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初学者向け英語長文問題集には設問なんていらない

前に、肘井の英文読解のための英文法は、何回も繰り返すものではなく、早々に切り上げて、ひとまずは長文に入るべきであると書いた。

肘井のこの本の意味は、文法書では、不定詞とか関係代名詞といった文法事項毎に説明されていたものを、英文解釈という視点から整理し直したということにある。そこでは、句や節が、主語や目的語、補語といった文の構成要素になったり、名詞や文全体を修飾したりすることが、例文や問題により示されている。

しかし、文法的テーマが与えられているなか、せいぜい2、3行の教室設例のような内容の文の構造の分析ができるようになったとしても、直ちに長文が読めるようになるわけではない。実際の長文では、文法的テーマが与えられている訳ではないし、一文一文は長く、文章の内容も抽象的で高度であり、そのなかで、持てる知識を総動員して、文の構造を解析していく必要があるからだ。
長文が読めるようになるためには、長文内にアットランダムにあらわれる文法事項を自力で解決してきた経験値を上げていくことが絶対的に必要だ。肘井に書いてあるようなことは、「ふ〜ん、こんなことがあるんだ」くらいに斜め読みするに止めて、早々に長文で実践していくべきであろう。

経験値を上げていくためにもっとも有効な方法は和訳だ。正確な和訳のためには、文構造を理解し、文構造に忠実に訳出していかなければならない。こうした経験を積んでいけば、意識せずとも文構造は手に取るように分かるようになっていくはずだ。
このことは、初学者にこそよく当てはまる。しかし、初学者レベルと謳う問題集には、(和訳以外の)設問が設けられていることがほとんどだ。大学入試対策と謳い、実際の過去問を教材にする以上はやむを得ないところではある。しかし、内容一致問題などは、正確な和訳ができていなくても正解できる。そもそも、英語長文問題というものは、英文を使った現代文の問題であり、しかも現代文よりも難度は落ちるから、全訳ができれば容易に正解できる。初学者レベルの問題ならなおさらそうだ。
初学者レベルの問題集に設問を設けることは、要らぬ雑音のように思えてならない。




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