技術の進歩が兵器の開発や改良に影響を与えてきたと同時に、戦争が科学の発展を後押ししてきたという歴史も事実としてある。)

戦後間もなくは連合軍の占領下であったため、直接的な原爆という言葉が使用できなかったそうだ。そのような社会背景もあり『原爆』の代わりに『E=mc² 』か刻まれた。

アインシュタインは原爆投下の10年後に亡くなっている。今年で没後68年。まさかいまだに人間同士の愚かな争いが続いているとは…アインシュタインも思っていないだろう。


※土曜日の21時ごろ更新予定。

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