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自分、社会人舐めてますね


 人間、特別意識なんてしていなくても色んなものに縛られて、身動きが取りにくい状態になっているなんてことが往々にしてある。
 その色んなものっていうのは人間関係とか、立場とか、お金とか、プライドとか、そんな本当に色々なものなんだろうけども、そういうのを一切合切かなぐり捨てるっていうのはきっとめちゃくちゃに気持ち良いんだろうな、なんてことは現代人なら大抵の人間が共感してくれるであろう衝動だろう。
 だからだろうか。まだ実行すらしていないのに、一人心の中で「この会社を辞める」と誓ったとき、心に平穏が訪れた。

 あまりにも心の中を抜けていく風が爽やかで清々しいものだから、一瞬すでに行動が終わったかのような満足感を感じたが、決意しただけでなんにも現状は変わってないことに早々に気づく。
 ただ、今から考えるだけで恐ろしいことに、「決意」だけでこんなに充足が得られるのだから、本当に辞めたときにはオーガズムかなんか来てしまうのではないかという不安すらある。
 快感のために生きているんじゃないけども、快感によって生かされているのも事実な気がする。
 食事だろうが睡眠だろうがセックスだろうが自己顕示だろうが承認欲求だろうが、そういったもので動くのは間違いないけど、それを中心に置いて声高々に「欲しい!」と叫ばないことで得られているのが社会性である。集団の中に埋没することを選んだのだ。
 そうして何かを殺して日々生きているだけですり減るものがある。幸い自分はそういう摩耗にはかなり鈍感なタイプなので大抵の場所でお気楽には生きていけるのも確か。
 でもそんな自分でも「しがらみからの開放」を決意するだけでこんなに清々しい気持ちになるのだから、労働っていうものは繊細な人にはよほど精神にくるものがあるのだろうと頷くしかない。

 ではどこに行くか?という話である。次がないのは死と物語だけであるので、現実の貨幣経済の世界を生きている以上なんとかして金を手に入れなければなならない。暮らしには必要最低限のお金と一定の他者からの承認が必要なのだ。
 まあでも心配しないでくれたまえ。なんと今の取引先への転職がほぼ内定を得ているのだ。持つべきものは友とコネだね。
 しかもそんな感じでの取引先への転職だから、ろくな転職活動してないのも気持ち晴れやかポイントが高い。苦労は売ってでもするな。
 そもそも仲の良い取引先の人間に「転職してえわー」なんて漏らしたらそっから、話が広がってマジで転職できそうになるんだから世の中わからねえもんだよな。
 そもそも新卒時代も就職活動を本当にろくにしなかったので、職を得るという行為に対する真剣度や危機感がマジで薄い。就活が嫌すぎて何にも手を付けていなかったから、最終的には4回生の12月くらいに本格的に動いて、2月に内定とってるからね俺。内定取った瞬間、親に(架空の)面接が東京であると言って旅費を飲み代にしていたくらいだし。

 だから何も考えず転職してやろーとかボケっとしてたらコロナですよ。コロナ。
 転職の話が白紙になったわけではないけども、流石に今はやめとくかって感じに変わってきたのでとりあえず保留状態に。
 いや特別なにか行動していたわけではないのでダメージもないんですが、一度得た「しがらみからの解放」という名の快感を味わってから仕事自体も「どうせ辞めるしのんべんだらりとやろーw」みたいな真面目からかけ離れた姿勢で仕事する状態から抜け出せていません。
 もともとやる気に満ち溢れて「仕事!仕事!」みたいな姿勢でもなかったんですが、ここ最近はそれに輪をかけて気が抜けています。
 やべえなあとか思ったりもするんだが、そんな状態でも会社員として成り立っており特に支障なく毎日過ごせている状況を鑑みるに、もしかして今の仕事ってめちゃめちゃ向いてるのかもな……。

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